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アフガニスタンを知るための70章 前田 耕作(編著) - 明石書店
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アフガニスタンを知るための70章 (アフガニスタンヲシルタメノナナジッショウ)

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発行:明石書店
4-6
416ページ
並製
価格 2,000円+税
ISBN
978-4-7503-5243-5   COPY
ISBN 13
9784750352435   COPY
ISBN 10h
4-7503-5243-8   COPY
ISBN 10
4750352438   COPY
出版者記号
7503   COPY
Cコード
C0336  
0:一般 3:全集・双書 36:社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年9月30日
書店発売日
登録日
2021年9月1日
最終更新日
2021年11月5日
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書評掲載情報

2023-11-11 日本経済新聞  朝刊
2021-11-14 読売新聞
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紹介

東西冷戦や宗教原理主義の台頭、いわゆる「テロとの戦い」の舞台となるなど、数十年にわたり苦しい状況に置かれているアフガニスタン。日本との国交樹立90周年を迎えるにあたり、その歴史と文化、人びとの暮らしを、平和と復興への期待を込めて幅広く紹介する。

目次

 はじめに――アフガニスタンとはなにか
 アフガニスタン概略全図

Ⅰ アフガニスタンの国の輪郭

第1章 国の形と統治機構――国民国家アフガニスタンの相貌
第2章 アフガニスタンの風土――多様な自然環境と景観
第3章 多民族が織りなす社会――言語・宗教・文化の交流と共存
第4章 アフガニスタンにおける「民族」対立の構造――パシュトゥンによる国民統合の歴史からみる分断

Ⅱ 国の歩み

第5章 アフガニスタンの曙――旧石器時代~鉄器時代
第6章 アレクサンドロスの東方への夢――バクトリアとソグディアナ
第7章 クシャン朝――東西交易と花開く仏教文化
第8章 西方と北方からの侵入者たち――ササン朝、フン、イスラム
第9章 ドゥラニ朝の時代――アフガニスタン政治史とパシュトゥン人
第10章 「グレート・ゲーム」の時代におけるアフガニスタン――19世紀から20世紀初頭の政治動態
第11章 王政の廃止、ソビエト軍の侵攻、内戦、タリバン政権――国際情勢の荒波にもまれて
第12章 アフマド・シャー・マスード――国民的英雄の素顔
 【コラム1】アフガニスタンの教育システムと教科書からみる学校教育

Ⅲ 生活の基盤

第13章 現代アフガニスタン経済事情――課題と活路
第14章 近年のアフガニスタン経済動向――混乱する国内情勢と困難な農業復興
第15章 商業、バザール経済、地域経済、ハワーラ――公式・非公式の仕組みが共存するアフガニスタン商業活動の諸相
第16章 アフガニスタンの環境問題とごみ――カーブルにおける廃棄物管理
第17章 アフガニスタンの医療事情――厳しい自然環境や道路事情、宗教、伝統が課題
第18章 苦しい家計事情――なくならない貧富の差と貧困層
 【コラム2】アフガニスタンの手織り絨毯
 【コラム3】意外と似ている日本とアフガニスタン

Ⅳ 多声的な文化

第19章 アフガニスタンの人びとの一生――誕生から冠婚葬祭、宗教行事から儀礼まで
第20章 アフガニスタンの人びとの暮らし――民族や宗教で異なる衣食住
第21章 アフガニスタンのコミュニケーション事情――戦後変化を遂げたマスメディアと娯楽
第22章 アフガニスタン人の娯楽と芸能模様――演劇・音楽・舞踊について
 【コラム4】ブズカシ
第23章 映画から見たアフガニスタン――外部者の眼から映像の自己表現へ
第24章 アフガニスタンの遊牧民――その歴史と多様性
第25章 パシュトー文学と「ダリー語文学」の形成――20世紀における国民統合政策との連関
第26章 おしゃれ好きのアフガン人――既製服よりオーダーメイドが主流、古着だってコーディネート
第27章 歌詞を通じてみるアフガニスタンの心――愛する人や故郷への想い
 【コラム5】ヘラートの細密画(ミニアチュール)

