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ドイツ史と戦争 三宅 正樹(編著) - 彩流社
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ドイツ史と戦争 (ドイツシトセンソウ) 「軍事史」と「戦争史」 (グンジシトセンソウシ)

歴史・地理
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発行:彩流社
A5判
縦215mm 横155mm 厚さ27mm
重さ 640g
400ページ
上製
定価 3,800円+税
ISBN
978-4-7791-1657-5   COPY
ISBN 13
9784779116575   COPY
ISBN 10h
4-7791-1657-0   COPY
ISBN 10
4779116570   COPY
出版者記号
7791   COPY
Cコード
C0022  
0:一般 0:単行本 22:外国歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2011年11月
書店発売日
登録日
2011年9月13日
最終更新日
2014年12月19日
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紹介

「戦争は人類が営む一つの社会現象である」との認識で、「軍事史」より広義の「戦争史」の視点から、戦闘の歴史だけでなく、政治、経済、技術、倫理、思想といった社会的要素を意識的に取り入れた多角的な論集。第一部では、「ドイツ統一戦争」から現在までのドイツ史における戦争の位置づけについて概観。第二部では、重要な人物とその思想を取りあげ、戦争史の文脈のもとでのドイツ固有の特質について考察。第三部では、陸・海・空の軍組織に焦点をあて、それぞれの軍事面だけでなく社会的影響の側面にも触れる。第四部では、ドイツの戦争観や戦略思想が世界各国にどう認識、受容されたかを考察。蒋介石軍がドイツ式に武装され、抗日戦で独の軍事顧問団が作戦面でも指揮した事実を明かす。

目次

目 次


戦争史研究の新たなフロンティア――「はじめに」に代えて……………………………………………石津 朋之 11

 第一部 ドイツ史と戦争

第一章 ドイツ統一戦争から第一次世界大戦………………………………………………………………中島 浩貴 21
はじめに 21
一 ドイツ統一戦争 22
二 ドイツ帝国と軍備政策、戦略計画 34
三 ドイツの軍国主義 39
四 第一次世界大戦への道 43
おわりに 48

第二章 第一次世界大戦から第二次世界大戦――二つの総力戦とドイツ………………………………望田 幸男 55
はじめに――二つの総力戦とドイツ 55
一 第一次世界大戦下のドイツ――「結果」としての総力戦のもとで 57
二 戦間期のドイツ――ワイマール共和制とナチス 65
三 第二次世界大戦下のドイツ――「はじめから」の総力戦とホロコーストの道 71
おわりに――戦後への「正」「負」の遺産 81

第三章 冷戦――政治と戦争の転換……………………………………………………………………………新谷 卓 85
はじめに 85
一 戦争する主体「ドイツ帝国」の解体 86
二 脱軍事化から再武装へ 91
三 第二次ベルリン危機・デタント・新冷戦 109
四 連邦軍のNATO域外派兵 116
おわりに 118

 第二部 戦争史と思想

第四章 リュヒェルとシャルンホルスト――転換期における啓蒙の軍人たち…………………………鈴木 直志 125
はじめに 125
一 プロフィール 127
(一)エルンスト・フォン・リュヒェル 127
(二)ゲルハルト・フォン・シャルンホルスト 130
(三)二人の交友 132
二 見解の比較 135
(一)国家と社会 135
(二)戦争と軍隊 130
(三)教養と教育 144
おわりに 149

第五章 モルトケとシュリーフェン……………………………………………………………………………小堤 盾 153
はじめに 153
一 官房戦争から国民戦争へ 155
二 デンマーク戦争と普墺戦争 158
三 普仏戦争と予防戦争 161
四 シュリーフェン論争 165
五 シュリーフェンにおける政治的思考 169
六 シュリーフェン神話の形成 173
おわりに 176

