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難民 アレクサンダー・ベッツ(著) - 明石書店
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難民 (ナンミン) 行き詰まる国際難民制度を超えて (ユキヅマルコクサイナンミンセイドヲコエテ)
原書: Refuge: Transforming a Broken Refugee System

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発行:明石書店
四六判
336ページ
並製
価格 3,000 円+税   3,300 円(税込)
ISBN
978-4-7503-5625-9   COPY
ISBN 13
9784750356259   COPY
ISBN 10h
4-7503-5625-5   COPY
ISBN 10
4750356255   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年8月15日
書店発売日
登録日
2023年7月18日
最終更新日
2023年10月16日
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紹介

難民の国際的保護制度は、1951年の難民条約とUNHCRに基礎を置くが、その制度は「迫害」から逃げる人々が念頭にあり、内戦や暴力による「命への危険」から逃げる人々に対処できていない。また、貧困・失業から逃れる経済移民が難民制度を利用することにも対応できない。
他方で、開発途上国に残る90%の難民は忘れられている。最も脆弱な人々である残された難民は、自由のない難民キャンプで教育も受けず仕事がないまま何年も何十年も過ごすことになる。
本書では、90%の難民の留まる周辺国で、難民に就労機会と教育を提供することで難民の自立を推進することを提唱する。
難民の自助努力を支援するアプローチ、受け入れ社会への貢献、さらには出身国の再建を可能にするオルタナティブなビジョンをA.ベッツとP.コリアーという著名な専門家が提示した重要な1冊。

目次

 日本語版への序文
 監修者まえがき
 この本を書いたきっかけ

イントロダクション
 避難の目的
 壊れてしまったシステム
 新しいアプローチの必要性

第Ⅰ部 なぜ危機は起こるのか

第1章 世界的な混沌
 何が強制移動や外国への避難をもたらすのか
 なぜ脆弱性は増加しているのか
 集団暴力の現実化
 避難するという選択肢
 避難所

第2章 難民制度の変遷
 冷戦時ヨーロッパの難民制度
 ヨーロッパ中心主義のグローバル化
 1951年難民条約の沈黙
 誰が難民とみなされるべきか?
 見つからない保護提供者――誰が負担すべきか
 見つからないモデル――なぜ難民キャンプは不十分なのか
 UNHCRと21世紀
 危機と改革への機会

第3章 大混乱
 危機の火種――シェンゲン体制
 火花
 ローマでの幕開け
 シリアへの飛び火
 シリア難民危機の第一段階(2011年~2014年)――心なき頭
 シリア難民危機の第二段階(2014年11月~2015年8月)――新たなランペドゥーザ
 シリア難民危機の第三段階(2015年9月~2015年12月)――頭なき心
 シリア難民危機の第四段階(2016年1月~)――心なき頭の復活
 現在までの整理

第Ⅱ部 再考

第4章 倫理を再考する――救済の義務
 難民を救済する義務
 移住の権利はあるのか
 取り残された人たちの人権
 統合する権利と義務
 暫定的な小括

第5章 避難所を再考する――すべての人に手を差し伸べる
 なぜ「出身国への近さ」が最も重要であるのか
 人道的サイロの失敗
 都市難民の放置
 開発の機会としての難民
 中米のサクセスストーリー
 お互いに得をする機会

第6章 難民支援を再考する――自立を回復するために
 難民の経済生活
 ウガンダ例外主義
 自立の影響
 繁栄するか生き延びるか?
 ヨルダンはウガンダではない
 別のアプローチ
 ヨルダン・コンパクト
 難民のためにグローバリゼーションを活用する――どう機能させるか
 グローバルなプロトタイプとは?
 難民問題を超えて

