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貧困と排除に立ち向かうアクションリサーチ 全 泓奎(著) - 明石書店
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貧困と排除に立ち向かうアクションリサーチ (ヒンコントハイジョニタチムカウアクションリサーチ) 韓国・日本・台湾・香港の経験を研究につなぐ (カンコクニホンタイワンホンコンノケイケンヲケンキュウニツナグ)

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発行:明石書店
四六判
216ページ
上製
価格 2,800円+税
ISBN
978-4-7503-5496-5   COPY
ISBN 13
9784750354965   COPY
ISBN 10h
4-7503-5496-1   COPY
ISBN 10
4750354961   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0036  
0:一般 0:単行本 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年12月10日
書店発売日
登録日
2022年11月8日
最終更新日
2022年12月9日
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紹介

韓国で社会運動に関わったのち来日し、日本を含む東アジア都市で社会問題現場の当事者とともに解決にむけた研究を「アクションリサーチ」として行ってきた著者が、これまでの経験をもとに、貧困・排除に抗する研究の実践と研究手法についてまとめた一冊。

目次

 はしがき――焼き芋を売る

序論 アクションリサーチとライフ・ヒストリー法

第1章 ホームレスの人びとへのアクションリサーチ
 1.ホームレス支援との出会い
 2.フェイス・トゥ・フェイス(Face to Face)
 3.当事者の声を聴く
  (1)Sさん(二〇歳代)、秋田県出身
  (2)Iさん(六〇歳代)、埼玉県出身
  (3)Mさん(四〇歳代)、東京都出身
  (4)Eさん(五〇歳代)、東京都出身
 4.水平交流の推進
 5.おっちゃんが販売する雑誌――制度を変える制度を創り出す

第2章 住まいと地域へのアクションリサーチ
 1.貧困か社会的排除か
 2.社会的排除概念の歴史的な展開
 3.貧困と社会的排除関連概念の比較
 4.社会的排除アプローチから見た居住問題の含意
  (1)社会的排除言説と居住政策を取り巻く議論
  (2)居住と社会的排除との関連性
  (3)社会的排除における地域の役割
  (4)地域効果をめぐる議論
  (5)地域効果のメカニズム
 5.社会的包摂・排除に関連した地域の分類と対応課題

第3章 アクションリサーチの実践
 1.和歌山在住在日コリアンの暮らしと生活課題へのアクションリサーチ
  (1)居住人口の変遷及び移住過程
  (2)コミュニティの形成
  (3)暮らし
  (4)生活文化の伝承と葛藤
  (5)まとめにかえて――コミュニティの変容と生活課題
 2.被差別部落のまちづくりとアクションリサーチ
  (1)日韓の民際交流を媒介する個人的な経験から
  (2)四つの被差別地域共同まちづくりの歩み
  (3)「解放のまち、教育のまち、住民自治のまち」矢田地区のまちづくりの歩み
  (4)加島地区のまちづくりの歩み
 3.地区共同のまちづくりに向けた新しい拠点――まちづくり合同会社「AKYインクルーシブコミュニティ研究所」の発足
  (1)AKYインクルーシブコミュニティ研究所の設立経緯と活動の概要
  (2)国内外の交流の推進と地域共通の課題解決に向けたまちづくりの試み
  (3)外国にルーツを持つ子どもの生活と進学支援に向けたアクションリサーチ
  (4)外国にルーツを持つ子どもの支援にかかわる各種研究会やシンポジウム等の開催
  (5)外国にルーツを持つ子どもの生活と進学支援の課題
 4.被災外国人へのアクションリサーチ
  (1)東北三県の在住外国人はどのような人びとであったのか
  (2)震災当時、津波からどう逃げたのか:Rさん(韓国籍、I市在住・四九歳、女)
  (3)震災当時、津波からどう逃げたのか:Oさん(韓国籍、N市在住・四五歳、女)
  (4)震災当時、津波からどう逃げたのか:Sさん(韓国籍、O町在住・六七歳、女)
  (5)O・Kさん:財団法人宮城県国際交流協会相談員(中国出身)
  (6)S・Mさん:財団法人宮城県国際交流協会相談員(フィリピン南部ミンダナオ出身、五八歳)
  (7)東北型多文化共生とは何か
 5.東アジアにおける社会的不利地域居住者へのアクションリサーチ
  (1)韓国のチョッパン地域へのアクションリサーチ
  (2)台北の廉価宿所居住者へのアクションリサーチ
  (3)台湾における原住民族の生活実態と政府施策へのアクションリサーチ
  (4)香港に広がる狭小住宅問題と若いソーシャルワーカーによる居住支援へのアクションリサーチ

