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明治歌舞伎史論
懐古・改良・高尚化
- 書店発売日
- 2023年3月29日
- 登録日
- 2023年3月9日
- 最終更新日
- 2023年3月9日
紹介
維新後に到来した文明開化期から、日本文化の保存の風潮が漂った明治末期までの激動の時流の中で、歌舞伎はどのような変化を迎えたのか。明治に入ってからも依然として「当代劇」として機能していた歌舞伎は、時に強制的な圧力によって改良され、時に自発的に変化し、やがて現代において認識されるような「伝統劇」へと変貌を遂げた。その質的変化の背景には、役者・狂言作者・興行主の意志はさることながら、政府高官や知識人らの政治的利害関係や思想が複雑に交錯している。
本書では、明治という前例のない大変革期における歌舞伎界の動向を「江戸懐古」「脚本改良」「高尚化」という三つの視座から分析し、近世から近現代まで四百余年に至る歌舞伎史のなかで、明治期歌舞伎が占める位置を明らかにする。
目次
序章――当代劇から伝統劇へ
第一部 明治期黙阿弥作品における江戸懐古
第一章 「富士額男女繁山」考――「孝女お竹」「桜姫東文章」の再利用
第二章 「月梅薫朧夜」考――〈愛想づかし〉の変容
第三章 「夢物語盧生容画」考――明治期歌舞伎の〈懐古〉と〈改良〉
第二部 明治期歌舞伎の脚本改良
第一章 史劇改良の萌芽――依田学海・川尻宝岑合作『吉野拾遺名歌誉』『文覚上人勧進帳』 第二章 福地桜痴の近松浄瑠璃改作――『十二時会稽曾我』における演劇改良の実践的試み
第三章 坪内逍遥の史劇改良――『桐一葉』『牧の方』『沓手鳥孤城落月」』における〈型〉の消滅
第三部 明治期歌舞伎の伝統劇化
第一章 九代目市川団十郎による歌舞伎の〈古典化〉――天覧劇と「勧進帳」
第二章 新古演劇十種からみる五代目尾上菊五郎の〈家〉意識
第三章 追善公演の史的展開とその意味
終章
上記内容は本書刊行時のものです。