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四つの未来
〈ポスト資本主義〉を展望するための四類型
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年11月20日
- 書店発売日
- 2023年11月20日
- 登録日
- 2023年9月9日
- 最終更新日
- 2024年1月31日
紹介
2010年代からはじまった「新世代」による世界的な知的・実践的ムーヴメントを牽引した『ジャコバン』誌の立ち上げメンバーであり編集委員のピーター・フレイズが放つ、「資本主義以後」の世界へ向けた四つの展望。
本書は『ジャコバン』誌とヴァーソ(Verso)社のコラボレーションによるもので、すでに7ヶ国語以上に翻訳されているが、実際にこれからの世界の「論点」をここまで手際よくまとめた本にはなかなかお目にかかれないはずである。
フレイズが描き出すのは四つの展望(ありうべき未来)、すなわち「コミュニズム」「レンティズム」「ソーシャリズム」「エクスターミニズム(絶滅主義)」である。この四つの未来は同時にあらわれうるし、いっぽうでいずれかの傾向を強くしていくこともあるだろう。(たとえば、日本でも近々サービスが開始されるという「ライドシェア(サービス)」は、ある種の「ソーシャリズム」的な側面を持ち合わせつつ「レンティズム」に傾くこともありうるし、また、現在イスラエル国家のやっていることは端的に「エクスターミニズム(絶滅主義)」である)。いずれにせよ、私たちが進む未来を決めるのは広い意味での「政治(的闘争)」であり、そこでは「階級(闘争)」という視点は欠かせない。
そして、この四つの未来に不可避にかかわっていくる「二つの妖怪」がいる。それは、従来の労働を不要にしていく「自動化」と、私たちの生活そのものの基盤を揺るがす「気候危機」である。この「二つの妖怪」と「四つの未来」の絡み合いによる──しかしこれはけっして未来予測ではない──フレイズの展望は、私たちの思考=行動に「未来への想像力」を添えてくれるはずである。
目次
序章「黙示録とユートピアとしてのテクノロジーとエコロジー」
第一章「コミュニズム──平等と豊かさ」
第二章「レンティズム──ヒエラルキーと豊かさ」
第三章「ソーシャリズ──平等と稀少性」
第四章「エクスターミニズム──ヒエラルキーと稀少性」
結論「いくつかの移行と展望」
付録「死の党の台頭」
訳者解説(酒井隆史)
前書きなど
[本書では]四つの未来を一章ごとに論じていく。すなわち、コミュニズム、レンティズム、ソーシャリズム、エクスターミニズム[絶滅主義]である。ありうべき未来を素描することにくわえて、四つの章のいずれにおいても、いまある世界にとって重要な意義をもち、個々の未来において特別な重要性をもつであろう中核的テーマを焦点化する。
[……]
現実化の見込みではなく可能性を考察することの重要性は、それによってわたしたちの集合的行為が中心に位置づけられる点にある。いっぽう、確固たる予言をなすことはただ、受動性を促すことにしかならない
[……]
本書が、ここで描く抑圧的未来を自己阻止的なものにすることに、平等主義的オルタナティヴを自己成就的なものにすることにささやかにでも貢献できたら、目的は達成されたことになろう
上記内容は本書刊行時のものです。