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日本人戦犯裁判とフランス 難波ちづる(著) - 慶應義塾大学出版会
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日本人戦犯裁判とフランス (ニホンジンセンパンサイバントフランス) インドシナ・サイゴン裁判・東京裁判をめぐる攻防

歴史・地理
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四六判
縦188mm 横128mm 厚さ17mm
重さ 290g
256ページ
定価 2,600 円+税   2,860 円(税込)
ISBN
978-4-7664-3035-6   COPY
ISBN 13
9784766430356   COPY
ISBN 10h
4-7664-3035-2   COPY
ISBN 10
4766430352   COPY
出版者記号
7664   COPY
Cコード
C0021  
0:一般 0:単行本 21:日本歴史
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2025年6月25日
書店発売日
登録日
2025年5月2日
最終更新日
2025年6月11日
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紹介

裁く権限はどこにあるのか――

日仏の奇妙な「共存」の果てに、戦後の裁きは行われた。
日仏越の最新の資料を用いて、忘却された戦犯裁判の実態と、そこに表れる植民地主義の根深さに迫る。

東京裁判とBC級裁判では、「戦勝国」かつ「被害者」である連合国が、日本人による戦争犯罪の審議を行った。そのうちの一国がフランスであったが、第二次世界大戦下にドイツ占領下に置かれたフランスは、インドシナで駐留する日本と協力関係を築いていた。このような状況にあったフランスが、日本人戦犯裁判にどう関与していたのかほとんど知られていない。
本書では日仏共存した仏領インドシナ時代から、サイゴン裁判、東京裁判に至るまでの過程を克明に再現し、「未完の脱植民地化」を明らかにする。

目次

はじめに――日本人戦犯裁判を読み直す

第一章 第二次世界大戦期のインドシナ――日本とフランスの「共存」
 はじめに
 1 日本の仏印進駐とフランスの対応
   仏印軍の脆弱さと日本軍の北部仏印進駐/ランソン武力進駐事件/
   南部仏印進駐と太平洋戦争の開始/日本人とフランス人の競合/日仏の奇妙な共存
 2 インドシナのヴィシー化 
   国民革命の展開/フランス人の二枚舌/青年運動の展開/
   ベトナム民族意識高揚への加担/ドゴール派の弾圧
 3 日仏の協力?
   共同支配のカムフラージュ/「文化交流」という枠組み/日本語教育をめぐる攻防/
   プロパガンダにおける戦略/日本によるラジオ放送や出版物
 おわりに

第二章 戦後インドシナをめぐる混乱と「清算」
 はじめに
 1 残留日本人という脅威
   ベトミンによるリクルート/フランスの対応と日本の協力/ベトミンの警戒
 2 ヴィシー派植民地当局の責任追及
   インドシナにおける「粛清」/フランスでの調査委員会/ヴィシー主義普及に対する糾弾
 3 日本との共存に対する批判
   日本のプロパガンダの影響/問われた「親日度」/日本人に対する「抵抗」の強調/
   日本人との不都合な協力関係
 4 ドゴール派弾圧とレジスタンス活動の不在
   ドゴール派密告の追及/反駁する者たち/レジスタンスの「捏造」
 おわりに

第三章 サイゴン裁判で何が裁かれたのか
 はじめに
 1 裁判開廷への道 
   連合国戦争犯罪委員会の設置/インドシナにおける戦犯調査の準備/
   イギリス軍と中国軍の駐留/フランスには戦犯処理の権限があるのか/
   フランスによる戦犯調査の開始/フランスと中国の確執/フランスの執念
 2 サイゴン裁判の概要
   裁判開廷/何が裁かれたのか/裁かれなかったもの
 3 裁判の判決
   クラチエ事件裁判(第三号事件)/プノンペン憲兵隊裁判(第八号事件)/
   ニャチャン憲兵隊裁判(第九号事件)/サイゴン憲兵隊裁判(第一一号事件)/
   パクセ収容所裁判(第一三号事件)/仏印捕虜収容所裁判(第一四号事件)/
   ハノイ憲兵隊裁判(第二九号事件)/ランソン虐殺事件裁判(第三九号事件)/
   高官の免訴
 4 裁判のその後――服役と恩赦
   プロコンドール島での生活/恩赦
 おわりに

第四章 東京裁判というアリーナ――連合国と法律家たちの思惑
 はじめに
 1 裁判開廷への道
   国際法廷の設置/困難な人選/アメリカによる任命
 2 訴因をめぐる攻防
   フランス代表団の到着/オネトの格闘/法廷外の奮闘
 3 フランスによる立証段階
   証拠の収集/言語をめぐる騒動/オネトによる立証/弁護側の反論/フランスの復権
 4 判決をめぐる思惑 
   多数派判事による判決/ベルナール判事の個別意見/ベルナールに対する反応/
   ペシュコフの見解と減刑の提案
 おわりに

おわりに――植民地主義の根深さ

 注
 年表
 参考文献
 あとがき
 索引

著者プロフィール

難波ちづる  (ナンバチヅル)  (

慶應義塾大学経済学部教授。専門はフランス植民地史(インドシナ)。1995年慶應義塾大学経済学部卒業、1997年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2006年リュミエール・リヨン第2大学博士課程修了(歴史学博士)。

上記内容は本書刊行時のものです。