第六章 ルーデンドルフの戦争観――「総力戦」と「戦争指導」という概念を中心に………………石津 朋之 179
はじめに 179
一 ルーデンドルフとその時代 180
二 総力戦とは何か 183
三 ルーデンドルフと総力戦 186
四 戦争指導とは何か 193
五 ルーデンドルフと戦争指導 195
六 ルーデンドルフとクラウゼヴィッツ 197
おわりに 201

 第三部 軍事組織としてのドイツ軍

第七章 ドイツ陸軍――ドイツにおける「武装せる国民」の形成………………………………………丸畠 宏太 205
はじめに――「武装せる国民」の神話と現実 205
一 内からの国民形成と社会の規律化――ウーテ・フレーフェルトのテーゼの再検討 208
二 規律化・抵抗・馴化 212
(一)ライン連盟諸国と徴兵制 212
(二)兵役を通じての国民統合?――プロイセン領ライン地方の実態 216
(三)「第三のドイツ」における兵員補充 221
三 試金石――一八四八・四九年革命と軍隊 225
おわりに――ドイツ統一戦争と「武装せる国民」 228



第八章 ドイツ海軍――海軍の創建と世界展開……………………………………………………………大井 知範 231
はじめに 231
一 プロイセン近代海軍の誕生 234
(一)革命から生まれた「ドイツ艦隊」 234
(二)プロイセン海軍の建設 236
(三)海外展開の始まり 239
二 ビスマルク時代のドイツ帝国海軍 242
(一)シュトシュ時代 242
(二)シュトシュ計画と拠点獲得問題 246
(三)世界展開と砲艦外交 248
おわりに 252

第九章 ドイツの脅威――イギリス海軍から見た英独建艦競争一八九八~一九一八年…………………矢吹 啓 255
はじめに 255
一 十九世紀末のイギリス海軍 258
二 「ドイツの脅威」とイギリス海軍省 261
三 「ドイツの脅威」の政治利用 264
四 英独建艦競争の実態 269
五 「ドイツの脅威」から「イギリスの脅威」へ274
おわりに 281
第十章 ドイツ空軍の成立――ヴァルター・ヴェーファーと『航空戦要綱』の制定……………………小堤 盾 285
はじめに 285
一 ヴァルター・ヴェーファーの航空戦思想 286
二 『航空戦要綱』の制定 293
三 『航空戦要綱』制定の政治的・思想的背景 298
おわりに 303

 第四部 ドイツ軍の世界的影響

第十一章 ヤーコプ・メッケルと日本帝国陸軍…………………………………………………………大久保 文彦 309
はじめに――メッケルの前半生 309
一 メッケル招聘の経緯 310
二 「メッケル少佐」という問題 317
三 陸軍大学校教育に対するドイツ人教官たちの貢献 321
四 明治十年代(一八七七~八六年)の日本陸軍 328
五 メッケルの日本陸軍への貢献 334
おわりに 337

第十二章 コルマール・フォン・デア・ゴルツとオスマン帝国陸軍……………………………………藤由 順子 339
はじめに 339
一 オスマン帝国派遣以前のゴルツとドイツ軍 340
二 オスマン帝国へのドイツ軍事顧問団の派遣 343
三 オスマン帝国陸軍の改革の歴史 344
四 ゴルツによるドイツ軍事顧問団の登場 348
 (一)教育システム 348
 (二)軍団編成 352
五 ゴルツ改革の結実――希土戦争(一八九七年)と青年トルコ革命(一九〇八年)357
おわりに 361

第十三章 アレクサンダー・フォン・ファルケンハウゼンと中華民国陸軍……………………………長谷川 熙 365
はじめに 365
一 ファルケンハウゼンの反ヒトラー意思――その生涯から浮上する伝統性と特異性 366
二 ファルケンハウゼンの中華民国支援の特徴――その抗日性の起源 374
おわりに 386