 あとがき
 初出一覧

前書きなど

序論 アクションリサーチとライフ・ヒストリー法

 本書は貧困と排除に立ち向かうための研究手法の一つとして、アクションリサーチを試みたものである。そのため、これまで筆者が実施してきた一連の研究活動の中から得られた知見を基に、その具体的な実施例を示すことにしたい。本書でアクションリサーチの対象としているのは、社会的不利が集中する「地域」である。ここではそれにかかわる調査手法の一つとして使ってきたアクションリサーチを行っていくに際しての調査方法の一部を紹介する。
 まずは「ライフ・ヒストリー調査」である。これは調査対象者の「ライフ・ヒストリー(生活史)」を「生活構造」の持続・変容過程として捉える方法である。このような「ライフ・ヒストリー」には、具体的に口述史(オーラル・ヒストリー)、自伝、伝記、日記など様々なものがあるが、最近は口述史の聞き取りが主要な方法となっている。口述史とは、調査者の質問に答える対話形式で、調査対象者が生まれてから今日までの歴史を語ってもらうものである。それをボイスレコーダーで録音し、その録音データの声を逐語的に文字化したものを活用するものである。

 (…中略…)

 さらに詳述すると、まず先述した「生活構造」とは、「生活主体としての個人が文化体系及び社会構造に接続する、相対的に持続的なパターン」を指し、また生活主体とは、社会の階層構造と地域(コミュニティ)構造とに、家族を通して接続するというパターン」(鈴木、一九八六:一七七)を表している。さらに、生活構造とは、集団参与や社会関係の総体を通して、生活主体が階層構造と地域構造へと、すなわち社会構造へ関与する様式と定義される(三浦、一九九一:五〇)。ライフ・ヒストリー法は、そのような生活主体、つまり本書では居住貧困層や社会的弱者が社会構造へと関与する様式を捉えるための研究方法である。以上を考慮すると、この方法は本書で取り上げている貧困と社会的排除に関連した研究対象を捉え、それに立ち向かうアクションリサーチを実施するための研究方法として最も有効であることがわかる。なぜならば、本書では、貧困や排除をもたらす様々な地域や社会的な文脈を深層的に分析し、その中から貧困層や社会的弱者の地域と社会とのかかわりという関係的な側面や、それによって貧困化と排除をもたらすメカニズムという動態的なプロセスを明らかにすることを目的としているためである。そのためには、誰よりも貧困や社会的排除を被っている当事者からの長期間にわたる自分史への聞き取りが何よりも有効なのである。
 言い換えると調査対象者に対する深層的な聞き取り調査を通じたライフ・ヒストリー法は、調査対象者の生活経験の再構成のナラティヴの中で、とりわけ居住部門と関連し、どのような排除の経験が貧困化や社会的排除に影響を及ぼしているのか、その時間的なパースペクティブやメカニズムについての全体関連性をより明らかにすることができるのである。したがって、そのような調査方法は、本書で扱っているアクションリサーチと関連した研究手法として最も相応しいものであると判断される。

 (…中略…)

 本書では以上のようなライフ・ヒストリー法に基づいて、これまで実施した調査の中からいくつかの事例を取り上げ紹介する。

 (…後略…)

著者プロフィール

全 泓奎  (ジョン ホンギュ)  (

大阪公立大学都市科学・防災研究センター教授。大阪公立大学大学院現代システム科学研究科社会福祉学分野教授。日本福祉大学アジア福祉社会開発研究センター主任研究員を経て現職。著書に、『東アジア都市の社会開発――貧困・分断・排除に立ち向かう包摂型政策と実践』(明石書店、2022年、共編著)、『分断都市から包摂都市へ――東アジアの福祉システム』(東信堂、2020年、編著)、『東アジア都市の居住と生活――福祉実践の現場から』(東信堂、2019年、編著)、『包摂都市を構想する――東アジアにおける実践』法律文化社、2016年、編著)、『包摂型社会――社会的排除アプローチとその実践』(法律文化社、2015年)等。

上記内容は本書刊行時のものです。