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モルディブを知るための35章
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年12月22日
- 書店発売日
- 2021年12月16日
- 登録日
- 2021年11月1日
- 最終更新日
- 2021年12月28日
紹介
「インド洋の真珠」と呼ばれ観光地のイメージが強いモルディブだが、実は様々な側面も持っている。本書はモルディブの全体像とともに、イスラム化の歴史、独特な教育制度、インドと中国の狭間での関係模索、気候変動に起こした行動などを描き出す。まだ知られていないモルディブを覗き見ることのできる類例なき一冊。
目次
はじめに
Ⅰ モルディブ概観
第1章 モルディブの地理――サンゴ礁からなる大小の島々
第2章 サンゴ礁とサンゴ洲島――独特なサンゴ礁地形をつくるインド洋の気候
Ⅱ 歴史
第3章 イスラム教改宗以前のモルディブ――伝説と外国人の目に映った島国
【コラム1】モルディブの島々―特色や人々
第4章 仏教遺跡――未知のまま消えゆくイスラーム以前の歴史遺産
第5章 スルタンの治世――度重なる侵略
第6章 イギリス保護領時代――南部の分離独立運動とイギリスからの独立
Ⅲ 暮らしと文化
第7章 人々の暮らし――リゾートだけでは分からない多様な文化
【コラム2】スクリューパインのジュース
第8章 言語――ディベヒ語の起源と他の言語の影響
【コラム3】首都マーレ住宅事情
【コラム4】ジョーリとモルディブ人
Ⅳ 教育
第9章 教育制度――すべての島で10年一貫のナショナルカリキュラム制度
第10章 障害児教育――特別ニーズ教育とインクルーシブ教育の同時実現
第11章 イスラム国家の美術教育――文化と制度のあいだで
Ⅴ 社会・環境
第12章 人間開発指数から見る社会開発――国民皆保険制度への挑戦と教育開発の推進
第13章 ジェンダーから見たモルディブ――平等化への取り組みと課題
第14章 海を埋め立てた人工島――フルマーレからみる島嶼国の未来
第15章 環境と気候変動――沈みゆく国の生存戦略
第16章 廃棄物処理と環境問題①―始まったばかりの廃棄物管理
第17章 廃棄物処理と環境問題②―島嶼国の廃棄物管理の課題
Ⅵ 政治
第18章 独立後の政治――大統領独裁と民主主義
第19章 ナシード大統領と民主化の挫折――民主主義定着の苦悩
第20章 ヤーミーン大統領独裁と民主主義の復活――改革のゆくえ
第21章 憲法制度――イスラームと大統領制
第22章 司法制度――政治に翻弄される裁判所
【コラム5】伝統法と近代化における外国法の影響
Ⅶ 経済・産業
第23章 拡大する経済――貿易赤字をリゾートで稼ぐ
第24章 産業と貿易――リゾートと魚の国
第25章 財政赤字――外国頼みの財政
第26章 金融セクター――規模の小さい国内金融
第27章 観光産業――国家戦略としての観光開発
第28章 観光産業と経済発展――重要な収入源と弱い波及効果のジレンマ
【コラム6】エコツーリズムへの取り組み
第29章 外国人労働者―経済への貢献と社会的包摂の課題
第30章 移りゆく水産業―モルディブとカツオのはなし
【コラム7】モルディブのかつお節
【コラム8】社史に残る水産業への日本の貢献
Ⅷ 国際関係
第31章 国際関係――地球温暖化問題で世界をリードするモルディブ
第32章 インドとの関係――外交関係多角化の追求
第33章 中国との関係――一帯一路への参加と政権交代による波乱
第34章 モルディブとスリランカ―経済的な依存から第2のホームタウンに
第35章 日本の対モルディブ国開発協力―足跡と展望
モルディブを知るための参考文献
モルディブの100年
スルタン一覧
前書きなど
はじめに
(…前略…)
本書の執筆は、モルディブをフィールドとする研究者、青年海外協力隊や国際協力機構(JICA)や民間団体から派遣されモルディブでさまざまな分野で支援を行った経験のある方々、事業活動などを通じてモルディブと長らく関わりを持ってきた方に広くお願いし、広い分野の貴重な体験や知見を含めることができた。ただし、政治経済などモルディブを専門とする研究者がいない分野についてはアジ研の他の地域を専門とする研究者の参加を得て研究を行った。民主化されて間もないモルディブが国内政治面で難しいかじ取りを迫られていること、対外的にはインド・中国という大国の狭間で関係を模索していること、一方で、気候変動など地球規模の環境問題の分野でイニシアティブを発揮していることを示すことができた。日本での先行研究が十分でないなかで、モルディブの豊かな歴史、生活・文化、宗教についての考察は十分とはいえないものの、観光だけではない、モルディブのもつ様々な側面を紹介することができたとひそかに自負している。そして何より本書が読者のみなさんにとって真のモルディブの姿をとらえるきっかけとなるとしたら、この上ない幸いである。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。