Ⅴ 文明の十字路

第28章 オクソスの流れ――多様な文化をつなぐ象徴
第29章 黄金のバクトリア――ティリア・テペ
第30章 漢籍史料からみたアフガニスタン――7世紀から8世紀を中心に
第31章 仏像の誕生――怖れを知らぬ獅子
第32章 求法僧の道――玄奘がたどったアフガニスタン
第33章 メス・アイナク遺跡群――埋もれた仏教都市
第34章 マルコ・ポーロの道――正確なそして夢を誘う記述
第35章 イスラムが残した建築――土着の建築伝統に刻まれた文化往来の軌跡
第36章 アジア・ハイウェイ――首都カーブルで東西幹線AH1と南北幹線AH7が交差
第37章 ラピス・ラズリ交易の中核地としてのアフガニスタン――不正採石・密輸問題を中心に
 【コラム6】悲劇に見まわれ続けるジャムのミナレット

Ⅵ アフガニスタンの旅

第38章 アフガニスタンとヨーロッパ――フランスとの出会い
第39章 アフガニスタンの動物と保護区――過酷な環境に生きる生き物たち
第40章 バーミヤン――光り輝く土地
第41章 カーブル――国の激動の歴史を体現している都市
 【コラム7】駐アフガニスタン日本公使館のはじまり
 【コラム8】カーブルの日々
第42章 マザーレ・シャリフ――白鳩舞う紺碧の墓標
第43章 ヘラート――文化香る古都
第44章 カンダハール――アフガニスタンの古都に2004年に訪れる
第45章 ガズニ――かつての文化センター都市
第46章 改宗の光があてられたヌーリスタン――山の伽藍、光の国の饗宴
第47章 ワハン回廊――今も生きるグレート・ゲームの狭間
 【コラム9】チェル・ボルジ紀行

Ⅶ 日本とアフガニスタン

第48章 日本とアフガニスタンの出会い――なぜか心かよう二つの国
第49章 裸の眼で都市文明を射る――東松照明著『サラーム・アレイコム』をめぐって
第50章 アフガニスタンの陶器作り――古代からつづく伝統的な製法
第51章 NGOの支援活動――子ども・若者・成人への教育支援を中心として
第52章 日本に住むアフガニスタン人――千葉県に4割以上
第53章 文化遺産を護る――平山郁夫画伯の取り組み
第54章 アフガニスタンとメディア――どう伝えてきたのか
第55章 アフガニスタンにおける日本の学術調査――自らの目で現地を見る
 【コラム10】ヒンドゥクシュ山脈に蝶を追って

Ⅷ 戦後復興

第56章 「地雷」と生きる――被害の現状と課題
第57章 難民問題と国連組織の活動――帰還民とIDPへの支援
第58章 アフガン女性と人権――ジェンダー差別とジェンダーにもとづく暴力の視点から
第59章 10人のうち6人が文字を読めない社会での教育――識字の大きな役割
第60章 アフガニスタンの麻薬・違法薬物――アヘン・ヘロインと新たな脅威・覚せい剤、日本の支援
第61章 学校を造る――バーミヤンでの学校建設とその後の交流
第62章 羽ばたけ、山の学校の子どもたち――支援・現実・夢
第63章 井戸を掘り、水路をうがつ――中村哲とPMSの活動
第64章 復興への日本の貢献――外交と安全の間で
第65章 文化遺産の継承――命を懸けて引き継ぐ歴史
 【コラム11】アフガニスタン、旅の歌・歌の旅

Ⅸ アフガニスタンはどこへ向かうのか

第66章 統合か、分裂か――再生への模索
第67章 アフガニスタンをめぐる利権――他国の国益・利権をめぐる思惑に振り回されるアフガニスタン
第68章 テロはなぜ起こるのか?――もうひとつのサウジアラビアの「輸出品」
第69章 新たなアフガニスタンをめざして――新生アフガニスタンに立ちはだかる高い壁
第70章 明日への希望――アフガニスタン人との絆
 【コラム12】幻想の未来


