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現代日本の政治的不平等
参加・代表における格差と分断のメカニズム
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2025年3月25日
- 書店発売日
- 2025年3月14日
- 登録日
- 2025年2月4日
- 最終更新日
- 2025年3月11日
紹介
日本の政治における民意の反映や政治代表のあり方を考察すべく、詳細な調査データをもとに、政治参加・政治意識・政策選好・代表性・政策応答性等の側面における差異を明らかにする。メディア・ジェンダー・外国人等の観点も含め、政治的不平等の実態を示す。
目次
はじめに
第1章 政治と不平等[山本英弘]
1 政治的不平等とは
2 政治的不平等の先行研究
3 データ
4 本書の概要
第1部 政治参加の不平等
第2章 社会経済的地位と政治参加[山本英弘・苗詩媛]
1 はじめに
2 シビック・ボランタリズム・モデル
3 データと変数
4 政治参加の規定因
5 おわりに
第3章 政治参加におけるジェンダー・ギャップ[大倉沙江]
1 はじめに
2 政治参加の形態と水準におけるジェンダー・ギャップ
3 資源,政治的関与,動員と参加経験
4 ジェンダー・ギャップの規定因
5 おわりに
第4章 メディア環境の変化と政治参加・政治意識[海後宗男]
1 はじめに
2 日本のメディア環境と政治との関係
3 日本のデジタル・ソーシャル・キャピタルとインターネットの問題
4 日本人の情報行動と政治参加
5 おわりに
第5章 外国人の政治参加と政治的不平等[明石純一・山本英弘]
1 はじめに
2 日本における外国人関連政策の潮流と外国人の政治的諸権利
3 外国人の参政権と政治参加
4 調査と分析:日本人は外国人の政治参加をどのように評価しているのか
5 おわりに
第6章 不平等是正政策に対する態度[関能徳]
1 はじめに
2 再分配の政治経済学
3 データと記述統計
4 実証分析
5 おわりに
第2部 政治代表の不平等
第7章 利益代表認知と記述的代表にみる政治的不平等――代表の不在と歪み[濱本真輔]
1 はじめに
2 代表論
3 有権者の利益代表認知
4 記述的代表の不平等認知とその規定因
5 おわりに
第8章 有権者はどのような代表を求めているのか――代表観・地位・政策[出口航]
1 はじめに
2 政治代表と代表観
3 有権者は議員に何を望んでいるのか
4 誰がどのような代表観をもつのか
5 おわりに
第9章 若年層の過少代表と是正策[菅谷優太]
1 はじめに
2 先行研究
3 是正策の導入を支持する有権者はどの程度いるのか
4 どのような有権者が導入に賛成あるいは慎重なのか
5 おわりに
第10章 公務員の代表性[柳至]
1 はじめに
2 代表的官僚制研究
3 公務員の政策観
4 公務員の平等観
5 有権者からみた公務員の代表性
6 おわりに
第11章 利益団体とメディアに対する有権者の評価――女性,低年齢層,低学歴層の視点から[久保慶明]
1 はじめに
2 投票参加,利益団体,メディアの相互関係
3 利益団体やメディアの構成
4 有権者による代表性の評価
5 おわりに
第12章 有権者からみた政策応答性の不平等[山本英弘・苗詩媛]
1 はじめに
2 データと方法
3 政策応答性
4 政策の事後評価
5 おわりに
引用文献
索引
前書きなど
第1章 政治と不平等[山本英弘]
(…前略…)
4 本書の概要
本書では,政治過程の各側面に対応させつつ,現代日本における政治的不平等の実態を主として質問紙調査データの分析を通して明らかにしていく。以下に,各章の概要を紹介していこう。
まず,第1部は政治参加における不平等を中心に構成されている。第2章「社会経済的地位と政治参加」では,シビック・ボランタリズム・モデルに基づき,社会経済的地位(資源の保有量),動員,政治的関与という観点から政治参加の不平等を考察している。(……)
第3章「政治参加におけるジェンダー・ギャップ」では,男性と女性の政治参加の差異に焦点を合わせ,第2章と同様にシビック・ボランタリズム・モデルに基づいて分析している。(……)
第4章「メディア環境の変化と政治参加・政治意識」は,新聞やテレビといった伝統的メディア接触の減少とソーシャルメディアの登場に伴い,有権者のメディア環境がどのように変化したのかを論じている。さらに,調査データの分析を通して,メディアの利用パターンと政治参加や政治意識との関係を考察している。(……)
第5章「外国人の政治参加と政治的不平等」では,まず日本に在留する外国人の政治参加を制度や政策の側面から振り返っている。そして,参加の促進が図られていない現状にもかかわらず,多国籍化・多文化化が進む中で,外国人の政治参加が文脈に応じた対応が求められる課題であることを論じている。(……)
第6章「不平等是正政策に対する態度」では,日本における所得格差の拡大に対し,市民の再分配政策に対する支持が,現在の所得,将来の期待所得,不平等がもたらす負の外部性,アイデンティティの多様性といった要因によってどのように影響されるかを検証している。(……)
第2部では,政治的代表性と応答性の不平等を取り上げている。第7章と第8章では,政党や議員を中心に,代表の程度とその望ましさについて検討している。第7章「利益代表認知と記述的代表にみる政治的不平等―代表の不在と歪み―」では,代表論の展開を振り返りながら,有権者の観点から,どのような人々が代表を得ているのか,また,どのような人々が現在の代表に歪みがあると認識しているのかを検討している。(……)
第8章「有権者はどのような代表を求めているのか―代表観・地位・政策―」では,有権者がどのような代表を望ましいと考えているのかという点からアプローチしている。(……)
第9章「若年層の過少代表と是正策」では,政治代表における世代間不平等の問題として若年政治家の少なさに着目し,その是正策が導入されない背景として有権者の態度を論じている。(……)
第10章「公務員の代表性」では,公務員に焦点を合わせ,政策選好や平等観について検討している。(……)
第11章「利益団体とメディアに対する有権者の評価―女性,低年齢層,低学歴層の視点から―」では,利益団体とメディアの成員構成およびそれらに対する有権者の評価を検討している。(……)
第12章「有権者からみた政策応答性の不平等」では,具体的な政策に対する有権者の支持と実際の政策実現を照合することで,収入,性別,年齢,教育といった社会経済的地位による政策応答性の不平等を吟味している。(……)
以上の11章における分析を通して,本書は現代日本における政治過程の各局面における不平等の実態と,それに対する人々の認識の解明に取り組んだ。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。