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福田恆存 思想の〈かたち〉
イロニー・演戯・言葉
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2011年11月
- 書店発売日
- 2011年11月22日
- 登録日
- 2012年4月12日
- 最終更新日
- 2021年8月24日
書評掲載情報
2012-01-22 |
朝日新聞
評者: 中島岳志(北海道大学准教授・アジア政治) |
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紹介
◆2012年、生誕百年の再評価◆
福田恆存という人をご存知でしょうか。シェイクスピアやD・H・ロレンスの翻訳で知られた英文学者・劇作家です。文芸評論家としても、小林秀雄の跡を継ぐ人と期待されましたが、平和憲法を批判したり革新系の知識人はもとより、清水幾太郎、江藤淳などの保守派の友人たちをも徹底的に批判し、何を言いたいのか分からないとして思想的に孤立化しました。一方で、新左翼の学生たちからは「支持」されました。福田はほんとうは何を言いたかったのでしょうか。本書は、あくまで彼の書いたものを忠実にたどることで、誤解にまみれた福田恆存の実像に迫ります。初期の文学論から、中期の芸術論、そして国語改革批判まで、彼の「歩き方」「生き方」に連続性・一貫性を見出すことで、硬派の思想家・福田恆存の全体像を描き上げます。来年の生誕百周年を前に再評価の起爆剤になりそうな、気鋭渾身の力作です。
目次
福田恆存 思想の〈かたち〉――目次
序 章 福田恆存と「保守」
Ⅰ 戦後史における福田恆存評価――一九八〇年代まで
Ⅱ 江藤淳からの距離――福田恆存の「保守」派批判
Ⅲ 三島由紀夫からの距離――福田恆存の二元論
Ⅳ 「国家」からの距離――福田恆存の清水幾太郎批判
Ⅴ 本書の立場――その構成・方法・課題
第一章 福田恆存と「近代」――原点としての「イロニー」
Ⅰ 戦後の出発――「政治と文学」論争を中心として
Ⅱ 保田與重郎と福田恆存――昭和初期の「心情」
Ⅲ 「横光利一と「作家の秘密」」から「嘉村礒多」へ――「芸術家」の位置
Ⅳ 「芥川龍之介論(序説)」について――「比喩」の造形
Ⅴ 「芥川龍之介Ⅰ」と「道化の文学――太宰治論」――「風景」の破砕
Ⅵ 「純情」からの訣別――「芸術」に向けて
第二章 福田恆存と「芸術」――転回点としての「演戯」
Ⅰ 〈近代=小説〉の閉塞――福田恆存の課題
Ⅱ D・H・ロレンスと福田恆存(ⅰ)――『黙示録論』について
Ⅲ D・H・ロレンスと福田恆存(ⅱ)――チャタレイ裁判まで
Ⅳ 『否定の精神』から『芸術とはなにか』へ――昭和二十五年の〈飛躍〉
Ⅴ 「平和論」論争と『人間・この劇的なるもの』――「全体」とは何か
Ⅵ 「全体」から「言葉」へ――過去への視線
第三章 福田恆存と「国語」――決着点としての「言葉」
Ⅰ 「国語改革」というイデオロギー――国語国字論争まで
Ⅱ 「現代かなづかい」論争――福田恆存の金田一京助批判
Ⅲ 福田恆存と時枝誠記――「言語過程説」をめぐって
Ⅳ 『私の国語教室』と『批評家の手帖』――昭和三十四年の言語論
Ⅴ 六〇年安保闘争と福田恆存――「見とほさない」ということ
Ⅵ 「まねび」と「演戯」――小林秀雄と福田恆存の「言葉」
終 章 福田恆存という人間――総括と感想を兼ねて
Ⅰ 保守思想と福田恆存
Ⅱ 福田恆存という人間
注
あとがき
事項索引
人名索引
装幀――難波園子
上記内容は本書刊行時のものです。