 補論 アフガニスタン情勢の変化

 あとがき

 資料2 アフガニスタンと日本の交流・年譜
 資料1 アフガニスタンを知るための文献・映像

前書きなど

はじめに――アフガニスタンとはなにか

 自国を愛するのは自然の理であるが、他国を愛するのにはさまざまな動機、常ならぬ心のざわめき、ふと魂揺さぶる誘因があるはずである。アフガニスタンを訪れたことのある人は誰もがもう一度訪ねたいといい、訪れたことのない人は一度は行ってみたいと口にする。決して豊かではなく、寒暖の差厳しく、国土の大半が峨々たる岩の山稜に占められ、名だたる乾燥する褐色の大地に人びとはなにゆえかくも惹き付けられるのであろうか。
 それはひとえにこの国の大地が長く深く紡いできた歴史と文化の壮大さと多彩さにあった。現在は長い戦火の果てに生まれた敬虔なイスラム共和国であるが、それでも8世紀以来、千数百年の転変めまぐるしい歴史の営みがある。それ以前、北のオクソス河と南のヘルマンド川、両河畔に花開いた文化も視野に留めれば、優に数千年の歴史の営みがあったといえよう。
 アマヌラ・ハーンが近代アフガニスタンの建国を宣するに当たって、国礎を考古学が確証し得る範囲に広げて据え直そうとしたのは卓見であった。現代アフガニスタンが敬虔なイスラム国でありながら、異文化の豊かな歴史・文化を排除することなく抱き続けているからこそ、それらが奏でる深い風韻に人びとは魂を揺さぶられ続けてきたのであり、今も心揺らされているのである。
 もはや純朴の世界などどこにも存在しないが、アフガニスタンの人びとの多くにはなおその残り香をほのかに感じさせる風情がある。1945年の敗戦の日本に心寄せた国はアフガニスタンただ一国であったことも忘れがたい。困窮の敗戦国に救援物資を届けてくれたわけではない。変わらぬ連帯の微風を届け続けてくれたのである。
 戦後の経済成長で、わが国は欧米と競い合いながら国際的な地位の向上をめざして発展し続けたが、アフガニスタンへの敬意を忘れることはなかった。その象徴はわが国の皇室とアフガニスタンの王家との交流である。アマヌラ・ハーンがわが国の皇室への親書を田鍋安之助に託した1925(大正14)年以来、1971年の皇太子・皇太子妃(現在の上皇・上皇后)のご訪問の実現まで、互いに敬意が交わされてきたのである。両殿下がバーミヤンとアム・ダリア河畔を訪れ、仏教とヘレニズムの遺跡をご覧になったことは、今もアフガニスタンで語りつがれるすがすがしい逸話である。
 日本の学術調査団がアフガニスタンのさまざまな領域で活動を始めたのは1950年代になってからのことであり、そこから発せられる種々の情報が世界にシルクロード・ブームを捲き起こすきっかけとなった。アフガニスタンの南北を走るアスファルトのハイウェイがアジアとヨーロッパを再び繋ぎぎ合わせ、さまざまな国のあらゆる年齢、あらゆる階層の人びとがアフガニスタンで出会い、語り合い、アフガニスタンへの愛を確かめもち帰った。
 今日のように、当時のアフガニスタンには外国の軍隊もいなければ、タリバンのテロもアルカイダの暴虐もなかった。貧富の差はあったが、行き交う人びとの顔は皆親しげで温和であった。
 21世紀は何を失ったのであろうか。戦争と疫病が人類から今なお平穏な日常を奪っている。アフガニスタンの過去と現在、苦悩と転変、その有為と無為を、私たちの生きる世界を映し出す鏡の一つとして捉え、本書を編んだ。

  2021年8月 編者 前田耕作

著者プロフィール

前田 耕作  (マエダ コウサク)  (編著

アフガニスタン文化研究所所長。
1957年名古屋大学文学部卒業。1975年より和光大学教授(アジア文化史・思想史)。2003年和光大学退職、名誉教授。東京藝術大学・帝京大学客員教授。
1964年名古屋大学アフガニスタン学術調査団一員として初めてバーミヤンを訪れ、以来アフガニスタンほか、西アジア、中央アジア、南アジアの古代遺跡の実地調査を行う。現在は主にアフガニスタンに関する文化研究を進めると共に、2003年7月から開始されたユネスコ日本信託基金に基づくバーミヤン遺跡の保存・修復の事業に参加している。

山内 和也  (ヤマウチ カズヤ)  (編著

帝京大学文化財研究所教授。
1984年早稲田大学第一文学部(東洋史専攻)卒業。1988年早稲田大学大学院文学研究科修了。1992年テヘラーン大学人文学部大学院修了。
シルクロード研究所研究員、独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所文化遺産国際協力センター地域環境研究室室長を経て現職。
専門はイラン、中央アジアの考古学。現在、アフガニスタンのバーミヤン遺跡の調査研究、保存修復事業に従事。