索引(人名・事項)…………………………………………………………………………………………………………

版元から一言

戦争史研究の新たなフロンティア――「はじめに」に代えて

 本書は社会の変化と戦争の様相の関係性について、ドイツをケース・スタディとして取りあげ歴史的な考察を試みた研究である。
 最初に、「戦争」という言葉が意味するところについて少し説明する必要があろう。プロイセン・ドイツの戦略思想家カール・フォン・クラウゼヴィッツは、戦争は人類が営むひとつの社会現象であるとの認識から大著『戦争論』を書いた。また、ドイツの歴史家ハンス・デルブリュックは、その主著『政治史の枠組みのなかの戦争術の歴史』で、戦争の様相がその時代特有の政治や社会の状況に強く規定される事実を明らかにした。
 さらには、イギリスの歴史家マイケル・ハワード卿は、戦争と社会の関係性に注目することにより「戦争史」という新たな学問領域を確立するとともに、従来の個々の戦闘を分析するだけの狭義の軍事史から脱却し、戦争全体を同時代の大きな社会的文脈のもとで捉えるべきであると唱えた。実際、ハワードの主著『ヨーロッパ史における戦争』は、ヨーロッパの歴史における社会変化とそれにともなう戦争の様相の変遷を分析した書であり、そのなかで彼は、社会が変化するにしたがっていかに戦争が変化したのか、逆に、戦争そのものがいかに社会を変化させたのかについて論じている。
 戦争史研究に対するこうした先人たちの認識は、たとえばやはりハワードの1962年の論考「軍事史の利用と乱用」にもっとも明確にあらわれている。この論考でハワードは、今日的な教訓を安易に導き出そうとする従来の軍事史研究の手法を厳しく批判している。
 前述した『ヨーロッパ史における戦争』の「第一版への序」のなかでハワードは、戦争と社会の関係性について、「戦争を戦争が行なわれている環境から引き離して、ゲームの技術のように戦争の技術を研究することは、戦争それ自体ばかりでなく戦争が行われている社会の理解にとって、不可欠な研究を無視することになります」と指摘している。さらにハワードは、デルブリュックと同様の認識から、「政治史の枠組においてばかりでなく、経済史・社会史・文化史の枠組においても、戦争を研究しなければなりません。戦争は人間の経験全体の一部であり、その各部分は互いに関係づけることによってのみ理解できるのであります。戦争が一体何をめぐって行なわれたのかを知らずには、どうして戦争が行なわれたのかを、十分に記述することはできません」と述べているが、本書『ドイツ史と戦争』の執筆者の立場もこれとまったく同様である。
 またイギリスの歴史家アーサー・マーウィックが、一連の著作のなかで機能論の観点から戦争を考察し、戦争遂行のためにすべての資源・人員と制度を合理的に組織していく結果、戦争という一見非合理な現象が、逆説的にも合理化や近代化を推進しているとの挑発的な議論を展開した事実は記憶に新しい。加えて、ある社会の文脈のもとでの戦争という問題意識から出発したいわゆる「戦争とヨーロッパの社会シリーズ(フォンタナ・シリーズ)」は今日でもその学術的価値が高く評価されている。さらにシュティーク・フェルスターに代表される研究者がワシントンの「ドイツ史研究所」を基盤として、「ドイツ統一戦争」およびアメリカ南北戦争から第二次世界大戦へといたる期間における戦争と社会の関係性を、総力戦という視点から五冊の研究書にまとめている。
 近年では、ポール・ファッセル、ジェイ・ウインター、アネッテ・ベッカー、そしてステファン・オードア=ルゾーに代表される研究者が、記憶や追悼といった視点から「新しい軍事史」の重要性を唱え、第一次世界大戦研究に一石を投じている。またトマス・キューネとベンヤミン・ツィーマンの編著による『軍事史とは何か』にも、文化やジェンダー(性)に関する論考が含まれている。
 戦争と文化の関係性をいち早く指摘したのはジョン・キーガンであったが、その後、やや異なる視点からマーチン・ファン・クレフェルトは『戦争文化論』を、また、パトリック・ポーターはエドワード・サイードの「オリエンタリズム」の概念を援用して「軍事オリエンタリズム」について論じており、さらには、日本でも比較的知られているアメリカの歴史家ジョン・ダワーは、真珠湾奇襲攻撃(太平洋戦争)と2001年の「9・11アメリカ同時多発テロ事件」以降のアメリカ国民の反応を文化という視点から比較分析した著作を発表している。
 日本でも近年、阪口修平がその編著『歴史と軍隊――軍事史の新しい地平』の序章で、幅広い視点からの軍事史研究を「新しい軍事史」あるいは「広義の軍事史」と定め、この分野における日本での研究の必要性を指摘しているが、本書『ドイツ史と戦争』は、あえて「戦争史」といった言葉を用いつつも、同様の目的を達成しようとする試みである。つまり、本書が最終的な目的とするのは狭義の軍事史の執筆に留まるのではなく、社会の変化に呼応して変遷する戦争の様相であり、そしてこれを、ドイツをケース・スタディとして歴史的に考察することである。繰りかえすが、本書の執筆者の問題意識は、戦争は人類が営むひとつの社会現象であるとの認識から来ている。そして、本書での「戦争史」という言葉は「軍事史」より広義の概念であり、戦闘の歴史はもとより、政治、経済、技術、倫理、思想といった社会的な要素をすべて包含するものである。