第7章 紛争後を再考する――復興の促進
 なぜ復興が重要なのか
 紛争後のリスク軽減
 復興の促進
 回復を遅らせる

第8章 ガバナンスを再考する――機能する制度とは
 目的を再考する
 責任を再考する
 組織を再考する
 改革プロセス

第Ⅲ部 歴史を変える

第9章 未来への回帰
 シリア難民危機の再現
 世界を取り巻くその他の危機
 私たちのアプローチの明確化
 未来の再生

 注釈
 索引

 著者・訳者紹介

前書きなど

日本語版への序文

 国民国家が存在する限り、難民は存在する。国家が人々の最も基本的なニーズを満たすことができないとき、その国民は国際的な保護を求めて国境を越えて逃げる。21世紀の戦争、権威主義、気候変動の中で、難民の移動は現代を象徴するグローバルな課題の一つである。このような中で、少なくとも帰国できるようになるまで、難民を自国に受け入れ、社会経済的に統合することが受入国に求められている。
 本書の目的は、世界の難民制度の将来像を提示することである。理想主義ではなく、政治的現実主義に立脚し、現実政治の制約の中で機能しうるアプローチを特定する試みである。本書はもともと、2016年のヨーロッパ「難民危機」の文脈で書かれたものだ。1年の間に100万人を超える庇護希望者がEUに到着し、その大半がシリアからドイツに渡った者だった。その結果、極右政党が勢力を伸ばし、イギリスのEU離脱(Brexit)が決定するなど、ヨーロッパ全土でポピュリスト的ナショナリズムが急速に高まった。そのような危機を目の前にして、我々の目的は、難民に対する国民の懸念と難民を保護する倫理的・法的義務を両立させることができるアプローチを政策担当者が考えるときの現実的な解決策を示すことにあった。
 当時から変わったものもあれば、変わらないものもある。2016年以降、世界の強制避難民の数は増え続け、2023年には初めて1億人を超える。新たな難民危機が出現し、2022年には約700万人の難民がウクライナからヨーロッパに逃れ、2018年以降は500万人の難民がベネズエラを離れ、アフガニスタンや南スーダンなど進行中の危機からの移動も急増している。数が増える一方で、庇護を提供する国々の政治的意志は低下し続け、英国からデンマーク、オーストラリアに至る多くの豊かな国家が、自力で外国にたどり着いて庇護を求めることの正当性に異を唱えている。
 本書は、世界の難民制度の革新を呼び掛けている。それは、人間として最も基本的な権利を求めて逃げる人々のための聖域を持続可能なものにするためであった。1951年条約とUNHCRの重要性を認識しつつも、聖域が政治的に持続可能であるためには抜本的改革が必要だと主張している。

 (…中略…)

 次に、本書が現代の日本にとってどのような意味を持つかを考えよう。
 日本はこれまで、難民政策において独自のアプローチをとってきた。国際協力機構(JICA)の活動を通じて、出身地域にいる難民を支援するための人道支援や開発援助を惜しみなく行ってきた一方、難民認定制度と再定住によって受け入れる難民はごく少数にとどまってきた。このような貢献の仕方は「小切手帳外交」と呼ばれたが、歴代の政府は、日本の比較優位は「ここ(日本)にいる難民」ではなく「そこ(外国)にいる難民」を支援することにあるという考えを維持してきた。日本はまたUNHCRへの主要な拠出国であるだけでなく、UNHCRの執行委員会に積極的に参加するなど、重要な外交的役割を担ってきた。
 日本の難民政策は近年、徐々に変化している。受け入れ数は少数だが、難民が日本に庇護を求めることが排除されることはない。2022年にはアフガニスタン、ウクライナ、ミャンマーからの難民を含む、合計1万3500人が国内で庇護を提供された。これらの貢献と並んで多額の資金援助が続けられている。財政逼迫にもかかわらず、ウクライナの人道支援に600億円(5億米ドル)が拠出されている。このような変化は、難民問題が国内で政治課題として重要視されるようになったこと、難民に対する国民の認識やメディア報道の増加、外国人労働者受け入れの緩和などを背景として起こった。国際的には、日本は2023年12月に開催される難民グローバルコンパクトのフォローアップ会合での副議長国の1つに選ばれ、国際的な難民保護制度の維持・強化においてリーダーシップを発揮することが期待されている。

 (…中略…)

 結論として、日本は今、難民政策の策定において刺激的で極めて重要な時期にある。日本国内での庇護へのアクセスを広げる一方で、海外での人道支援や開発支援を継続している。世界の難民制度が脅威にさらされ、改革を必要としている今、日本は重要な指導的役割を果たすことができる。本書が、その長所と短所を踏まえつつ、日本の難民政策と世界の難民制度の将来について、政策担当者と一般市民の間で議論を喚起する一助となることを切に願っている。

