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出版者情報
虐殺のスイッチ
一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年7月6日
- 書店発売日
- 2023年7月10日
- 登録日
- 2023年5月26日
- 最終更新日
- 2025年7月17日
書評掲載情報
2023-08-12 |
朝日新聞
朝刊 評者: 安田浩一(ノンフィクションライター) |
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紹介
集団は熱狂し、変異した
関東大震災の朝鮮人虐殺、ナチスのホロコースト、クメール・ルージュの大量殺戮・・・・・・
なぜ悲劇は繰り返されるのか。そのメカニズムを解き明かす。
ナチスのホロコースト、クメール・ルージュの大量殺戮、関東大震災の朝鮮人虐殺、インドネシア政権による虐殺、ルワンダ・フツ族のツチ族虐殺……、歴史を、世界を見渡すと、虐殺事件は繰り返し起き、あふれている。なぜごく普通の善良な市民が、同じように普通の人をいとも簡単に殺すのか、しかも大量に。キーになるのは、集団と同調圧力。集団が熱狂し変異して起きる虐殺のメカニズムを考える。
解説 武田砂鉄
目次
まえがき
1 なぜ人はこれほど残虐になれるのか カンボジアの残像
トゥール・スレン虐殺犯罪博物館にて
朝起きたら歯を磨くように人を殺す
惨劇の痕跡
2 どうしても学校や会社には適応できない 僕が虐殺に関心を抱いた理由(その1)
吃音のいじめられっ子だった頃
映画を「作る」楽しみ
アメリカン・ニューシネマの時代
役者を目指したものの……
ドキュメンタリーとの出会い
ドキュメンタリーはおもしろい!?
3 オウムを撮ることで気づいたこと 僕が虐殺に関心を抱いた理由(その2)
そして一人きりになった
宗教が救えるものの限界
なぜオウムは人を殺したの
オウムの側から社会を眺める
こうして人は歯車になる
4 生きものの命は殺してもいいのか
クジラと日本
生きものと知性
線引きの難しさ
調査捕鯨を続ける本当の理由
ウシやブタやイルカの殺され方
5 人を殺してはいけない理由などない
人は身勝手な生きもの
人は人を殺してはいけないと誰が言ったのですか?
人は人を簡単には殺せない
映画『フルメタル・ジャケット』から見えてくるもの
日本人の心は壊れにくいのか?
6 もとからモンスターである人などいない
殺人をどう罰するか
加害者は人間であり、モンスターではない
憎しみと愛情のはざまで
自由意志のあやうさ
7 この世界は虐殺に満ちている
虐殺の歴史を振り返ってみよう
①デマが罪のない多くの人を殺す ―― 関東大震災時の朝鮮人虐殺
②ホロコースト ―― ナチスによるユダヤ人大量虐殺
③普通の人が普通の人を殺す ―― 政権側によるインドネシアでの虐殺
④一つの民族が殺しあい、人口が激減した国 ―― カンボジアでのクメール・ルージュによる大量虐殺
⑤民族の対立をラジオが煽る ―― ルワンダでのフツ族によるツチ族虐殺
加害者の本当の姿を知りたい
被害者感情と取材の難しさ
8 集団と忖度 虐殺の核にあるもの
「私が彼を」でなく、「我々0 0 が彼ら0 0 を」殺すとは?
虐殺は誰かの指示がなくても始まる
アウシュビッツ強制収容所を訪ねて
9 善良な人々が虐殺の歯車になるとき
一人ひとりはみな優しい
凡庸な悪としてのアイヒマン
人は何に服従するのか
見えぬ命令系統
純粋さゆえの残虐さ
10 虐殺のスイッチを探る
集団化と同調圧力
過剰な忖度と異物の排除
お化け屋敷は、なぜ怖いのか?
集団が変異する熱狂の瞬間
虐殺のスイッチとは
転がる石のように あとがきに代えて
ちくま文庫版のためのあとがき
解説 武田砂鉄
上記内容は本書刊行時のものです。