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賢治の描いたサイエンスファンタジー 四ヶ浦 弘(著) - 仮説社
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賢治の描いたサイエンスファンタジー (ケンジノエガイタサイエンスファンタジー) 実験で楽しむ宮沢賢治 (ジッケンデタノシムミヤザワケンジ)

自然科学
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発売:仮説社
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ7mm
重さ 204g
104ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-7735-0307-4   COPY
ISBN 13
9784773503074   COPY
ISBN 10h
4-7735-0307-6   COPY
ISBN 10
4773503076   COPY
出版者記号
7735   COPY
Cコード
C0044  
0:一般 0:単行本 44:天文・地学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年4月16日
書店発売日
登録日
2021年4月28日
最終更新日
2022年1月24日
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紹介

宮沢賢治は,たくさんの詩や童話を書いていますが,その中には科学の言葉がたくさん出てきます。たとえば,「真空溶媒」(『春と修羅』)という詩には,
「融銅はまだ眩めかず 白いハロウも燃えたたず……」
という表現が見られます。
この,「融銅」とは一体どんなものなのでしょうか?
それは,実験で,実際に見ることができます。

そんなふうに,宮沢賢治の作品の中に出てくる言葉で,実験や実物が見られるものを再現してみたのが本書です。
宮沢賢治がどんなことを思い描きながら詩などを書いたのか,その幻想的な世界がよりリアルに浮かんできます。

目次

☆ 賢治の実験講座がはじまるまで
❶ 宮沢賢治は実験が好きだったに違いない
❷ さっぱりわからない「真空溶媒」だけれど...
❸ 正直にわからないといえばいい

第1部 詩集『春と修羅』と「真空溶媒」
❶ 融銅はまだ眩めかず
❷ 孔雀石から融銅の眩めき、そして中から・・・
❸ 「真空溶媒」の場面展開
❹ 「真空溶媒」という言葉の意味
❺ アンネリダ・タンツェーリンも「真空溶媒」です
❻ 『春と修羅』序文と二つの「真空溶媒」
❼ 心象童話「インドラの網」と賢治の描く宗教世界
❽ 真空溶媒 (Eine Phantasie im Morgen)
❾ 蠕虫舞手 アンネリダ・タンツェーリン
❿ 「真空溶媒」の科学と実験解説

第2部 賢治の作品に描かれた科学を楽しもう
❶ 「双子の星」のアートと科学
❷ 水晶とガラス
❸ ガラスと水晶の見分け方
❹ 金属と宝石の色
❺ 過冷却:目の前でみるみる結晶ができる?
❻ 劈開:鉱物は規則正しく割れていく
❼ 虹とスペクトル
❽ 金属の種類で炎の色が変わる
❾ 燐光と蛍光
❿ 賢治の描く植物と光 烏瓜
⓫ 賢治が大好きだった金属 その1 銅
⓬ 賢治が大好きだった金属 その2 白金
⓭ 賢治が大好きだった金属 その3 銀と水銀
⓮ 賢治が大好きだった金属 その4 金と王水
⓯ 実験に対する想いと「毒もみのすきな署長さん」
⓰ 実験で、本当の考えとうその考えを分ける

おわりに
文献

前書きなど

◎はじめに
2016 年は宮沢賢治生誕 120 年。あちこちで賢治の世界を楽しむ企画 が催されました。ところが興味を持って作品を手にしてみると、なん だかよくわからず(宮沢賢治ってこんなだったっけ?)と本を閉じて しまうことが...。
実は私がそうでした。親しみやすそうで難解な賢治の世界。ところが、彼からのメッセージを確実に受け取れる方法があったのです。賢治の表現にはその基になる実験や現象が潜んでいて、それを再現してみると、これまで見えなかったものがイメージ豊かに見えてくることがわかり、ワクワクドキドキの探求物語が始まりました。
どんな実験からどんな世界が拡がるのか、皆さんもご一緒に、賢治の描いたサイエンスファンタジーの世界を楽しんでみませんか?

◎動画について
この本で紹介した実験の多くは QR コードをスマートフォン等の QR コードリーダーで読み取って頂くことで動画で見ることができます。

◎表紙について
この本はカバーと表紙で絵が異なります。賢治の描く階層的宇宙を 表現するためですが、カバーは「真空溶媒」で描かれた大きな宇宙、 表紙は「アンネリダ・タンツェーリン」で描かれた小さな宇宙を表し ています。(本書p16 参照)


◎おわりに
ここまで賢治の好きだった実験を楽しみながら作品を読み進めてくるうちに、板谷英紀さんの「化学的な事象の観念的な理解を通じてでなく感覚的な感動を通して賢治を好きになる」という言葉が実感できてきたこと、そしてすごく賢治を身近に感じて共感している自分がいることに驚いています。
美しいものに魅せられながら、そして現実に悩みながら新しい世界を拓いていた賢治は、心には熱いロマンとともに、たまらない寂しさを併せ持っていたようです。
それは『春と修羅』について、
「(ベートーベンの)『運命』や『月光』に感動し〈繰り返し我ら を訪れる運命の表現の素晴らしさ。おれもぜひこういうものを書かね ばならない〉と言いながら書き出したのが『春と修羅』である」(文 献 12)
と弟の清六さんが記していることや、賢治自身が知人にあてた 手紙の中で
「まったくさびしくてたまらず、美しいものがほしくてた まらず、ただ幾人かの完全な同感者から「あれはそうですね」という ようなことを、ぽつんと言われる位がまずのぞみというところです」
と記していること(文献 13)からも伺われました。
私もそんな賢治から、少しでも「あれはそうですね」といえる感動 と共感を受け継いだ 1 人として
「人も、泥炭も、サソリも、ナマコも 皆、同じ。助け合い、思いやりあっていこうよ。美しいものを一緒に みよう。つまらない争いなどどうでもよくなるよ。」
という彼からの 暖かいメッセージを伝えていければいいなと思います。
私の「実験で楽しむ宮沢賢治の世界」への旅もまだ始まったばかりです。

著者プロフィール

四ヶ浦 弘  (シカウラ ヒロシ)  (

四ヶ浦 弘 (シカウラ ヒロシ) (著)
四ヶ浦 弘
金沢高等学校講師。石川県立大学非常勤講師。
科学教育研究協議会,仮説実験授業研究会会員。
東京都立大学卒業。
金沢大学大学院自然科学研究科地球環境科学専攻博士後期課程修了。理学博士。

金沢高等学校で長年理科の教師を務める傍ら,金沢の砂金のほか,特産の金,真鍮,白金,銀等の箔を使った実験の開発や研究に高校生とともに取り組んできました。〈金沢・金の科学館〉は,これらの実験やものつくりを楽しむ〈出前実験科学館〉です。その活動に宮沢賢治の科学が加わり,みなさんとその世界を楽しんでいます。

細川 理衣  (ホソカワ リエ)  (イラスト

「ものがたり」のあるものをテーマとして絵、その他の制作に取り組んでいます。幼い頃より絵を描くことが好きでしたが、2005年にガラスペンと出会い、独学でガラスペンとインクを用いた絵を描き始めるようになりました。2005年より金沢を拠点に制作活動を続けています。県内外の展覧会で発表を多数行う他、イラスト、挿絵、絵本も手掛けています。

上記内容は本書刊行時のものです。