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出版者情報
アニメと場所の社会学
文化産業における共通文化の可能性
- 初版年月日
- 2024年7月30日
- 書店発売日
- 2024年7月30日
- 登録日
- 2024年7月9日
- 最終更新日
- 2024年7月9日
紹介
場所はなぜアニメ研究の問題になるのか。
ファン活動、アニメ産業、それらを支える技術や想像力といった角度から、場所がアニメを作り出し、アニメが場所を作り出すさまざまな現象を理解し、アニメ文化が共通文化となりうる可能性と限界を考える基本論集。
●著者紹介
永田 大輔*
所属:明星大学・明治学院大学等非常勤講師
担当:序章,第12章,終章
松永 伸太朗*
所属:長野大学企業情報学部准教授
担当:序章,第6章,終章
杉山 怜美*
所属:慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程
担当:序章,第3章,終章
近藤 和都
所属:立命館大学産業社会学部准教授
担当:第1章
菊地 映輝
所属:武蔵大学社会学部准教授
担当:第2章
田澤 真衣
所属:成城大学大学院文学研究科博士課程前期2年
担当:第4章
董 鎧源
所属:早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程
担当:第5章
三原 龍太郎
所属:慶應義塾大学経済学部准教授
担当:第7章
林 緑子
所属:名古屋芸術大学等非常勤講師
担当:第8章
一藤 浩隆
所属:比治山大学非常勤講師
担当:第9章
清水 知子
所属:東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授
担当:第10章
大西 健太
所属:東京大学総合文化研究科博士課程
担当:補章01
雪村 まゆみ
所属:関西大学社会学部教授
担当:第11章
佐々木 啓
所属:東洋大学・明海大学等非常勤講師
担当:第13章
高艸 賢
所属:千葉大学大学院人文科学研究院助教
担当:第14章
松浦 優
所属:九州大学大学院人間環境学研究院学術協力研究員
担当:第15章
中村 香住
所属:神奈川大学人間科学部非常勤助手。慶應義塾大学文学部等非常勤講師。
担当:補章02
目次
序 章 場所から考えるアニメと共通文化
『アニメの社会学』から『アニメと場所の社会学へ』 永田 大輔・松永 伸太朗・杉山 怜美
1 場所から見るアニメ
2 共通文化としてのアニメ?
3 アニメと場所を論じる三つの視点
第1部 消費が作り出す/作り変える場所
第1章 アニメのオーディエンスになること
フローとストックのメディア流通史 近藤 和都
1 アニメブームのメディア論的基盤
2 アニメにおけるフロー型/ストック型流通の重層化
3 レンタルビデオ店を介したアニメ受容
4 ビデオの物質性とアクセスの美学
5 アニメ流通の非/連続的な展開
第2章 アニメ文化に都市が果たす役割を文化装置から考える
イベント・専門店・作品のなかの都市とその未来 菊地 映輝
1 都市の文化装置
2 都市部で開催されるイベント
3 アニメ文化の専門店
4 アニメのなかに描かれる都市
5 アニメ文化のDX化と都市の文化装置
6 アニメ文化と都市の行く末
第3章 ファンとして生きる拠点としての「ホーム」
「スレイヤーズ」ファンの経験を事例に 杉山 怜美
1 「ホーム」から捉えるファンの実践
2 「ホーム」概念の検討
3 「スレイヤーズ」という研究対象と調査概要
4 「スレイヤーズ」ファンのインターネットとの出会いと「ホーム」
5 「スレイヤーズ」ファンをやめずに済ます実践と「ホーム」
6 ファン経験と生活が交差する「ホーム」
第4章 アニメの「聖地」に暮らす
アニメツーリズムを契機とした大洗移住 田澤 真衣
1 ガルパンの「聖地」への移住
2 アニメツーリズムと移住はどのように結びつくか
3 「ガルパン移住」を取り囲む人びと
4 「聖地」に暮らすまで
第5章 中国のアニメファンにとってのアニメ聖地巡礼
さまざまな壁を越えた受容とファンたちの国際移動 董 鎧源
1 「場所の消費」とアニメ聖地巡礼
2 中国のアニメファンと「聖地巡礼」との出会い
3 中国のアニメファンにおけるアニメ聖地巡礼の先駆者たち
4 中国における「アニメ聖地巡礼」概念の定着と個人旅行の広がり
5 中国のアニメファンのアニメ聖地巡礼はビジネス化されたのか
6 中国のアニメファンによる「聖地巡礼」の今後
第2部 生産をめぐるネットワーク・制度と場所の関わり
第6章 制作進行によるスケジュール管理の実践
多拠点で進行する仕事をいかにして協調させるのか 松永 伸太朗
1 マネジメント職としての制作進行
2 クリエイティブ・ヒエラルキーとカジュアルなインプット
