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2030年の世界 北沢栄(著/文) - 産学社
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2030年の世界 (ニセンサンジュウネンノセカイ) 時空間の拡張 (ジクウカンノカクチョウ)

社会科学
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発行:産学社
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ20mm
300ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-7825-3588-2   COPY
ISBN 13
9784782535882   COPY
ISBN 10h
4-7825-3588-0   COPY
ISBN 10
4782535880   COPY
出版者記号
7825   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年4月25日
書店発売日
登録日
2024年3月4日
最終更新日
2024年6月20日
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紹介

大河に似た世界史の流れが、想定外の新たな方向に転じた。新型コロナウイルス・パンデミックを引き金に、数年にわたり世界に大変異が続いた、との歴史認識は、内外の大方の人々に共有されるだろう。
この2020~23年のほぼ4年間に、世界の旧来の歴史は激しく軋みながら軌道を変え、別の世界に変貌していったのである。
この類例のない世界的変異は、「疫病の大流行」、「核大国による武力行使」、「急進化したAI技術」が中心となって引き起こした。世界に衝撃的だったのは、これらがそれぞれに強烈な破壊力を持っていたためだ。
本書は以上の視点に立ち、鼓動する時代状況を活写し、世界史の流れの中に生起した独特の現代社会・文化現象を浮き彫りにしようと意図した論考である。

目次

Ⅰ 欲望と意思が経済を動かす/資本主義の原動力・事故超越欲求・欲望充足の人類史・デジタル資本主義の勃興・等
Ⅱ 時空間意識の拡張/メタバースの新世界・NFTの歴史的衝撃・仮想空間の拡張・等
Ⅲ 技術崇拝とAIの進化/身体の拡張・技術はどこに向かうのか・ゲームの超達人・フィンテック新金融時代・監視国家の現実・等
Ⅳ 明日の世界/コロナの一大衝撃・檻の中の囚人・ソーシャルディスタンスで接触の喪失・AIへのコロナの影響・等
Ⅴ 明日の自分/パラダイムシフトを迫る・BI実験は増加の一途・等

