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独ソ占領下のポーランドに生きて
祖国の誇りを貫いた女性の抵抗の記録
原書: Wspomnienia wojenne
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年3月
- 書店発売日
- 2018年3月31日
- 登録日
- 2018年3月27日
- 最終更新日
- 2018年4月6日
書評掲載情報
2018-08-26 |
産經新聞
朝刊 評者: 川成洋(法政大学名誉教授) |
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紹介
ポーランド西部のルヴフ(現ウクライナ領リヴィウ)の大学で美術史の教員をしていた筆者が、1939年のソ連侵攻から逃れた先で、次はナチスに捕らえられ、ドイツの強制収容所で過ごした日々を綴った回想録。ポーランドで大きな反響を呼んだ著書の待望の邦訳。
目次
編者によるまえがき
はじめに
第一章 ルヴフ――一九三九年九月二二日~一九四〇年五月三日
第二章 クラクフ――一九四〇年五月~一九四一年六月
第三章 総督府巡回――一九四一年七月~一九四二年三月
第四章 スタニスワヴフ――一九四二年三月~一九四二年七月七日
第五章 ルヴフのウォンツキ通りにて――一九四二年七月八日~一九四二年一一月二八日
第六章 ベルリン――一九四二年一一月二九日~一九四三年一月九日
第七章 ラーフェンスブリュック――一九四三年一月九日~一九四五年四月五日
第八章 イタリア
エピローグ
写真――ランツコロンスキ家のアルバムから
註
人物目録
付録1[ハンス・クリューガーによって殺害されたルヴフの教授名]
付録2[親衛隊大将カルテンブルンナーから国際赤十字総裁への手紙]
訳者によるあとがき
人名索引
前書きなど
訳者によるあとがき
本書は、Karolina Lanckorońska, Wspomnienia wojenne, 22 IX 1939 . 5 IV 1945, Wydawnictwo Znak, Krakow 2017 の全訳である。原書(原題『戦時の回想――一九三九年九月二二日~一九四五年四月五日』)は二〇〇一年にクラクフで初版され、現在三版を重ね、電子書籍も出ている。本書には英語訳(translated by Noel Clark, Those who Trespass Against Us, One Woman's War Against the Nazis, Pimlico, London, 2005; Michelangelo in Ravensbruck, One Woman's War Against the Nazis, Da Carpo Press, Cambridge, 2007) とドイツ語訳(Aus dem Polnischen von Karin Wolff, Mit ist angeboren, Erinnerungen an den Krieg 1939-1945, Böhlau Verlag, Wien, 2003)が出ており、和訳にあたり参考にした。
本書が出版されたのは、著者カロリナ・ランツコロンスカが二〇〇二年に一〇四歳で亡くなる前年である。原稿は一九四五年から四六年に書かれたが、体制批判的内容と受け取られ、冷戦下での出版はままならなかった。半世紀以上封じ込められていた記録が日の目を見たのは、東欧革命とソ連崩壊後のことである(内容の一部はその前に雑誌に掲載された)。著者は庶民の女性ではない。数百年も続く富裕な大貴族であるとともに大学助教授という、当時の女性としては稀有な人物である。開戦によって一変した自らの生活や人々の姿を克明に記録する著者の文章には、知性のみならず抵抗運動闘士としての使命感も感じられる。英語版に紹介文を寄せたイギリスのポーランド史家ノーマン・デイヴィスは、「第二次大戦の体験記は数多いものの、本書ほど、深い学識と洞察力、人々への思いやりを兼ね備えた回想録を知らない」と評している。著者については「編者によるまえがき」に紹介されているので、ここでは本書の内容をより深く理解するために、第二次大戦下のポーランド人がおかれていた政治的社会的背景を簡単に確認しておきたい。
(…後略…)
上記内容は本書刊行時のものです。