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芸術の海をゆく人 酒井忠康(著/文) - みすず書房
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芸術の海をゆく人 (ゲイジュツノウミヲユクヒト) 回想の土方定一 (カイソウノヒジカタテイイチ)

芸術
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発行:みすず書房
A5判
296ページ
定価 4,600円+税
ISBN
978-4-622-08550-8   COPY
ISBN 13
9784622085508   COPY
ISBN 10h
4-622-08550-X   COPY
ISBN 10
462208550X   COPY
出版者記号
622   COPY
Cコード
C1070  
1:教養 0:単行本 70:芸術総記
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2016年9月24日
最終更新日
2016年11月11日
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書評掲載情報

2017-02-19 産經新聞  朝刊
2017-02-19 日本経済新聞  朝刊
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紹介

日本初の近代美術館である“カマキン”こと神奈川県立近代美術館の館長をながく務めた土方定一(1904-1980)は、アナーキズム詩人から出立したのちに美学者となり、美術批評家の草分けとしなった。館長就任以後も旺盛な批評活動を行い、また数々の芸術賞選考委員を務めるなど、指導者的役割を果たした泰斗である。
若き学芸員補として同館に勤務した酒井は、老境にさしかかった八方破れの館長を公私ともに支えることとなり、近代日本の芸術の海に針路を示す土方船長の肩越しに海を望み、その広さ、深さ、波濤の激しさを目の当たりにする。

「地方の公立美術館としてはユニークな企画展で知られ、わたしにもちょっとばかり誇りに思えるところがあった。もちろん企画展だけではない。陣頭指揮にあたっていた土方定一という人の仕事の采配に感心するところが大いにあったからである。氏を囲んで学芸諸先輩と過した夜の〈宴会〉などは、闘いにたとえればちょっとした“作戦会議”の観を呈していた」
(「再読『日本の近代美術』」)

師の影を追ううちに同館館長に就任、批評家として美術界に提言する立場となった著者は、いまなお師の影のなかにいる、と述懐する。師から弟子へ受け継がれた系譜をみずからたどりながら、日本美術の来し方行く末を問いなおす味わい深いエッセイ集。

目次

I
土方定一の戦後美術批評から
土方定一の詩、その他
高村光太郎と土方定一
暗い夜の時代  杉浦明平の「日記」から
土方定一・周作人・蒋兆和のことなど
北京にて  中薗英助と土方定一
ある消息  詩人・杉山平一

II
ブリューゲルへの道  海老原喜之助
ある書簡  松本俊介と土方定一
わが身を寄せて  野口弥太郎
土方定一のデスマスクと田中岑
年賀状の牛と柳原義達
ある日のローマ  飯田善國
扉をひらく  一原有徳
若いモンディアルな彫刻家  若林奮

III
『岸田劉生』についての覚書き
『渡辺崋山』をめぐる話
再読『日本の近代美術』
『ドイツ・ルネサンスの画家たち』の思い出
反骨・差配の大人  編集者・山崎省三
歴史家として  編集者・田辺徹
不思議な魔力  編集者・丸山尚一
はぐれ学者の記  菊盛英夫
二人の出会い  土方定一と匠秀夫
追想のわが師
土方定一の影  児童生徒作品展のことなど

あとがき
土方定一略年譜
初出一覧
図版一覧

著者プロフィール

酒井忠康  (サカイタダヤス)  (著/文

1941年、北海道に生まれる。64年、慶應義塾大学卒業後、神奈川県立近代美術館に勤務。92年、同館館長。2004年、世田谷美術館館長に就任し現在に至る。その間、国内外の数多くの展覧会企画・運営に携わる。国際美術評論家連盟会員、全国美術館会議理事、美術館連絡協議会理事長などを務める。専門は近・現代美術。79年、近代日本美術の黎明期を扱った『開化の浮世絵師 清親』(せりか書房)『海の鎖』(小沢書店)などの著作で第1回サントリー学芸賞を受賞。
著書に『海の鎖』(青幻舎)『覚書 幕末・明治の美術』(岩波書店)『遠い太鼓』『魂の樹』『森の掟』『彫刻の庭』(以上、小沢書店)『彫刻家への手紙』『彫刻家との対話』『ある日の画家』(以上、未知谷)『日本近代思想大系 美術』(共著、岩波書店)『岸田劉生随筆集』(編著、岩波文庫)『若林奮 犬になった彫刻家』『鞄に入れた本の話』『芸術の海をゆく人 回想の土方定一』(以上、みすず書房)『ヨーゼフ・ボイスの足型』(共著、みすず書房)『鍵のない館長の抽斗』(求龍堂)『早世の天才画家』(中公新書)ほか多数。

上記内容は本書刊行時のものです。