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出版者情報
私たちの戦争社会学入門
- 初版年月日
- 2025年3月21日
- 書店発売日
- 2025年3月21日
- 登録日
- 2025年2月27日
- 最終更新日
- 2025年2月27日
書評掲載情報
2025-04-27 (予定) | 読売新聞 朝刊 |
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紹介
戦争を知ると、歴史と社会への解像度が激変する!
古今の戦争を振り返りながら、「誰が戦ってきたのか」「それによって何が失われ、何が作り出されてきたのか」を深堀していく。
そのほか、最先端の戦争は従来と何が違うのか、自衛隊と9条の関係をどう考えればいいのか、戦争体験者がいなくなって以降どう伝承していくのか・・・といった点を、社会学の知見を用いて、客観的・俯瞰的に解説します。
目次
1 誰が戦うのか
最もやっかいな公共問題
「あなたは戦いますか?」という問い/「国のために戦える」と即答できることは、良いこと?/「知らないこと」の克服が目的なのではない/「わからない」には2種類ある
2 誰が戦ってきたのか(古代と中世)
歴史を作ってきた問い
古代は、歩兵が戦う/集団で戦った古代ギリシャ/「仲間と闘う」意識が、共同意識を強くした/中世とは、騎兵が戦う時代/ローマ共和制を崩壊させた変化/なぜ、自前から支給性になったのか/「私たちが戦う」と、戦いすぎないで済む
3 誰が戦ってきたのか(近代)
民主主義、奴隷、傭兵
戦争社会学の視点で、戦争映画を観る/味方が逃げたら、味方が殺す/戦争が民主主義をもたらした時代/戦う市民、戦えない奴隷/そもそも、奴隷とは何か/命と引き換えに自由を失った人たち/なぜ奴隷の知識があまり教えられないのか/傭兵の登場/奪いまくって、売り飛ばせ!/戦争を抑制していた傭兵?/士官不足から、軍事の科学化へ/戦争は国家だけのものになっていく
4 社会思想からみる戦争
マキャベリ、ホッブズ、ロック、ルソー
「傭兵に頼ってばかりはいられない」と説いたマキャベリ/だから、市民を兵にせよ/兵役は、良きことだ/「国民軍」という発明/「国民」という意識を生んだ戦争/兵役と民主主義を結んだホッブズ/暴力を委託する/ロックとルソーの奴隷論/戦争と社会契約のモヤっとする関係/国際社会に契約は可能か?
5 20世紀の戦争(前半)
総力戦がはじまる
「総力戦」「全面戦争」って、どんな戦争?/定義するとはどういうことか/「総力戦」以前は、「部分的」にしか戦っていなかった/すべてを出し尽くし、さまざまな手段を採りうる戦争/「群れ」として殺す機関銃/無化されていく勇気と努力/それでも使用されていく機関銃/戦争はもはや人間のものではない/機械が主役の戦場で/消耗戦としての塹壕戦/突破する戦車、偵察する航空機/毒ガス、壊れてゆく兵士たちの精神/「マス」の戦争/殺戮の効率化と人間性の喪失/結束感は思想より強し/レコードがなければ終戦もなかった?/偏見や扇動のメカニズム/ステレオタイプとプロパガンダ/国家の実体化としての総力戦/国家とは何なのか/総力戦から生まれた福祉国家/福祉をほどこす国家側のメリット
6 20世紀の戦争(後半)
核、冷戦、消費社会
核戦争後の世界イメージ/家庭という戦場/冷戦と消費者の深い関係/消費社会の起源/戦争論としての消費社会論/「他人の家」を見られるテレビ/過剰生産を吸収する消費社会/核兵器と冷戦体制/核兵器と平和のジレン/「熱い戦争」と豊かな社会
7 21世紀の戦争
「これは戦争なのか?」
核の恐怖、と言われても/「現代の戦争」の捉えにくさ/戦争が戦争を演じる/対テロ戦争の奇妙さ/情報技術が鍵になる/マーケティングに使われていく軍事情報技術/なぜ、グーグルはすべて無料なのか/情動が鍵を握る「新しい戦争」/武力勢力はなぜ「強い」のか/もう誰も戦いたくない/冷戦後の戦争が詰め込まれたウクライナ戦争/古い戦争と新しい戦争の狭間で/戦争が変われば私たちも変わる
8 近現代日本と戦争
その特異さはどこからくるのか
徴兵制と参政権がなかなか結び付かない/日本のユニークな民主主義/兵役の機能①ランク付け/兵役の機能②生活の近代化/徴兵制とナショナリズム/社会契約の代わりに、日本にあったもの/みんなで仲良く、は昔から/一君万民論の挫折/戦前日本の迷走と可能性/敗戦の記憶と被害者意識/核戦争を体験した特別な国/なぜ戦後日本は猛スピードで復興できたのか/中国・ロシアと講和できなかったのは、なぜ?/「平和主義」と「アメリカ依存」の矛盾/冷戦で凍結されていた問題が、だんだん溶け出す/「日本も軍を出せ」という要求
9 女性と戦争・軍事
戦争・軍事は女性を差別しない(する?)
戦争と性暴力/従軍慰安婦問題/平和運動か、参戦運動か?/「女性でも」、あるいは「女性こそ」/戦争が再定義する「女性らしさ」/女性兵士はいかにして生まれるか/男女平等の表れか、「ジェンダーのおとり」か/
10 軍事社会学とはなにか
不必要だが、不可欠なものとしての軍事
軍事社会学ってなに?/軍事心理学と「みえない傷」/「発砲率25%」の衝撃/優秀な兵士の本質/軍国主義批判の系譜/「軍による安全」と「軍からの安全」/軍事的専門職、3つの本質/貴族的将校から現代の軍事エリートへ/軍隊は社会から乖離すべきではない/徴兵制廃止の衝撃/「制度か職業か」という問い/冷戦終結と軍隊の縮小/ポストモダン軍隊の本質
11 社会学からみる自衛隊
その誕生と矛盾について
実証と比較/自衛隊の誕生/戦前の日本軍と自衛隊の規模/自衛隊の歴史は、解釈の歴史/自衛隊をめぐる虚構と、一般的なイメージ/ポストモダンの枠組みで考える
12 「わからない」から「やっぱり、わからない」へ
建設的な議論のために
「わからない」における変化こそが成長/世界価値観調査で自分たちを知る/すべては「議論」のため/よい議論のための、三つの仕掛け/議論の場を設定してみる/結果発表、そして議論へ/「やっぱり、わからない」の世界へようこそ
おわりに
ブックガイド
上記内容は本書刊行時のものです。