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芝居のある風景
- 書店発売日
- 2023年3月16日
- 登録日
- 2023年1月30日
- 最終更新日
- 2023年3月14日
書評掲載情報
2023-05-13 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 長谷部浩(演劇評論家) |
2023-05-13 | 朝日新聞 朝刊 |
2023-04-29 | 日本経済新聞 朝刊 |
2023-03-25 |
毎日新聞
朝刊 評者: 鹿島茂(仏文学者) |
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紹介
生粋の東京人による「東京物語」
藝能評論の第一人者が、演劇鑑賞団体「都民劇場」の会報誌に連載した「當世藝能見聞録」(2015-2021年)をまとめたのが本書である。
会報誌の性格上、実際の舞台を見ての劇評ではなく、これから観劇する会員に対し、作品や舞台にまつわるさまざまなエピソードを、著者ならではの視点で紹介していくのが最大の特色となっている。
例えば泉鏡花『婦系図』の稿では、湯島境内の場に出てくる声色(こわいろ)屋を基に、今や絶滅したともいえる藝能の系譜を辿っていく。声色は古川ロッパの造語になる声帯模写にとって代わられた流しの放浪藝で、歌舞伎など人気役者の台詞まわしを巧みに真似てみせた。森鷗外の『雁』にも、薄幸のお玉が高利貸の妾になる見合いの席で、階下で流す声色屋が描かれていることを、著者はさらりと付け加える。
「その作品の評価という批評本来の意義からできるだけ距離をとり、作品から連想されたところの恣意に委ねた個人体験による心情などを」述べるという著者の姿勢に、舞台というものの奥行きがいかに深いか、読者は肌身で感じ取りながら、名随筆を満喫することができる。
目次
Ⅰ 二〇一五~二〇一六年
妹背山婦女庭訓
真珠の首飾り
放浪記
桜の園
書く女
星屑の町 完結篇
イニシュマン島のビリー
東横歌舞伎の時代
ビニールの城
婦系図
遊侠沓掛時次郎
フリック
Ⅱ 二〇一七年
遠野物語・奇ッ怪其ノ参
キャバレー
食いしん坊万歳!
夜の歌
ディファイルド
60’sエレジー
寺子屋の段
ミュージカル にんじん
鼓
カジノ・シティをぶっとばせ‼
Ⅲ 二〇一八年
いんたあみっしょん
志の輔らくご GINZA MODE
真実
長女
弁天娘女男白浪
嗚呼、萬朝報!
怪談牡丹燈籠
風の演劇 評伝別役実
おもろい女
TOP HAT
Ⅳ 二〇一九年
僕の戦後舞台・テレビ・映画史70年
芸人と兵隊
虎は狐と井の中に 仮
犬を食ってはならない
細雪
新正午浅草 荷風小伝
骨と十字架
赤玉★GANGAN~芥川なんぞ、怖くない~
江戸育お祭佐七
風を打つ
Ⅴ 二〇二〇年
獅子の見た夢
仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場
興行師列伝
サンセット大通り
対岸の絢爛
人間合格
殺意 ストリップショウ
ビリー・エリオット
虫たちの日
拝啓天皇陛下様 前略総理大臣殿
Ⅵ 二〇二一年
五十四の瞳
モンテンルパ
帰還不能点
昭和虞美人草
どん底──1947・東京──
老後の資金がありません
友達
ジュリアス・シーザー
IT弱者といたしましては あとがきの前に
あとがき
矢野誠一著作一覧
上記内容は本書刊行時のものです。