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フツーの校長、市長に直訴!
ガッツせんべいの人権教育論
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年4月30日
- 書店発売日
- 2022年4月26日
- 登録日
- 2022年3月7日
- 最終更新日
- 2022年9月14日
書評掲載情報
2022-04-05 |
うずみ火
評者: 大阪市長への提言で処分、久保前校長が本出版「フツーの校長、市長に直訴」 |
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重版情報
2刷 | 出来予定日: 2023-10-21 |
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紹介
小学校校長が「提言書」を大阪市長に直送。それはコロナ対策に始まり教育に対する熱い思いだった。共感した友人らがネットにあげ瞬時に拡散し日本のみならず世界各地から共感の声が届く。そこに至る経緯と背景、その後を語る。
目次
はじめに
「提言書」を出すに至った経緯
1 ことの発端 ―4月19日の市長発言報道
2 なかなか来ない市教委からの指示文書
3 2020年2月末からの全国一斉臨時休校を思い出して
4 学校独自の方針を決断―4月23日(金)保護者への手紙
5 保護者の考えを確かめる―4月26日(月)事後アンケート
6 どうしても納得のいかない市教委の方針
7 市長宛に「提言書」を出す ―5月17日(月)早朝に投函
8 「提言書」は自分への怒り
9 提言書「豊かな学びの文化を取り戻し、学び合う学校にするために」
「提言書」の背景にあった思い
1 多忙化する教育現場 ―何かがおかしい
2 子どもを戦場に送り出した戦前の教員とかわらない自分
3 多くの方の共感や励ましの声に支えられて
4 海外の研究者とのジョイント・セミナーに参加して
5 信用失墜行為をしたのは誰だ―8月20日「文書訓告」を受け取る
6 「文書訓告」の撤回を求めて
ぼくが歩んできた道 教員生活を振り返って
1 解放教育との出会い
2 お前は何ものだ!!―問われる自分
3 「本名」で生きるということは
4 私のことなんかなんも知らんくせに!
5 綴り方の実践から気づいたこと
6 最初で最後の1年生担任
7 悪意がなくても相手を傷つけている
8 小中高・子ども時代のぼく
9 4コマまんが「ガッツせんべい」
10 きよの絵本劇場との出会い
11 カンボジアこどもの家 栗本英世さんとの出会い
12 絵本「ひらがなにっき」と出会って
13 長野ヒデ子さんにあこがれて
今、改めて「教育とは何か」を問う
1 当たり前を疑う
2 ぼくは、子どもの声を聴いてきたのだろうか
3 「いのち」から基本的人権を考える
4 「バリバラ」MC玉木幸則さんの特別授業
5 公教育を破壊する教育のデジタル化
6 「能力主義」を考える
7 なぞなぞ「パラダイス」ってなに?
8 くまのプーさんは「何もしてない」をしている
9 管理職という道を選んで
10 理想は、世界一平凡な学校
あとがき
前書きなど
はじめに
ぼくは優柔不断で決断力のない人間です。子どもの頃から、「それ、いいよね」「君のも悪くないよね」などと「八方美人」のような振る舞いをしてきました。それを冗談でてんびん座で血液型AB型のせいにしながら、ここまで生きてきたように思います。
そんなぼくが、オンライン授業に関する大阪市の対応に端を発して、2021年5月17日、松井一郎大阪市長宛に「提言書」を送りました。教育委員会に呼び出された時に、「あと少しで定年退職を迎えるというのに、なんでこんなことをなさったのですか」と憐れむように言われました。「自分でも気が弱く、思っていることを言えない人間だと思っているので、なんででしょうね。自分でもびっくりしています。」というような間の抜けた返答をしたように思います。自分では至って素直な人間だと思っているのですが、ぼくをよく知る人の中には「そんなことないぞ」「結構強情なとこ、あるやろ」と思っている人もいるかもしれません。
あちらこちらで講演などさせてもらう機会ができ、話の初めに「提言書」を朗読させてもらっているのですが、かなりきっぱりと言い切っている文体に、本当に自分が書いたのだろうかと思うことがあります。大体、自分に自信がなくて、「~と思います」「~ではないでしょうか」と、無意識に断言することを避けた文章を書くところがあり、先輩校長からは、「もっときちんと言い切れ!」とお叱りを受けたことも少なくないからです。
2011年、橋下徹大阪市長が誕生し、2012年には「教育行政基本条例」「学校活性化条例」が制定されました。そして、同時に教職員組合への徹底的な弾圧も行われました。気がつけば、教育に対する政治的な介入が公然と行われることになり、教育の独立性は奪われてしまいました。自分もそれを許した一人です。「この流れはおかしい」と思いながらも考えることから逃げ、やり過ごしてきました。「言ったところで変わるわけない」と諦め、黙ってきた情けない自分への怒りが、定年退職を目の前にして、蓋をこじ開け、一気に外へ飛び出してきたのだと思います。そして、それは、まちがいなく初任校で解放教育に触れ、学んだことによるものです。
(以下略)
上記内容は本書刊行時のものです。