追記

【執筆者一覧】

青木健太(あおき・けんた)
公益財団法人中東調査会研究員。

稲葉穣(いなば・みのる)
京都大学人文科学研究所教授。

井上隆史(いのうえ・たかし)
東京藝術大学特任教授。

入澤崇(いりさわ・たかし)
龍谷大学学長。

岩井俊平(いわい・しゅんぺい)
龍谷大学龍谷ミュージアム准教授。

樫野亘(かしの・わたる)
国連薬物・犯罪事務所プログラムオフィサー。

清末愛砂(きよすえ・あいさ)
室蘭工業大学大学院工学研究科教授。

小荒井理恵(こあらい・りえ)
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会 元アフガニスタン事業アドバイザー。

古曳正夫(こびき・まさお)
オクサス学会元副会長。『ハルブーザ』主宰。

紺野誠二(こんの・せいじ)
特定非営利活動法人難民を助ける会プログラムコーディネーター(地雷問題担当)。

酒井成司(さかい・せいじ)
日本鱗翅学会会員。

柴田和重(しばた・かずしげ)
アフガンネットワーク幹事。

嶋田晴行(しまだ・はるゆき)
立命館大学国際関係学部教授。

鈴木均(すずき・ひとし)
日本貿易振興機構アジア経済研究所上席主任研究員。

関口広隆(せきぐち・ひろたか)
公益社団法人日本ユネスコ協会連盟事務局次長。

関根正男(せきね・まさお)
アフガニスタン文化研究所会員。

高橋和夫(たかはし・かずお)
放送大学名誉教授。

ちゃるぱーさ(佐藤圭一、やぎちさと)
アフガニスタン音楽ユニット。

土谷遙子(つちや・はるこ)
元上智大学教授。

登利谷正人(とりや・まさと)
東京外国語大学世界言語社会教育センター講師。

長岡正哲(ながおか・まさのり)
ユネスコ・プノンペン事務所文化部主任。

長倉洋海(ながくら・ひろみ)
写真家。

中道貞子(なかみち・ていこ)
奈良女子大学国際交流センター客員センター員。

西垣敬子(にしがき・けいこ)
宝塚・アフガニスタン友好協会代表。

八尾師誠(はちおし・まこと)
東京外国語大学名誉教授。

深見奈緒子(ふかみ・なおこ)
日本学術振興会カイロ研究連絡センター センター長。

福田幸正(ふくだ・ゆきまさ)
株式会社グローバル・グループ21ジャパン シニア・コンサルタント、公益財団法人国際通貨研究所客員研究員、上智大学非常勤講師。

藤田千代子(ふじた・ちよこ)
ペシャワール会理事、PMS支援室長、PMS総院長補佐。

保坂英輝(ほさか・ひでき)
国際連合麻薬・犯罪事務所プロジェクト・コーディネーター。

本多海太郎(ほんだ・かいたろう)
玄奘福舎主宰。

前田耕作(まえだ・こうさく)
編著者紹介を参照。

前田たつひこ(まえだ・たつひこ)
公益財団法人平山郁夫シルクロード美術館企画室長。

松井健(まつい・たけし)
東京大学名誉教授。

松尾敬子(まつお・けいこ)
国際連合人口基金職員、元国際連合人間居住計画職員。

松田徳太郎(まつだ・とくたろう)
オクサス学会会員、アフガニスタン文化研究所会員。

宮本亮一(みやもと・りょういち)
東京大学附属図書館アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門特任研究員。

村山和之(むらやま・かずゆき)
中央大学兼任講師。

森國次郎(もりくに・じろう)
アフガニスタン文化研究所会員。

森本晋(もりもと・すすむ)
公益財団法人ユネスコ・アジア文化センター文化遺産保護協力事務所所長。

安井浩美(やすい・ひろみ)
共同通信カブール支局通信員。

安仲卓二(やすなか・たくじ)
株式会社包代表取締役。

山内和也(やまうち・かずや)
編著者紹介を参照。

山田利行(やまだ・としゆき)
山田利行研究室室長、アフガニスタン文化研究所会員。

山根聡(やまね・そう)
大阪大学言語文化研究科教授。

横山時代(よこやま・ときよ)
名古屋アリアナ平和基金代表。

上記内容は本書刊行時のものです。