 それでは、本書の内容について簡単に紹介しておこう。第一部「ドイツの歴史と戦争」では、「ドイツ統一戦争」から今日にいたるまでのドイツ史における戦争の位置づけについて概観する。
 第一章「ドイツ統一戦争から第一次世界大戦」(中島浩貴)では、1860年から1914年にいたるプロイセン・ドイツ軍の状況を概観し、軍事組織や戦略面での新しい戦争への対応、外交政策や国内政治との関連性、軍の社会的影響力といった問題を検討する。第二章「第一次世界大戦から第二次世界大戦――二つの総力戦とドイツ」(望田幸男)では、第一次世界大戦と第二次世界大戦をともに「総力戦」と捉え、ドイツの役割と動向を中心にその様相と影響・結果からこの二つの世界大戦の特質を論述する。第三章「冷戦――政治と戦争の転換」(新谷卓)では、冷戦下のドイツの主体性を視野に入れながら、基本法のなかでドイツ(西ドイツ)連邦軍がどのように再建されたのか、軍事的な主権を制限しながらドイツの安全保障システムがどのように構築されたのかといった問題を中心に論じている。
 第二部「戦争史と思想」では、ドイツの戦争の歴史のなかで重要な人物とその思想を取りあげるとともに、陸・海・空といった軍種に注目することにより、戦争史という文脈のもとでのドイツ固有の特質についてさらに掘りさげて考察する。
 第四章「リュヒェルとシャルンホルスト――転換期における啓蒙の軍人たち」(鈴木直志)では、「プロイセン保守主義の権化」として否定的イメージで語られることが多いエルンスト・フォン・リュヒェルと、「ドイツ国民軍の父」または「クラウゼヴィッツの第二の父」として現在でもなお伝説的な存在であるゲルハルト・フォン・シャルンホルストについて扱い、この二人の軍人に対する位置づけを「啓蒙の軍人」という視点から問いなおす。第五章「モルトケとシュリーフェン」(小堤盾)では、ヘルムート・フォン・モルトケ(大モルトケ)とアルフレート・フォン・シュリーフェンに対するシュティーク・フェルスターやテレンス・ツーバーらによる最新の研究成果を踏まえながら、この二人のドイツ軍人が有する政治的な問題性について、具体的な事例を取りあげながら考察を行う。第六章「ルーデンドルフの戦争観――『総力戦』と『戦争指導』という概念を中心に」(石津朋之)では、総力戦と戦争指導という概念を手がかりに、第一次世界大戦でのドイツの実質的な戦争指導者であったエーリヒ・ルーデンドルフの思想を考察する。ここでは、従来から過大に評価されているルーデンドルフの戦略思想を批判的に分析し、彼の等身大の人物像と思想を描く。
 第三部「軍事組織としてのドイツ軍」では、陸軍・海軍・空軍それぞれの軍組織に焦点をあてていく。
 第七章「ドイツ陸軍――ドイツにおける『武装せる国民』の形成」(丸畠宏太)では、ドイツでの国民の結集が、革命運動をへることなく、兵役義務を通じて、既存国家の軍事組織に国民を統合するかたちでなし遂げられた点を重視し、プロイセン以外のドイツ諸国にも注目しながら、一九世紀ドイツにおける兵役を通じての国民統合の実態に迫る。第八章「ドイツ海軍――海軍の創建と世界展開」(大井知範)では、プロイセン・ドイツ海軍の設立の歴史を取りあげ、帝国の建設と発展に合わせて海軍が成長する過程を俯瞰する。ここでは、伝統的な陸軍国のなかにあって、海軍が海外での活動に自身の存在意義を見出し、これが軍隊としての飛躍の原動力となっていった状況が論じられる。第九章「ドイツ空軍の成立――ヴァルター・ヴェーファーの航空戦思想と『航空戦要綱』の制定」(小堤盾)では、空軍参謀総長ヴァルター・ヴェーファーの空軍観を反映した『航空戦要綱』を中心に検討を加え、ドイツ空軍の用兵思想の特色を明らかにするとともに、それらがナチス・ドイツ下での戦争観とどのような関わりをもったのかについて考察する。第十章「ドイツの脅威――イギリス海軍から見た英独建艦競争 一八九八~一九一八年」(矢吹啓)では、一九世紀末に始まるドイツの海軍増強が、海洋支配により帝国を維持してきたイギリスにとって重大な軍事的挑戦であった一方で、イギリスが「ドイツの脅威」をどのように受容し、利用し、そして対処したのかを政治と戦略の視点から分析する。
 第四部「ドイツ軍の世界的影響」では、ドイツの戦争観や戦略思想が世界各国にどのように認識あるいは受容されたかについて考察する。
 第十一章「ヤーコプ・メッケルと日本帝国陸軍」(大久保文彦)は、宿利重一が築いた「メッケル少佐」像を批判的に検討し、ヤーコプ・メッケルの貢献が日本の陸軍大学校の教育に対してよりも、むしろ日本の陸軍全体の近代化に資するものであったことを指摘する。第十二章「コルマール・フォン・デア・ゴルツとオスマン帝国陸軍」(藤田順子)では、オスマン帝国とドイツ軍事使節団との関係についてドイツ側の研究に加え、新たに入手したオスマン・トルコ側の史料を手がかりにすることで、オスマン帝国陸軍に与えたドイツの影響を明らかにする。第十三章「アレクサンダー・フォン・ファルケンハウゼンと中華民国陸軍」(長谷川熙)は、経済的な補完関係を背景に戦間期に中華民国と協力関係を強めたアレクサンダー・フォン・ファルケンハウゼンについて扱う。ここでは、中華民国の蒋介石の直轄軍がドイツ式に武装され、日本との戦争ではドイツの軍事顧問団が作戦面でも指揮にあたった事実、さらには、日本を持久戦へと巻きこんだ状況が描き出されている。