3 制作現場でのフィールドワーク
4 リモート状況でのリズムの不一致と調整
5 リモート状況を用いたチームでのフォロー
6 クリエイティブ職を追いかけるための情報の収集
7 協調のセンターとしての制作スタジオ
第7章 知られざる日印合作アニメ
『ラーマーヤナ ラーマ王子伝説』からみる日本アニメとアジアの過去・現在・未来 三原 龍太郎
1 はじめに
2 『ラーマーヤナ ラーマ王子伝説』はいかにしてつくられたか
3 ディスカッション
4 おわりに
第8章 アニメーションサークルとアニメーション教育
1980年前後のファンたちの教えあいと学びあいの場 林 緑子
1 アニメーション文化、アニメーション教育、アニメーションサークル
2 ファンによる教えあいと学びあいの場
3 産業・大学・ACによる教えあいと学びあいの場の重層性
4 「東京アニメーション同好会」と「アニメーション・ワークショップ」
5 「東京造形大学アニメーション研究会」と「ANIMATION 80」
6 アニメーション教育につながるACの役割
第9章 コピーライト表記の変遷から見る権利意識とスタジオ史
サンライズの歴史を中心として 一藤 浩隆
1 作品の権利とアニメ制作
2 (C)表記の意味
3 『機動戦士ガンダム』に至るまでの(C)表記の展開
4 (C)表記から見た『機動戦士ガンダム』以降
5 二つの場をつなぐために
第10章 ディズニーはロンドンをアーカイブする
クルエラはなぜパンクの女王だったのか 清水 知子
1 変容するヴィランズ
2 ロンドンとファッション:白と黒のアヴァンギャルド
3 復讐の作法とフェミナイズされた手仕事
4 毛皮と悪女の顛末:ポスト/フェミニズムと動物愛護の展開
5 No Futureの行方:クリエイティヴ・シティに生きる女性と動物たち
補章01 地理学的視点から見たアニメーション産業の地方展開とその動向
産業集積から分散への転換の可能性とその課題 大西 健太
1 アニメーション産業と地理学
2 アニメ産業の立地形態と変容
3 アニメ産業の地方展開とその要因
4 地方圏におけるアニメ制作現場
5 今後の展望
第3部 表象とメディア空間
第11章 フランスにおける日本製アニメの放映状況と視聴の記憶
フランスの「ドラゴンボール世代」の経験から 雪村 まゆみ
1 フランスの「ドラゴンボール世代」とは
2 日本製アニメの海外戦略
3 フランスにおける日本製アニメの放映
4 アニメ視聴の記憶の記録
5 おわりに
第12章 映像のコレクションをめぐる意味づけの複層性
「オタクの代表」と「真のオタクではない」を区別する根拠に注目して 永田 大輔
1 オタクの問題化とビデオ利用
2 「オタクの代表」の宮﨑勤
3 1989年におけるビデオの社会的位置づけと有微性
4 「真のオタク」ではない宮﨑勤という語り
5 変容するコレクションの意味論
6 結論:オタクが語られ始めた論理
第13章 「音楽」を通じて作品を理解すること
アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』における視聴者分析の一事例から 佐々木 啓
1 アニメの感想や意見を述べるという実践
2 先行研究および「音楽」を通じて「作品について語る」ことの意味
3 取り扱う題材について
4 視聴者たちの理解1:「下手」な演奏を「そのようなもの」として聞くこと
5 視聴者たちの理解2:「音楽」を通じて作品の内容を理解するということ
6 視聴者の「方法」の分析と今後の課題
第14章 『ポケモンGO』の現象学
空間・時間・自己・他者 高艸 賢
1 『ポケモンGO』プレイヤーの経験
2 シュッツの多元的現実論
3 認知様式論に基づく分析
4 『ポケモンGO』における空間・時間・自己・他者
第15章 コンテンツや場所を介して立ち上がる対人性愛中心主義批判
二次元の性的創作物への法規制に対する抵抗運動に注目して 松浦 優
1 対人性愛中心主義への批判:クィア・スタディーズにおける二次元性愛
2 多様なスケールにおける二次元性愛のスティグマ化
3 性的創作物と流通する場の重要性
4 モノや場所の連関から立ち上がる対人性愛中心主義批判
補章02 女性を「推す」女性たち
「女ヲタ」の実践とコミュニティの分析 中村 香住
1 女性を「推す」女性に向けられてきた目線
2 「女が女を推す」ことをめぐる多様な理由:資料の分析
3 「趣味縁」としての女ヲタコミュニティ
4 女ヲタコミュニティとセクシュアリティ
5 「女ヲタ」の現状と今後の可能性
終 章 グローバル化するアニメとそれをめぐる知のゆくえ
永田 大輔・松永 伸太朗・杉山 怜美
1 本書の要約と到達点
2 アニメのグローバル化をどのように捉えるか
3 アニメのグローバル化と学問のあり方
上記内容は本書刊行時のものです。