著者プロフィール

アレクサンダー・ベッツ  (アレクサンダー ベッツ)  (

オックスフォード大学の強制移住および国際問題の教授で、30代で同大学難民研究センターの所長。UNHCRや幾つもの国際機関や政府のコンサルタントとして働いた経験がある。主要著書には、Refugee Economies: Forced Displacement and Development(Oxford University Press)等多数。2016年には世界経済フォーラムのYoung Global Leaderに、またForeign Policyによって世界のトップ100人のGlobal Thinkersの一人に選ばれている。

ポール・コリアー  (ポール コリアー)  (

オックスフォードのセントアントニーズカレッジの経済学教授。世界銀行を経て、開発経済学の世界的な大家。著書The Bottom Billion(邦訳『最底辺の10億人』)は、ライオネル・ゲルバー賞、外交問題評議会のアーサー・ロス賞、コリン・プライズなどを受賞。移民問題を扱ったExodus: How Migration is Changing Our World(Oxford University Press、2013)(邦訳:『エクソダス――移民は世界をどう変えつつあるか』松本裕訳、みすず書房)も話題を呼んでいる。

滝澤 三郎  (タキザワ サブロウ)  (監修

東京都立大学大学院社会科学研究科・カリフォルニア大学バークレー経営大学院修了(法学修士・MBA)。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等を経て、現在、東洋英和女学院大学名誉教授。専門は、難民問題、日本の難民政策。主な著書・論文に、Japan’s Immigration Policy 2015-2020:Implications for Human Security of Immigrant Workers and Refugees(Journal of Human Security Studies, Vol.10)、『変わりゆく日本の難民政策――補完的保護の議論の背景を探る』(多文化共生研究年報、2023年)、『国連式――世界で戦う仕事術』(集英社新書、2019年)、『世界の難民をたすける30の方法』(編著、合同出版、2018年)、『難民を知るための基礎知識』(編著、明石書店、2017年)など。

岡部 みどり  (オカベ ミドリ)  (監訳

東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学博士課程修了。博士(学術)。上智大学法学部国際関係法学科教授。国際連合大学Academic Programme Associate(Peace and Governance Programme)、ケンブリッジ大学国際関係研究所客員研究員などを経て現職。また、この間、オックスフォード大学移民研究所(COMPAS)客員研究員、ジョンズホプキンス大学政治学部客員研究員などを歴任。専門は国際関係論、人の国際移動研究、地域統合(主にEU)研究。主な著書・論文に、『世界変動と脱EU/超EU――ポスト・コロナ、米中覇権競争下の国際関係』(編著、日本経済評論社、2022年)、“How States React to the International Regime Complexities on Migration: A Study of Cases in South East Asia and Beyond,” International Relations of the Asia-Pacific (Oxford University Press), 21:1, 2021など。

佐藤 安信  (サトウ ヤスノブ)  (監訳

ロンドン大学高等法学研究所(法学博士)、ハーバード・ロースクール(LL.M)。早稲田大学アジア太平洋研究センター特別センター員、元東京大学教授(大学院「人間の安全保障」プログラム)、同大学院附属グローバル地域研究機構持続的平和研究センター長。日本および、ニューヨーク、アムステルダム、ブラッセルで法律事務所弁護士、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)法務官、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)人権担当官、欧州復興開発銀行(EBRD)弁護士。主な著書・論文に、「難民とSDGs――地球社会のパイオニアとして」野田真里編著『SDGsを問い直す――ポスト/ウィズ・コロナと人間の安全保障』(法律文化社、2023年)、「『人間の安全保障』からみた『暴力』と『難民』――冷戦後の『アジア』と『日本』」伊藤聖伸・藤岡俊博編『「暴力」から読み解く現代世界』(東京大学出版会、2022年)、「『難民に関するグローバル・コンパクト』のためのネットワーク・ガバナンス――難民の国際保護に関するアジア・ネットワークの可能性」『国際関係と国際法――小和田恒国際司法裁判所裁判所裁判官退官記念』(信山社、2021年)など。