(社)日本図書館協会 選定図書

著者プロフィール

三宅 正樹  (ミヤケ マサキ)  (編著

明治大学名誉教授。
京都大学文学部卒業、京都大学大学院博士課程修了、文学博士、国立国会図書館調査局、神奈川大学を経て、明治大学教授、ウィーン、ハイデルベルク、ロンドンに留学、ベルリン自由大学客員教授、国際歴史学会本部事務局(ローザンヌ・パリ)理事を歴任。
業績:『日独伊三国同盟の研究』南窓社、1975年(単著)、『ヒトラーと第二次世界大戦』清水書院、1984年(単著)、『日独政治外交史研究』河出書房新社、1996年(単著)、『政軍関係研究』芦書房、2001年(単著)、『ユーラシア外交史研究』河出書房新社、2000年(単著)、『昭和史の軍部と政治』第一法規、1983年、全五巻(共編著)、『概説ドイツ史(新版)』有斐閣、1992年(共編著)、Die Idee eines eurasischen Blocks Tokio-Moskau-Berlin-Rom 1939-1941, in: Internationale Dilemmata und europäische Visionen (Berlin:LIT, 2010)(論文)、チブラ『世界経済と世界政治──再建と崩壊 一九二二~一九三一年』みすず書房、1989年(翻訳)、ベルクハーン『軍国主義と政軍関係──国際的論争の歴史』南窓社、1991年(翻訳)ほか。

