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時を漂う感染症
国際法とグローバル・イシューの系譜
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年8月20日
- 書店発売日
- 2021年8月13日
- 登録日
- 2021年7月16日
- 最終更新日
- 2021年8月12日
書評掲載情報
2021-10-30 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
▼疫病と世界の変容をめぐる170年を描く。
▼感染症への国際的対応を読み解くキーワード、それは「国際法」の歴史にあった。
▼ペスト、コレラ、天然痘、エイズ、SARS、新型コロナウイルス…。国際社会において、感染症と国際法がどのように交わり、変化し、次の世代に継承されていったのか。「国際法」というレンズを通して描きながら、現在世界が直面する問題に切り込む意欲作。
「ウイルスや細菌などの病原体は人体に侵入して寄生・増殖し、やがて症状を引き起こす。それが、感染症という病である。結核菌や麻しんウイルスといった感染症の病原体は、飛沫核(飛沫から水分が蒸発した小さな粒子)となっても感染性を失わず、空間を漂って移動する。ただし、感染症が漂うのは空間だけではない。コレラ、ペスト、HIV/エイズ、重症急性呼吸器症候群(SARS: Severe Acute Respiratory Syndrome)、エボラ出血熱、新型インフルエンザ、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)。入れ替わり立ち替わり登場し、あるいはその姿を変えながら再登場する感染症が、悠久の時の流れから消えたことはない。時間軸という名の気流に乗り、過去から現在、未来へと間断なく移り動く様は、さながら、「時を漂う感染症」である。」(本書「はじめに」から)
目次
はじめに/凡例
第1編 1851年 ─ 1940年代中頃
第1章 1851年 ─1890年代 ─ 国際衛生会議と国際衛生条約
第1節 コレラとペスト/第2節 背景と経緯/第3節 国際衛生会議の
始まり /第4節 国際衛生条約の誕生
第2章 1900年代 ─1910年代 ─ 東方の脅威からの防衛
第1節 黄熱/第2節 背景と経緯/第3節 1903年「国際衛生条
約」 /第4節 1907年「公衆衛生国際事務局のパリにおける設立に
関する国際協定」 /第5節 1912年「国際衛生条約」
第3章 1920年代 ─ 欧州から世界へ
第1節 チフスと天然痘 /第2節 背景と経緯 /第3節 1926年「国際
衛生条約」
第4章 1930年代 ─ 海陸から空へ
第1節 空と感染症 /第2節 背景と経緯 /第3節 1933年「航空国際
衛生条約」 /第4節 1938年「1926年国際衛生条約を修正するための
条約」 /第5節 1900年代–1930年代までの国際衛生条約の性質
第5章 1940年代中頃 ─ 第二次世界大戦
第1節 戦争と感染症 /第2節 背景と経緯 /第3節 1944年「1926
年国際衛生条約を修正するための条約」 /第4節 1944年「1933年航
空国際衛生条約を修正するための条約」 /第5節 1944年国際衛生条
約の性質 /第6節 1946年「1944年条約を延長するための議定書」
第2編 1940年代後半 ─ 1970年代
第6章 1940年代後半 ─ WHOの誕生
第1節 汎米衛生局(PASB)─世界最古の国際保健機関 /第2節 背
景と経緯 /第3節 WHO憲章 /第4節 WHOの権限の行使
第7章 1950年代 ─ 国際衛生規則
第1節 マラリア根絶プログラム /第2節 背景と経緯 /第3節 国際
衛生規則の概要 /第4節 国際衛生規則の性質
第8章 1960年代 ─1970年代 ─ 国際保健規則
第1節 冷戦と感染症 /第2節 背景と経緯 /第3節 国際衛生規則か
ら国際保健規則へ /第4節 乖離と衰退
第3編 1980年代 ─ 2020年
第9章 1980年代 ─1990年代 ─ 国際人権法との連動
第1節 HIV/エイズ /第2節 背景と経緯 /第3節 1980年代─自由
権 /第4節 1990年代─社会権
第10章 2000年代 ─ 国際保健規則の再生を目指して
第1節 重症急性呼吸器症候群(SARS: Severe Acute Respiratory
Syndrome) /第2節 背景と経緯 /第3節 2005年「国際保健規
則」の内容と性質
第11章 2010年代 ─ 安全保障との連動
第1節 エボラ出血熱 /第2節 背景と経緯 /第3節 国連エボラ緊急
対応ミッション /第4節 感染症の安全保障化と米国
第12章 2020年 ─ COVID-19(新型コロナウイルス感染症)と新たな課題
第1節 COVID-19(新型コロナウイルス感染症) /第2節 背景と経
緯 /第3節 中国の国家責任 /第4節 ダイヤモンド・プリンセス号
と2005年「国際保健規則」
第4編 グローバル・イシュー
第13章 感染症医薬品と特許権
第1節 1980年代まで /第2節 1990年代─TRIPS協定 /
第3節 2000年代─ドーハ宣言と国際人権法
第14章 ワクチン
第1節 2011年─パンデミックインフルエンザ事前対策枠組み(PI
P) /第2節 2020年–2021年─COVAX /第3節 医薬品へのアクセ
ス─感染症治療薬とワクチン
第15章 生物兵器とバイオテロ
第1節 第二次世界大戦以前─感染症の武力化とその制限 /
第2節 1960年代以降─生物兵器禁止条約 /第3節 冷戦終結
以降─バイオテロの脅威
第16章 時を漂う感染症 ─ レジーム論から見る国際法の軌跡
第1節 1851年–1940年代中頃─欧州レジーム /第2節 1940年代後
半–1970年代─国際レジーム /第3節 1980年代–2020年─グローバ
ル・ガバナンスへ?
主要文献一覧/おわりに/索引
上記内容は本書刊行時のものです。