前書きなど

大河に似た世界史の流れが、二〇二〇年代はじめ、想定外の新たな方向に転じた。新型コロナウイルス・パンデミックを引き金に、数年にわたり世界に大変異が続いた、との歴史認識は、内外の大方の人々に共有されるであろう。
二〇年一月に始まるパンデミック、二二年二月に始まるロシアのウクライナ侵攻、二二年一一月に始まる生成AI・チャットGPTの公開―この三要素が、とりわけ強い影響力を及ぼした。二〇二〇~二三年のほぼ四年間に、世界の旧来の歴史は激しく軋みながら軌道を変え、別の世界に変貌していったのである。
この類例のない世界的変異は、「疫病の大流行」、「核大国による武力行使」、「急進化したAI技術」が中心となって引き起こした。世界に衝撃的だったのは、これらがそれぞれに強烈な破壊力を持っていたためだ。
本書は以上の視点に立ち、鼓動する時代状況を活写し、世界史の流れの中に生起した独特の現代社会・文化現象を浮き彫りにしようと意図した論考である。そして、われわれが生きている「コロナ以後の社会」が活動の全貌を現してくる「二〇三〇年の世界」をイメージしてみた。
この近未来のイメージは、人類の選択する最上シナリオを見立てたものだ。この見立ての根拠に、進化した「自己超越欲求」が駆動する創造的社会実現への信頼がある。
時代状況を生々しく写しだすために、二つの時計地図を用いた。見定めた時時を、鳥の目で地上の全景を見渡す「鳥の目時計地図」と、虫の目で細部に目を凝らす「虫の目時計地図」である。この二重手法で、一語で簡単に片づけられがちなコンセプトは、具体例をもって肉付けされ、俄然分かりやすくなるとみた。たとえばデジタル技術の政治悪用ケースにQアノン事件を取り上げた。
本書は、Ⅰ~Ⅴまで五章から成り、概要は次の通りだ。
Ⅰ.欲望と意思が経済を動かす 人間行動は究極的にどこに向かうのか。経済活動の原動力は欲望と意思にある。欲望は生理的欲求から進化して階段を登っていき、「自己を超える存在」を目指す自己超越欲求の頂きに行き着く。
デジタル資本主義の勃興により、人はスマートフォンを持つようになり、個人の欲望と意思は新たな段階を迎える。
Ⅱ.時空間意識の拡張 人間を行動に駆り立てるのが想像力だ。問いを発する好奇心が、その母胎となる。精神的進化の結果、活性化した意識は創造活動に向かう。想像力の働きで、一層の意識の拡張と無意識の活性化がもたらされる。その意識と無意識のケミカル作用が、閃きや霊感を生んで至福の創造行為を生み出していく。そして創造行為は究極的に「時間」と「空間」の自由を目指す。
創造活動には、精神の集中と気晴らしの交互作用が欠かせない。〝短い緊張〟を繰り返す仕事法が、有効なやり方だ。そして高まる自己超越欲求は「魂の火」を燃やして真・善・美を追求するようになる。社会の分離を促したコロナ禍のあと、ペストの災厄から生まれたイタリア・ルネサンスが偉大な創造の先例となる。その時代精神は「美の追求」だった。
日本では奈良時代に、流行した天然痘が救いを求める人々に仏教を広める役割を果たした。
デジタル・イノベーションの現代、時空間の拡張をそれぞれがメタバースなどを通じ追求するようになるだろう。
Ⅲ.技術崇拝とAIの進化 AIが近い将来、シンギュラリティ(技術的特異点)に達し、人間以上の知能を得て人間を支配するようになるのではないか、との疑念を科学者らが表明する。チャットGPTなど生成AIの急進化に、期待と懸念が高まる。
現代の宗教にほかならない技術崇拝が、技術開発動機の根底にある。技術は使い方次第で善とも悪ともなる。原子力発電は果たして悪か。技術の善玉と悪玉の見本を示す。
AIはウクライナ戦争の性質も変えた。AIは特定機能においては人間脳より断然優れ、目下驚くべき進化の途上にある。だが、将来シンギュラリティに達した超AIが、人間の感情と意識を持ち、人間を支配するような事態は、人間が主体性(自己決定力)を持つ限り起こりそうにない。
AI支配の懸念は、むしろ、一般市民のスマホ使用と、AIを使ったフェイク情報から来る。スマホに自分の時間を奪われ「考えない人」が増える一方、フェイク情報に踊らされて真がんが分からず、政治に悪用される。挙げ句、不信感が増殖し、民主主義社会が危うくなる事態が生じる。Qアノン事件は、その象徴的な前ぶれだった。超監視社会のツールに、AIが使われる危険がいよいよ増す。
Ⅳ.明日の世界 コロナが世界にもたらしたソーシャルディスタンス。これによる「現実との生きた接触喪失」が、社会に深刻な影響を及ぼす。その長期化に伴い、とりわけ子どもや若者らの社会化・人間形成に問題が生じる。外の世界から自宅への追放で、人々は「檻の中の囚人」と化した。その社会風景は「血の気の薄い社会」となる。
「負の影響」の一方、コロナはオンライン会議システムや感染予防アプリなど、AIの技術進化を促した。国民生活に直結する国家のAIに対する扱いも、クローズアップされた。AI監視下のプライバシー問題が焦点となる。
デジタル民主主義かデジタル資本主義かの選択が問われる。日本の感染者接触アプリは、「記録の二週間後の消去」にみられるようにプライバシー保護に徹した仕組みだったが、テクノロジーに不備があった。
社会のデジタルシフトの中、個人情報を何者かにそっくり渡して監視・追跡される〝丸腰状態〟になってはならない。監視社会化で「いま、そこにいる自分の居場所(空間)と自由な時間」が常時監視され、侵される危険にさらされる。
コロナ危機は、個人の内部世界の危い立場と選択肢をも炙り出した。
Ⅴ.明日の自分 コロナ危機が引き起こしたもう一つの衝撃は、旧来の経済の仕組みと社会保障制度の大変革を促したことだ。仕事を失ったり、たび重なる営業制限で生活困窮者が急増し、〝待ったなし〟の切迫状況となったためだ。
「究極の安全網」としてベーシックインカム(BI)導入論が、世界で盛り上がる。米国各州やドイツなど欧州各地で社会実験が次々に始まる。日本ではコロナ禍の非常事態下、「国民一人一律一〇万円」の現金給付が緊急生活資金として人々に大いなる安心効果を与えた。BIは最低限の生活に必要な所得を現金一律給付の形で定期的に保障する制度。過去にもニクソン大統領やノーベル経済学賞を受賞した米経済学者フリードマンらが導入を目指した経緯がある。
最大の問題は、財源だ。だが、新たな経済・財政政策によって財源確保は可能だ。まずBIによって代替される社会保障給付費からの捻出。BIで賄える基礎年金や失業給付、生活保護費が置き替え対象となる。政府支出のムダ排除による資金確保も財源に加える。使われなかったりムダ遣いされている国の特別会計資金(剰余金・積立金・不用額・予備費)や各種基金から洗い出す。補助金の精査と整理、税控除の見直しも進める。
新財源として、償還期限を定めない国債「永久国債」の発行も考える。永久国債は、一九世紀前半の幕末期に薩摩藩が財政再建に活用した。海外では英国、米国がすでに採用し、英国は永久国債「Consol債」の全償還を二〇一五年に完了している。
BIはデジタル資本主義が世界に生み出した「富の二極化」時代の産物とも言える。BI導入の是非は、ポストコロナの一大課題となる。
混沌と化して不安が絶えない時代状況下、浮かび上がってきたのが、多くの個人が「内なる世界」に関心を深め、自分超えを目指す「自己超越時代」の到来だ。この新潮流は、真・善・美を追求する、ルネサンスにも似たユニークな文明形成に向かうであろう。それは科学、哲学、宗教、文芸、社会・文化活動におけるAI連携型の創造行為の相次ぐ開花となるはずだ。