石津 朋之  (イシヅ トモユキ)  (編著

防衛省防衛研究所戦史研究センター国際紛争史研究室長、拓殖大学、放送大学非常勤講師、「歴史と戦争研究会」代表。
獨協大学卒、ロンドン大学SOAS及び同大学キングスカレッジ大学院修士課程修了、オックスフォード大学大学院研究科修了。ロンドン大学キングスカレッジ名誉客員研究員、英国王立統合軍防衛安保問題研究所(RUSI)研究員を歴任。
業績:『リデルハートとリベラルな戦争観』中央公論新社、2008年(単著)、『クラウゼヴィッツと「戦争論」』彩流社、2008年(共編著)、『名著で学ぶ戦争論』日本経済新聞出版社、2009年(編著)、『戦略原論──軍事と平和のグランド・ストラテジー』日本経済新聞出版社、2010年(共編著)、Conflicting Currents: Japan and the United States in the Pacific (Santa Barbara, Calif: Praeger, 2010)(共編著)、クレフェルト『戦争文化論』上下巻、原書房、2010年(監訳)ほか。

新谷 卓  (アラヤ タカシ)  (編著

明治大学元非常勤講師。
明治大学大学院博士後期課程修了、博士(政治学)。
業績:『冷戦とイデオロギー 一九四五~一九四七──冷戦起源論の再考』つなん出版、2007年(単著)、『比較外交政策──イラク戦争への対応外交』赤石書店、2004年(共著)、『55年体制の政治──一九五五~一九六四』つなん出版、2005年(共編著)、『クラウゼヴィッツと「戦争論」』彩流社、2008年(共著)、『アメリカ大統領事典』大空社、2009年(共著)。「Re-Thinking The Origins of the Cold War, 1945-1947: Did Soviet Behavior Stem from Its Internal Nature?」『政経論叢』第72号第2・3号、明治大学政治経済研究所、2004年(論文)。「エルンスト・ノルテ研究のために──イデオロギーの内戦としての20世紀」『戦略研究』第6号、2008年(ヒストリオグラフィー)ほか。

中島 浩貴  (ナカジマ ヒロキ)  (編著

東京電機大学助教。
立正大学卒業、立正大学大学院修士課程修了、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得。
業績:『クラウゼヴィッツと「戦争論」』彩流社、2008年(共著)、「一八九二年軍事法案とヴィルヘルム期の軍と議会──ドイツ第二帝政期の政軍関係の一視点」『立正西洋史』第18号、2002年(論文)、「一八九二/九三年軍事法案と中央党──利害対立と反軍国主義との間で」『立正西洋史』(第19号、2003年)(論文)、「ドイツ第二帝政期の自由主義と軍隊──オイゲン・リヒターを中心に」『戦略研究』第5号、2007年(論文)、「フリードリヒ・エンゲルスと将来戦──イデオロギーと客観性の間で」『立正西洋史』第24号、2007年(論文)、マーレーほか編『戦略の形成──支配者、国家、戦争』中央公論新社、上下巻、2007年(共訳)ほか。

