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黙殺された被曝者の声
アメリカ・ハンフォード 正義を求めて闘った原告たち
原書: The Hanford Plaintiffs: Voices from the Fight for Atomic Justice
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年4月20日
- 書店発売日
- 2023年4月13日
- 登録日
- 2023年3月24日
- 最終更新日
- 2023年5月2日
紹介
1940年代からアメリカ国内で度重なる核実験が行われ、核施設の風下住民は慢性的に放射性物質に曝され続けていたが、40年以上この公害は調査されず、政府に巧みに隠ぺいされてきた。本書は核被害で障害や重病に苦しむ無辜の人々の悲しみと怒りの記録である。
目次
日本語版のための序文
〈巻頭地図①〉ハンフォード核施設周辺図
〈巻頭地図②〉被曝補償法適用範囲
〈巻頭地図③〉風下被曝エリア
凡例
第1章 忘れ去られたモルモット
第2章 ハンフォードとマンハッタン計画
第3章 冷戦初期、1945年から1950年
第4章 冷戦――1951年~
第5章 汚染されたミルク
第6章 ハンフォード――風下トラブルの兆候
第7章 ネバダ核実験場――風下トラブルの兆候
第8章 ハンフォード――沈黙のホロコースト
第9章 ハンフォード風下被曝者、裁判に訴える
第10章 アレン裁判の破棄――変化をもたらす人たち
訳者あとがき
索引
前書きなど
日本語版のための序文
子どもの頃、ワシントン州にある核兵器施設ハンフォードから秘密裏に排出された放射線に被曝したため、私の甲状腺は傷ついてしまいました。核兵器製造、原子炉事故やメルトダウンで主に大気中に排出される放射線核種に、強い放射線を出すヨウ素131があります。ヨウ素131が甲状腺に害を及ぼすことは長く知られていました。
私や、私のような被曝者の話を紹介している『黙殺された被曝者の声』が、世界の様々な地域で核兵器、またはその製造や原子炉の事故から排出された放射線により傷つけられた英語圏以外の人々にも届いて欲しいと願ってきました。
友人でもあり仲間であるシカゴにあるデュポール大学教授の宮本ゆき博士が、細心の注意を払ってこの本を日本語にしてくれたおかげで、『黙殺された被曝者の声』は2011年3月11日の地震による福島第一原発のメルトダウンの被害者、彼らの愛する人たち、彼らを支える人たち、そして日本の読者に手に取ってもらう運びとなりました。
この翻訳を支援してくれた明石書店の方々に深く感謝します。
ハンフォードの風下地域で子ども時代に被曝させられた体験は、福島事故の風下で被曝を余儀なくされた子どもたちの話と重なります。子どもの時に、大気中、ミルク、乳製品に混入したヨウ素131に被曝すると、10年後あるいはそれ以上経ってからでも甲状腺がんを発症することがあります。
アメリカ人であろうと日本人であろうと、甲状腺摘出による傷を負うことになり、化学療法、放射線治療といった困難を乗り越えてもなお、再発の可能性を常に念頭に置いて暮らしていくことになります。
私たちの話とハンフォード被曝者裁判が福島第一原発事故の原告、原告を愛する人たち、そして原告の支援者にとって希望となれば幸いです。
上記内容は本書刊行時のものです。