杉木 明子  (スギキ アキコ)  (監訳

英国エセックス大学大学院政治学研究科博士課程修了、政治学博士(Ph.D.)。神戸学院大学法学部専任講師、同助教授、同准教授、同教授を経て、2018年より慶應義塾大学法学部教授。専門は、国際関係論、現代アフリカ政治。主な著書・論文に、『国際関係論のアポリア――思考の射程』(共著、晃洋書房、2021年)、Repatriation, Insecurity and Peace: A Case Study of Rwandan Refugees(共編著、Springer, 2020)、『「難民」をどう捉えるか――難民・強制移動研究の理論と方法』(共著、慶應義塾大学出版会、2019年)、『国際的難民保護と負担分担――新たな難民政策の可能性を求めて』(単著、法律文化社、2018年)、「ケニアにおける難民の「安全保障化」をめぐるパラドクス」『国際政治』第190号(単著、2018年)など。

山田 満  (ヤマダ ミツル)  (監訳

東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学(博士「政治学」神戸大学)。埼玉大学教養学部教授などを経て、現在早稲田大学社会科学総合学術院教授。専門は、国際関係論、国際協力論、平和構築論。主な著書に、『新しい国際協力論[第3版]――グローバル・イシューに立ち向かう』(共編著、明石書店、2023年)、『平和構築のトリロジー――民主化・発展・平和を再考する』(単著、明石書店、2021年)、『「非伝統的安全保障」によるアジアの平和構築――共通の危機・脅威に向けた国際協力は可能か』(共編著、明石書店、2021年)、『「一帯一路」時代のASEAN――中国傾斜のなかで分裂・分断に向かうのか』(共編著、明石書店、2020年)など。

金井 健司  (カナイ ケンジ)  (

東京大学経済学部卒業。University College London 経済学修士課程在学中。

佐々木 日奈子  (ササキ ヒナコ)  (

聖心女子大学文学部卒。2023年秋より、コロンビア大学国際公共政策大学院に進学予定。

須藤 春樹  (ストウ ハルキ)  (

東京大学大学院経済学研究科修了(経済学修士)。現在、日系金融機関に勤務。

春 聡子  (ハル サトコ)  (

国際基督教大学修士。専門は、国際関係学、政治思想、人権問題。主な論文に、「The Impact of Nation Formation on Human Rights and Human Security: A Case Study of Japan」(The Journal of Social Science, ICU, 2020年)など。

古川 麗  (フルカワ ウララ)  (

上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業。サセックス大学国際関係論修士課程修了。東京大学総合文化研究科博士課程。国連難民高等弁務官事務所で保護・法務担当として、日本、旧ユーゴ、中央アジア、ミャンマー等に勤務。

松井 春樹  (マツイ ハルキ)  (

京都市出身。2021年東京大学法学部卒業。弁護士(森・濱田松本法律事務所所属)。一般社団法人国際人道プラットフォーム事務局、RULEMAKERS DAO地域パート責任者。弁護士としては、スタートアップ、ビジネスと人権の分野を中心とする他、難民申請者やNPO等のソーシャルセクターに対する法的支援も行う。観光、ビジネスと人権、スタートアップ等の分野でロビイング活動にも関与している。

松本 昂之  (マツモト タカユキ)  (

サセックス大学大学院修士課程。

宮下 大夢  (ミヤシタ ヒロム)  (

早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了。博士(社会科学)。東京大学大学院総合文化研究科持続的平和研究センター特任研究員などを経て、現在、名城大学外国語学部准教授。専門は、国際関係論、平和・紛争研究、国際協力論。主な著書に、『全国データ SDGsと日本――誰も取り残されないための人間の安全保障指標』(共著、明石書店、2019年)、『「非伝統的安全保障」によるアジアの平和構築――共通の危機・脅威に向けた国際協力は可能か』(共著、明石書店、2021年)、『新しい国際協力論[第3版]――グローバル・イシューに立ち向かう』(共著、明石書店、2023年)など。

山本 剛  (ヤマモト ツヨシ)  (

早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了(社会科学博士)。国際協力NGOや東京電機大学未来科学部非常勤講師を経て、現在、独立行政法人国際協力機構(JICA)ラオス事務所次長。専門は国際関係論、国際協力論。主な著書に、『難民を知るための基礎知識――政治と人権の葛藤を超えて』(共著、明石書店、2018年)、『平和学から世界を見る』(共著、成文堂、2020年)、『新しい国際協力論[第3版]――グローバル・イシューに立ち向かう』(共著、明石書店、2023年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。