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出版者情報
ハンドブック近代日本政治思想史
巻次:5
幕末から昭和まで
- 初版年月日
- 2021年2月28日
- 書店発売日
- 2021年2月19日
- 登録日
- 2021年1月13日
- 最終更新日
- 2021年9月30日
紹介
西洋の脅威に直面した日本人は、いかなる政治思想を生み出してきたのか。そしてその思想はどのような人々が担ってきたのか。本書では、幕末から昭和にかけての約150年間における思想と思想家について、それぞれの背景、思想、研究動向を詳述し、近代日本政治思想史の全貌を明らかにする。いわゆる「左」だけでなく「右」の政治思想も網羅した有用な一冊。
目次
はしがき
第Ⅰ部 幕末・明治の政治思想
解 説
1 帝国日本――東と西の論理
2 平田篤胤(1776~1843)――「復古」の創始者
3 後期水戸学――尊王から攘夷への跳躍
4 吉田松陰(1830~59)――自他認識の転回
5 横井小楠(1809~69)――「割拠見」を超えた思想家
6 大国隆正(1792~1871)――「神議」と「学統」
7 自由民権――デモクラシー運動の黎明
8 北村透谷(1868~94)――「国民の元気」による精神革命の模索者
9 福澤諭吉(1835~1901)――「独立」と「文明」の道を模索した思想家
10 加藤弘之(1836~1916)――進化論によって国家を論じたアカデミズムの総帥
11 明六社――文明開化を体現する思想結社
12 社会進化論――明治思想の底流
13 福地源一郎(1841~1906)――「輿論」政治の実現を目指した言論人
14 渋沢栄一(1840~1931)――「公益」を追求する企業家
15 伊藤博文(1841~1909)――立憲主義の思想家
16 山県有朋(1836~1922)――政治の限局
17 井上毅(1844~95)――「教化国」としての徳治
18 穂積八束(1860~1912)――国民道徳の法理的実現
19 徳富蘇峰(1863~1957)――近代日本の歴史を体現したジャーナリスト
20 民友社――「平民主義」で結ばれた文学・思想・言論集団
21 三宅雪嶺(1860~1945)――大正期の言説を中心に
22 政教社――「国粋主義」を唱えた「学士」たちの結社
23 陸羯南(1857~1907)――「国民主義」を訴え続けた新聞人
24 頭山満(1855~1944)――玄洋社の精神的リーダー
25 玄洋社――福岡の民権結社からアジアへ
26 内田良平(一八七四~一九三七)――黒龍会・大日本生産党を率いた国家主義運動家
27 黒龍会――内田良平とその周辺
28 田中智学(一八六一~一九三九)――「日本による世界統一」を目指した日蓮主義者
29 宮崎滔天(一八七〇~一九二二)――「革命」に賭けた人生
30 岡倉天心(一八六三~一九一三)――「日本美術」と西洋文明批評
31 高山樗牛(一八七一~一九〇二)――理想を〈憧憬〉し続けた思想家
32 内村鑑三(一八六一~一九三〇)――信仰とナショナリズム
33 南北朝正閏問題――世論による「国体」解釈への介入
34 アジア主義――その理想と現実
コラム1 もっと知りたいあなたのために
第Ⅱ部 大正の政治思想
解 説
35 大正デモクラシー――民本主義から近代への問いへ
36 「辺境」の思想――ナショナリティのゆらぎと再構築
37 綜合雑誌と論壇――雑誌から立ち上がる思想
38 美濃部達吉(1873~1948)――国体論としての天皇機関説
39 上杉慎吉(1878~1929)――天皇機関説を批判する国家主義的憲法学者
40 原敬(1856~1921)――不屈の信念で政党内閣を実現させた政治家
41 犬養毅(1855~1932)――政党政治に生き、東洋を重んじた国士政治家
42 北一輝(1881~1937)――「一国革命」と「世界革命」を目指した革命思想家
43 大川周明(1886~1957)――国家改造・アジア解放を目指した革新右翼
44 満川亀太郎(1888~1936)――アジア発の「世界革命」