この最終章の希望に満ちたシナリオの見立ては、十分に実現可能と考える。少なくとも成功の確率は「フィフティ・フィフティ」とみる。残りのフィフティは失敗を意味する。その場合、「収拾なき混沌の永続」「敗北と挫折感の蔓延」という人為的大災禍となる。
時空間の拡張を目指し、天空を翔る自由意思の多様な存在が、実現の決定的要素となろう。

著者プロフィール

北沢栄  (キタザワサカエ)  (著/文

東京都・神田生まれ。
慶應義塾大学経済学部卒。
共同通信経済部記者・ニューヨーク特派員を経てフリージャーナリスト。歴史学・哲学研究者。
2005年4月~08年3月、東北公益文科大学大学院特任教授。公益法人、特別会計などの問題に関し参議院厚生労働委員会、同決算委員会、同予算委員会、衆議院内閣委員会で意見陳述。07年11月~08年3月、参議院行政監視委員会で客員調査員。10年12月「厚生労働省独立行政法人・公益法人等整理合理化委員会」座長として報告書を取りまとめ。

主な著書に『亡国予算 闇に消えた「特別会計」』(実業之日本社)、『公益法人 隠された官の聖域』(岩波新書)、『独立行政法人 静かな暴走』(日本評論社)、『官僚社会主義 日本を食い物にする自己増殖システム』(朝日選書)、『小説・特定秘密保護法 追われる男』(産学社、電子版はVoyager)、『小説・非正規 外されたはしご』(産学社、電子版はVoyager)、『南極メルトダウン』(産学社、電子版はVoyager)。近著に『神保町と大正デモクラシー』(ザ・メッセージ社、電子版はVoyager)、訳書に『リンカーンの三分間―ゲティズバーグ演説の謎』(ゲリー・ウィルズ著・共同涌信社)。共著に『SDGsとパンデミックに対応した公益の実現』(現代公益学会編)など。

上記内容は本書刊行時のものです。