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奪われたアルメニア
ジェノサイドを生き延びた少女の物語
原書: Ravished Armenia: The Story of Aurora Mardiganian, the Christian Girl Who Lived Through the Great Massacres
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年12月22日
- 書店発売日
- 2021年12月16日
- 登録日
- 2021年11月1日
- 最終更新日
- 2021年12月28日
紹介
第一次大戦下のオスマン帝国。アルメニア人少女の一家に追放命令が下った。理由は「戦時下の移送」――。しかし、一家を待っていたのはほかならぬ“集団虐殺(ジェノサイド)”だった。アルメニア人虐殺……悲劇を生きた少女が世界に伝える“問題作”。百年ぶりの本邦刊行。
目次
献辞
謝辞
序文[ノラ・ワルン:全米アルメニア・シリア救援委員会広報局長]
序章 アルシャルス、曙の光
第1章 パシャが来た時
第2章 恐ろしい日々の始まり
第3章 ヴァビ・ベイの選択
第4章 ケマル・ベイの残酷な微笑
第5章 ザプティエのやり方
第6章 徴募とコンスタンチノープルのハーレム
第7章 マラティア、死の町
第8章 ハッジ・ガフルのハーレムで
第9章 襲われた修道院
第10章 剣の遊び、そしてディヤルバクル
第11章 「イシム ヨック、ケイフィム チョック」
第12章 再会とシェイク・ジラン
第13章 ヴァルタベッド翁と羊飼いの呼ぶ声
第14章 アンドラニク将軍の伝言
解説「アルメニア人虐殺事件とその余波」[渡辺大作]
訳者あとがき[上野庸平]
前書きなど
訳者あとがき
本書は第一次大戦中のオスマン帝国下におけるアルメニア人虐殺の問題を描いたドキュメントとして一九一八年にアメリカで出版されたRavished Armenia: The Story of Aurora Mardiganian, the Christian Girl Who Lived Through the Great Massacresを全文邦訳したものである。主人公のオーロラ・マルディガニアン(Arshaluys Mardigian)は一九〇一年に現在のトルコ東部エラズー県チェミシュゲゼックに生まれたアルメニア人女性で、十四歳でアルメニア人虐殺に遭い、ロシアを経由して難民としてアメリカに渡り、一九九四年にロサンゼルスで没した。
お気づきの方もいるかもしれないが、本書はアルメニア人少女・オーロラがある日突然家族とともに行き先も分からぬまま連行され、道中で苛烈な虐殺や性暴力に直面し、最終的にアメリカにたどり着くという「体験記」として書かれているものの、まったくの実話というよりは、アメリカ人の作家ヘンリー・レイフォード・ゲイツ(Henry Leyford Gates)が彼女の語りに脚色を加えて執筆したものである。第一次大戦の終戦直後という時代性もあって、戦争の大義と連合国の戦勝、そして西洋・白人・キリスト教至上主義的な人道精神に酔うアメリカ人の琴線をくすぐるような表現にあふれている。この点で、例えば『アンネの日記』のような純粋な体験文学とは異なるいわば「プロパガンダ文学」(アルメニア人にとっては無礼な表現かもしれないが)という側面も持つ作品であると言えるだろう。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。