45 吉野作造(1878~1933)――人間の解放を目指して
46 長谷川如是閑(1875~1969)――「社会」と「日本」の探求
47 福田徳三(1874~1930)――「社会」へのまなざしと「真正なるデモクラシー」の要求
48 実業の思想――企業家精神の軌跡
49 石橋湛山(1884~1973)――日本の「針路」を問い続けた言論人
50 内藤湖南(1866~1934)――学説と政策の相互関係
51 柳田國男(1875~1962)――民衆知から未来をひらく
52 和辻哲郎(1889~1960)――日本という場所に生き、倫理を考えるということ
53 津田左右吉(1873~1961)――アカデミズムの外から
54 新渡戸稲造(1862~1933)――日本の道徳感覚を建設しようとした愛国者
55 矢内原忠雄(1893~1960)――信仰と学問
56 田中王堂(1867~1932)――「生活の哲学」を打ち立てた「文明批評家」
57 土田杏村(1891~1934)――「人格」の自律的可能性を追求した「文化主義者」
58 平塚らいてう(1886~1971)と『青鞜』――セクシュアリティを語り始めた「新しい女」たち
59 山川菊栄(1890~1980)――日本におけるジェンダー政策論の原点
コラム2 記念館訪問のすすめ
第Ⅲ部 昭和の政治思想
解 説
60 日蓮主義――超国家主義に影響を与えた近代仏教思想
61 筧克彦(1872~1961)――「神ながらの道」に生きた法学者
62 平泉澄(1895~1984)――現在の中世を克服しようとした歴史家
63 蠟山政道(1895~1980)――近代日本における行政学・国際政治学の開拓者
64 三木清(1897~1945)――マルクス主義の人間学的基礎づけを試みた哲学者
65 昭和研究会――戦時期における知識人の集結と挫折
66 原理日本社――蓑田胸喜と三井甲之による言論妨害思想結社
67 東亜連盟論――石原莞爾の戦略的思想運動
68 西田幾多郎(1870~1945)――歴史的世界の未来を探究する哲学者
69 京都学派――「世界史的日本の立場」を語る西田幾多郎門下生たち
70 九鬼周造(1888~1941)――生の論理学と偶然性の倫理を目指して
71 折口信夫(1887~1953)――文芸復興による日本復興を目指す国学者
72 田中耕太郎(1890~1974)――個人と集団
73 清沢洌(1890~1945)――「心的態度」としての自由主義が支えた言論活動
74 高田保馬(1883~1971)――近代超克の夢を紡ぎ出した社会科学的歴史法則
75 清水幾太郎(1907~88)――変節する煽動家か、確信したニヒリストか
76 保田與重郎(1910~81)――「近代」に根本的な異を唱えた文藝批評家
77 日本浪曼派――「前近代への回帰」か「近代の超克」か
78 国家社会主義――「現代」を規定する思想
79 農本主義――日本「近代」の別の選択肢?
80 昭和維新運動――日本の維新/革新/革命を目指す思想運動
81 革新官僚の思想――変革期における政治のかたちをめぐって
82 政治と教育――占領期における国民道徳論
83 葦津珍彦(1909~92)――戦後神社界最大のオピニオン・リーダー
84 竹内好(1910~77)――日本とアジアの近代を問い続けた知識人
85 丸山眞男(1914~96)――「戦後民主主義」のオピニオン・リーダー
86 橋川文三(1922~83)――戦争体験を問い続けた「戦中派」知識人
87 福田恆存(1912~94)――昭和の宣長/日本のバーク
88 戦後の政治と文学――現代保守の原点としての江藤淳
89 戦争の記憶――「わかりやすさ」への抗い
90 『思想の科学』――多元主義の思想実践
91 廣松渉(1933~94)――近代の超克を志した戦後日本のグランドセオリスト
92 梅棹忠夫(1920~2010)――地球時代の人類の未来を問い続けた文明学者
93 山崎正和(1934~2020)――醒めながら酔うリズムの哲学
コラム3 文庫・資料館の紹介
近代日本政治思想史年表
著作名・雑誌名索引
人名索引
上記内容は本書刊行時のものです。