大井 知範  (オオイ トモノリ)  (著/文

明治大学非常勤講師。
明治大学卒業、明治大学大学院博士後期課程修了、博士(政治学)。
業績:「第一次世界大戦前のアジア・太平洋地域におけるドイツ海軍――東洋巡洋艦隊の平時の活動と役割」『政経論叢』第77巻第3・4号、2009年(論文)、「19世紀中葉の『ドイツ』の世界遠征――海軍・ナショナリズム・『植民地主義』の観点から(Ⅰ)(Ⅱ)」『政治経済史学』第514号・515号、2009年(論文)、「第一次世界大戦におけるドイツ東アジア巡洋艦隊――E・レーダー『巡洋艦戦争』に見るドイツ海軍戦略の失敗要因」『戦略研究』第9号、2011年(論文)、『クラウゼヴィッツと「戦争論」』彩流社、2008年(翻訳)ほか。

大久保 文彦  (オオクボ フミヒコ)  (著/文

明治学院大学非常勤講師。
早稲田大学卒業、東京大学大学院博士後期課程単位取得。
業績:「陸軍三長官会議の権能と人事──省部関係業務担任規定 (大正二年)に関する一考察」『史學雜誌』第103巻第6号、1994年(論文)。「日清戦後陸軍軍制に関する一考察──徴兵制の変化と軍備拡張」(第九三回史学会大会報告)史學雜誌』第 104巻第12号、1995年(報告)ほか。

小堤 盾  (コヅヅミ ジュン)  (著/文

軍事史研究家。
早稲田大学卒業、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得、早稲田大学、武蔵大学非常勤講師、金沢工業大学国際問題研究所元研究員。
業績:『デルブリュック(戦略論大系)』芙蓉書房出版、2008年(編著)、『クラウゼヴィッツと「戦争論」』彩流社、2008年(共著)、『戦略思想家辞典』芙蓉書房出版、2003年(共著)、「モルトケからシュリーフェンへ」『史観』(第145巻、2001年)(論文)、マーレーほか『歴史と戦略の本質』上下巻、原書房、2011年(共訳)ほか。

鈴木 直志  (スズキ タダシ)  (著/文

桐蔭横浜大学教授。
中央大学卒業、中央大学大学院博士後期課程単位取得。
業績:『ヨーロッパの傭兵』山川出版社(世界史リブレット)、2003年(単著)、阪口修平・丸畠宏太編著『軍隊(近代ヨーロッパの探求⑫)』ミネルヴァ書房、2009年(共著)、阪口修平編著『歴史と軍隊──軍事史の新しい地平』創元社、2010年(共著)、『クラウゼヴィッツと「戦争論」』彩流社、2008年(共著)、「ベローナが解き放たれる時──啓蒙期ヨーロッパの戦争論と平和論」『史林』第93巻第1号、2010年(論文)、ブレーカー『スイス傭兵ブレーカーの自伝』刀水書房、2000年(共訳)、プレーヴェ『19世紀ドイツの軍隊・国家・社会』創元社、2010年(共訳)ほか。

長谷川 熙  (ハセガワ ヒロシ)  (著/文

ライター。
慶應義塾大学卒業、朝日新聞記者、朝日新聞社発行の雑誌『アエラ』記者をへて、現在フリーライター。
業績:『コメ国家黒書』朝日新聞社、1984年(単著)、『新幹線に乗れない 農薬被曝列島』築地書館、2006年(単著)、『松岡利勝と「美しい日本」』朝日新聞社、2007年(単著)、『アメリカに問う 大東亜戦争の責任』朝日新聞社、2007年(単著)、『総合商社』朝日新聞社、1977年(共著)、『食糧 何が起きているか』朝日新聞社、1983年(共著)ほか。

藤由 順子  (フジヨシ ジュンコ)  (著/文

東京理科大学非常勤講師。
明治大学卒業、明治大学大学院博士後期課程修了、博士(政治学)。
業績:『ハプスブルク・オスマン両帝国の外交交渉 一九〇八~一九一四』南窓社、2003年(単著)、『ベルリン、ウィーン、東京──二〇世紀前半の中欧と東アジア』論創社、1999年(共著)、「第二次憲政期のオスマン帝国の外交とボスニア危機 一九〇八~一九〇九年(一)(二)」『政治経済史学』第352号・第353号、1995年(論文)ほか。

