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出版者情報
文庫 日本のピアノ100年
単行本版
ピアノづくりに賭けた人々
- 初版年月日
- 2019年12月9日
- 書店発売日
- 2019年12月5日
- 登録日
- 2019年11月8日
- 最終更新日
- 2019年11月26日
書評掲載情報
2022-11-19 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 栗原裕一郎(評論家) |
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紹介
明治33年(1900年)1月、日本楽器は国産第一号となる簡素なアップライトピアノを完成させた。
まだ欧米には及ぶべくもなかった日本のピアノではあったが、大戦後、状況は一変する。
高度成長で勢いを得たピアノ・メーカーは新たなコンサート・グランド・ピアノの開発に情熱を傾ける。
そして、リヒテルやグールドなど世界の名演奏家が愛用するピアノを生み出し、
ついに日本を世界頂点のピアノ王国へと押し上げたのである――。
誕生から100年間のピアノづくりに情熱を傾けた人々の姿を通して、日本の「ものづくり」の軌跡を見事に
描き上げたノンフィクション作品。第18回ヨゼフ・ロゲンドルフ賞受賞作
<目次より>
プロローグ グレン・グールドのピアノ
戦前篇 洋琴からピアノへ 国産ピアノ誕生前夜から一九五〇年まで
第一章 文明開化期のピアノ
第二章 オルガン製造に群がる男たち
第三章 国産ピアノ第一号誕生
第四章 洋楽ブーム
第五章 戦前のピアノ黄金時代へ
戦後篇 世界の頂点へ 一九五〇年から二〇〇一年まで
第六章 戦後の再出発
第七章 大量生産の時代
第八章 イメージ戦略と販売競争と
第九章 コンサート・グランドへの挑戦
第十章 日本のピアノはどこへ行くのか
エピローグ 日本のピアノの未来に向けて
目次
プロローグ グレン・グールドのピアノ
戦前篇 洋琴からピアノへ 国産ピアノ誕生前夜から一九五〇年まで
第一章 文明開化期のピアノ
明治初の女子留学生たち
鹿鳴館の花
上流婦人のピアノブーム
伊沢修二と明治維新の音楽教育
東京音楽学校とお雇い外国人教師たち
楽壇の母・幸田延/宣教師による洋楽移入
山田耕筰とピアノの出会い
横浜外国人居留地の楽器商
第二章 オルガン製造に群がる男たち
学校唱歌とオルガンの導入
「みだりにオルガンの使用を禁ずる」
流れ職人・山葉寅楠
「そっくりに作ればオルガンは商売になる」
見よう見まねのオルガンづくり
山葉風琴製造所の旗揚げ
先を行く横浜の西川風琴製造所
一子相伝の秘術
内国勧業博覧会への出品
山葉と西川の宣伝合戦
国産ピアノへの要請の高まり
第三章 国産ピアノ第一号誕生
ピアノの構造と機能
西洋のピアノ職人たちの歴史
アメリカへ渡ったスタインウェイ一家
日清戦争の勝利と国際化
寅楠のアメリカ視察
寅楠の渡米日誌
購入金額は六四四八円なり
コマーシャルピアノの台頭
大三郎、直吉、小市の三者体制
見習生の養成制度
国産第一号の「カメン・モデル」
松本新吉の貧乏滞米記
松本楽器の発展
ピアノ職人たちの苦労
第四章 洋楽ブーム
事業拡張路線で満洲進出
相次ぐ創業者の退陣と死
松本楽器の東京からの撤退
山葉、西川、松本の明暗を分けたもの
国産ピアノへの批判
東京楽器研究所の創設
舶来ピアノと外国商社
ベヒシュタインの技師シュレーゲル
山葉大争議
第五章 戦前のピアノ黄金時代へ
川上嘉市新社長の立て直し
産業合理化運動の提唱
科学的なアプローチ
シュレーゲルの活躍
山葉直吉と名器「Nヤマハ」
天才職人・河合小市の独立
中小ピアノメーカーの勃興
山高帽に洋服姿の調律師
ヤマハの路線転換
「ピアノ技術を温存せよ」
軍需産業への全面転換
廃墟からの復興
戦後篇 世界の頂点へ 一九五〇年から二〇〇一年まで
第六章 戦後の再出発
川上源一、日本楽器新社長に就任
コンサート・グランドFCの酷評
国産ピアノの弱点
「スタインウェイに負けないピアノを作る」
第七章 大量生産の時代
冷徹な現実
新しい工場管理手法の導入
手押しでスタートした流れ作業
アメリカの物量に圧倒――川上社長の欧米視察
日本のピアノが生きる道を見いだす
大量生産を可能にした木材の人工乾燥
第八章 イメージ戦略と販売競争と
文明開化の街・銀座と楽器店
アーティストと宣伝
教育用需要と音楽教室のスタート
ヤマハとカワイの闘い
イメージとしてのピアノ
楽器産業と輸出
YAMAHAのアメリカ進出
大クレームを乗り越えて
輸出された「ヤマハ音楽教室」
第九章 コンサート・グランドへの挑戦
母親たちの熱い思い
コンベアから生まれるピアノ
日本とヨーロッパのあいだに横たわる落差
ヨーロッパの音を求めて
杵淵直知の孤独な闘い
スタインウェイの音の秘密
ヤマハ「CF」の挑戦開始
涙ぐましい努力
ミケランジェリの衝撃
技術の結晶ヤマハCF
ピアノをストラディヴァリウスにする男――調律師・村上輝久
コンサート・グランドCFの完成
ケンプの賞賛
第十章 日本のピアノはどこへ行くのか
リヒテルとヤマハCFの出会い
激化するスタインウェイとの対立
「イースタイン」に見る中小メーカーの栄光と苦悩
名匠・大橋幡岩のピアノ工房
揺らぐピアノ神話
苦闘する八〇年代
技術開発とジレンマ
エピローグ 日本のピアノの未来に向けて
上記内容は本書刊行時のものです。