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時間に抗う物語 中谷 いずみ(著) - 青弓社
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時間に抗う物語 (ジカンニアラガウモノガタリ) 文学・記憶・フェミニズム (ブンガク キオク フェミニズム)

社会一般
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発行:青弓社
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ20mm
重さ 337g
264ページ
上製
定価 2,600円+税
ISBN
978-4-7872-9273-5   COPY
ISBN 13
9784787292735   COPY
ISBN 10h
4-7872-9273-0   COPY
ISBN 10
4787292730   COPY
出版者記号
7872   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年2月24日
書店発売日
登録日
2023年1月16日
最終更新日
2023年6月5日
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紹介

戦前のアナキズム思想やフェミニズム、プロレタリア文学、戦後の大江健三郎や井伏鱒二、井上ひさしの作品を「暴力をめぐる記録/記憶」として読み解き、「歴史」「戦前・戦後」などの時間の視点からそれらの作品や思想に介入して、批判的に検証する文学研究。

目次

序 章 時間に/で介入する
 1 文学と想像的世界の二重性
 2 暴力に潜む時間――津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』
 3 距離をとりつつ、取り憑かれる――歴史の射程
 4 本書の構成

第1部 運動/性/階級のポリティクス

第1章 フェミニズムとアナキズムの出合い――伊藤野枝とエマ・ゴールドマン
 1 女性の分断は何に寄与するのか?
 2 フェミニズム批判のレトリック――エマ・ゴールドマンと伊藤野枝
 3 男たちのアナキズム

第2章 プロレタリアの「未来」と女性解放の夢――性と階級のポリティクス
 1 無産階級運動と女性の要求
 2 運動への献身と「貞操」をめぐるレトリック
 3 “個人的なことは政治的なことである”
 4 「女人芸術」の「プチブル的作品」が描くもの

第3章 残滓としての身体/他者――平林たい子「施療室にて」と「文芸戦線」
 1 闘争主体としての「母」
 2 純化されるイデオロギーと残滓としての身体
 3 同室の女たちと「私」

第2部 暴力を描く地点

第4章 強制労働の記憶/記録――松田解子「地底の人々」
 1 春川鉄男「日本人労働者」評と帝国主義をめぐるナラティブ
 2 暴力の位相――松田解子「地底の人々」の初出と世界文化社版から
 3 「中国人労働者」たちの蜂起と連帯

第5章 歴史の所在/動員されるホモエロティシズム――大江健三郎『われらの時代』にみる戦争の痕跡
 1 「停滞」する世界の表象
 2 ホモソーシャル/ホモセクシュアルな欲望
 3 歴史の免責と暴力の傷痕

第6章 「戦時」をめぐる歴史的時間の編成――井伏鱒二「黒い雨」
 1 「庶民」の表象と「異常な戦時」
 2 去勢された家長と敗戦
 3 「喪失」と「回復」をめぐる遠近法

終 章 未来を語る/語らないこと――井上ひさし『父と暮せば』
 1 『父と暮せば』の時間
 2 記憶の回復/整序と再生産的未来
 3 単線的時間の(不)可能性――大田洋子『夕凪の街と人と』を参照軸として

初出一覧

あとがき

版元から一言

ジェンダーや階級などの今日的な視点から、暴力をめぐる小説や思想を読み解くことはいかに可能なのか。他者の痛みを描く文学を介して、私たちがそれらの経験を分かち合うことはできるのか。

戦前のアナキズム思想やフェミニズム、プロレタリア文学、戦後の大江健三郎や井伏鱒二、井上ひさしの作品などを「暴力をめぐる記録/記憶」として読み解く。そして、「歴史」「戦前・戦後」などの時間の視点からそれらの作品や思想に介入し、批判的に検証する。

それらの実践を通して、女性への差別や抑圧される身体、歴史の語りとホモソーシャル、異性愛主義体制の再生産、戦争の記憶など、暴力やジェンダーの問題を私たちの目の前に出現させる。忘却に抗い、痛みの経験や暴力の痕跡を分かち持つための想像力を呼び起こす文学研究の成果。

著者プロフィール

中谷 いずみ  (ナカヤ イズミ)  (

1972年、北海道生まれ。二松学舎大学文学部准教授。専攻は日本近現代文学・文化。著書に『その「民衆」とは誰なのか――ジェンダー・階級・アイデンティティ』、共編著に『女性と闘争――雑誌「女人芸術」と一九三〇年前後の文化生産』『プロレタリア文学とジェンダー――階級・ナラティブ・インターセクショナリティ』(いずれも青弓社)、論文に「フェミニズムとアナキズムの出会い――伊藤野枝とエマ・ゴールドマン」(「有島武郎研究」第23号)など。

上記内容は本書刊行時のものです。