矢吹 啓  (ヤブキ ヒラク)  (著/文

キングス・カレッジ・ロンドン博士課程院生。
東京大学卒業、東京大学大学院修士課程修了、現在キングス・カレッジ・ロンドン博士課程在籍中。
業績:「イギリス海軍の太平洋防衛政策と日本脅威」『クリオ』第19号、2005年(論文)、‘Britain and the resale of Argentine cruisers to Japan before the Russo-Japanese War,’ War in History, Vol. 16, No. 4, 2009(論文)、「20世紀初頭の英国海軍史における修正主義──フィッシャー期、1904-1919」『歴史学研究』第851号、2009年(ヒストリオグラフィー)、パタラーノ「「海軍」から「海自」へ──戦後日本のシーパワー」『軍事史学』第44巻、第4号、2009年(翻訳)、ランバート「戦略家のための歴史──ジュリアン・コーベット、海軍士官教育、そして国家戦略」『戦略研究』第8号、2010年(翻訳)ほか。

丸畠 宏太  (マルハタ ヒロタ)  (著/文

敬和学園大学教授。
京都大学卒業、京都大学大学院博士後期課程単位取得、ドイツ軍事史研究所、フライブルク大学、フランクフルト大学に留学、ポツダム大学客員研究員。姫路獨協大学外国語学部准教授を経て現職。
業績:『近代ドイツ=資格社会の展開』名古屋大学出版会、2003年(共著)、『クラウゼヴィッツと「戦争論」』彩流社、2008年(共著)、『軍隊(近代ヨーロッパの探求⑫)』ミネルヴァ書房、2009年(共編著)、『歴史と軍隊――軍事史の新しい地平』創元社、2010年(共著)、「ビーダーマイヤー時代のドイツ軍隊」『姫路法学』第29・30合併号、2000年(論文)、「十九世紀ドイツにおける徴兵制と兵役の肩代わり」『姫路獨協大学外国語学部紀要』第12号、1999年(論文)、「下からの軍事史と軍国主義論の展開――ドイツにおける近年の研究から」『西洋史学』第226号、2007年(研究動向)、グルーナー『ヨーロッパの中のドイツ 一八〇〇~二〇〇二年』ミネルヴァ書房、2008年(共訳)ほか。

望田 幸男  (モチダ ユキオ)  (著/文

同志社大学名誉教授。
京都大学卒業、京都大学大学院文学研究科博士課程修了、同志社大学教授。
業績:『比較近代史の論理』ミネルヴァ書房、1970年(単著)、『近代ドイツの政治構造』ミネルヴァ書房、1972年(単著)、『ヨーロッパの世紀』講談社、1978年(共著)、『ドイツ統一戦争』教育社、1979年(単著)、『軍服を着る市民たち』有斐閣、1983年(単著)、『ふたつの近代』朝日新聞社、1988年(単著)、『ナチス追及』講談社、1990年(単著)、『国際比較・近代中等教育の構造と機能』名古屋大学出版会、1990年(編著)、『近代ドイツ=「資格社会」の制度と機能』名古屋大学出版会、1995年(編著)、『ドイツ・エリート養成の社会史』ミネルヴァ書房、1998年(単著)、『近代ドイツ=資格社会の展開』名古屋大学出版会、2003年(編著)、『二つの戦後、二つの近代』ミネルヴァ書房、2009年(単著)、ブラックボーンほか『現代歴史叙述の歴史』晃洋書房、1983年(翻訳)、ミュラーほか編『国際セミナー・現代教育システムの形成』晃洋書房、1979年(監訳)、U.リンゼ『ワイマール共和国の預言者たち』ミネルヴァ書房、1989年(共訳)、ファークツ『ミリタリズムの歴史』福村出版、1994年(単訳)、ヒルバーグ『ヨーロッパ・ユダヤ人の絶滅』柏書房、1997年(共訳)、ラカー編『ホロコースト大辞典』柏書房、2003年(共訳)、ゴールドハーゲン『普通のドイツ人とホロコースト』ミネルヴァ書房、2007年(監訳)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。