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タブレット純のムードコーラス聖地純礼
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年10月20日
- 書店発売日
- 2020年10月21日
- 登録日
- 2020年10月6日
- 最終更新日
- 2020年11月12日
重版情報
2刷 | 出来予定日: 2020-11-20 |
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他にはちょっとない、元ムードコーラスに所属していたタブレット純が書いた「ムードコーラス史」。昭和30年代、40年代の「匂い」が伝わってきます。 |
紹介
元マヒナスターズで、現在は異端の芸人としても活躍するタブレット純が、自らの出自(ルーツ)であるムードコーラスの聖地とレジェンドたちを訪ね歩き、その栄華を味わう。
(登場するレジェンドたち) 松平直樹(マヒナスターズ)鶴岡雅義(東京ロマンチカ)敏いとう(ハッピー&ブルー)棚橋静雄(ロス・インディオス)宮路オサム(殿さまキングス)平和勝次(ダークホース)宮本悦朗(クール・ファイブ)など
(たどった聖地) 大阪・宗右衛門町、長崎・思案橋、浜町、東京・銀座、赤坂、亀戸、新宿、北海道・小樽、釧路など
目次
『タブレット純のムードコーラス聖地純礼』目次
◆まえがき です。
松平直樹、マヒナスターズを語る
東京聖地巡礼①~産声の亀戸篇
東京聖地巡礼②~寒月の日比谷篇
*カルトコーラス残響伝①~久保内成幸とロマネスクセブンの巻
棚橋静雄、ロス・インディオスを語る
大川光久、ロス・プリモスを語る
◆東京聖地巡礼③~漆黒の銀座篇
◆東京聖地巡礼④~流麗の赤坂篇
*カルトコーラス残響伝②~山岸英樹とサムソナイツの巻
敏いとう、ハッピー&ブルーを語る
◆東京聖地巡礼⑤~彷徨の新宿篇
*カルトコーラス残響伝③~J.シャングリラの巻
宮路オサム、殿さまキングスを語る
平和勝次、ダークホースを語る
◆大阪聖地巡礼~酩酊の大阪篇
*カルトコーラス残響伝④~三浦正弘とアロハ・ブラザーズの巻
宮本悦朗、クール・ファイブを語る
◆長崎聖地巡礼①~出発の成田篇
~プロローグ 和久井保さんインタビュー
◆長崎聖地巡礼②~残響の「銀馬車」篇
◆長崎聖地巡礼③~枯淡の「十二番館」篇
~エピローグ 藤本雅さんインタビュー
鶴岡雅義、東京ロマンチカを語る
◆北海道聖地巡礼①~粉雪の小樽篇
◆北海道聖地巡礼②~伝説の釧路篇
*カルトコーラス残響伝⑤~ジョイベルス東京の巻
*カルトコーラス残響伝(番外篇①)~マイナー界における私的“松森棚三”とは?
*カルトコーラス残響伝(番外篇②)~ムードコーラス界の“X-JAPAN”とは?
最終章・マヒナ浪漫紀行~我が出自を訪ねて
*マヒナ浪漫紀行①~郷愁の戸越銀座篇
*マヒナ浪漫紀行②~哀愁の蕨篇
*マヒナ浪漫紀行③~小雨の上野毛篇
*マヒナ浪漫紀行④~追悼の京都・鎌倉篇
◆あとがき
前書きなど
◆まえがき です。
「お前今日からメンバーだからな」
マヒナスターズのリーダー、和田弘さんに告げられたときの衝撃は一生忘れることがないでしょう。前夜に突然「明日来れるか?」と鶴の一声。仲介してくださったのはマヒナのメンバーである日高利昭先生の奥さま。ここで“先生”とこうお呼びするのはその2カ月ほど前から日高先生の歌謡教室に通っていたためで、その教室も兼ねたスナックにリーダーが来るからあんたも来なさい、そういったお電話でした。
翌晩。気付けの酒をしこたましこんだあとスナックの扉をおそるおそる開けるや数人に囲まれた陛下のようなリーダーが。「おぅ、お前いいからちょっと歌ってみな」
訳もわからぬまま震えるマイクでマヒナの『泣きぼくろ』を歌い終わり着座するや浴びたのが冒頭の言葉です。その頃“玄関開けたら2分でご飯”なるCMがありましたが、これが“スナック開けたら5分でマヒナ”事件のおおよその顛末です。
さらに遡れば夕げの匂い漂う茶の間、トランジスタラジオから流れてきた浮遊する深海クラゲのような旋律。「……これは何?」その時台所の母から事も無げに「マヒナでしょうよ」と野菜炒めに入ったキクラゲ同等に返されたマヒナなる不思議な暗号。この暗号がぼくの地球での磁場を麻痺させ、いつしか“永遠マヒナ”へと導かれていたのです。
あ、この場合マヒナは“麻痺な”の表記がより正しいかと。
あの時の橋本康之(本名)少年は今ではタブレット純という身も蓋もない名前となってさらに深海にさまよい、そうして目の前にいるのはなぜか海坊主、いや山中伊知郎さん。
「『GS聖地純礼』に続いて『ムードコーラス聖地純礼』、これ、やるしかないでしょう」
後追いファンとしてのグループサウンズ、そのゆかりの地を巡る旅を山中さんと終えてまだ間もないなか、その本が大して売れてもなく話題にもなってないなかの勝手にしやがれな続編です。しかしそもそもぼくのルーツはかようにムードコーラスなのであり、断る理由はありませんでした。山中さんにうなずく理由もないのですが、ここは不思議な因果兄弟として聖地巡礼界の「若井はんじけんじ」となって、治外法権の山中企画で頭の先までピーコピコと気まぐれ”純礼”コンビ復活です。和田さんごめ~んね。
と、ここでぼくの胸に去来した和田弘さんの向こうには、なぜか加橋かつみさん。あれは先のマヒナ電撃加入のくだりから「おぅ、じゃ寿司でも食うか」と和田弘さんに連れられ入ったほんの2坪くらいしかないちいさなお寿司屋さんにたった一人いた先客がGSの王者ザ・タイガースの雄だったのです。
ムードコーラスとGSの邂逅。それを思えばこの未来は約束されたことのように思えます。あの時緊張して会話は出来なかったけれど、酔いどれ一瞬触れあった哀愁の漂うまなざしがいま、
「やっちゃいな」
と囁いてくれました。トッポ、ありがとう!(妄想)今年ねずみ年だし。(なんだそりゃ)というわけで、あの日別れ際和田弘さんに「立ってるだけでいいから」と言われ曲がりなりにも歌手としての生命を与えられた“田渕純”は20年近くの歳月を経て“純礼”という自分探しにしてご恩返し、そんな旅に出ます。因みにそれ以前、ちいさな古本屋を一人できりもりしていた頃には「座っているだけでいいから」と言われていた、立ってるか座ってるかだけの人生だったぼく。同じように普段はものぐさな山中さんも、ロープに振ればとりあえずよたよた帰ってきて技を受けてくれる方ではあります。
山中さんの得意技は“青春18切符固め”と“マックコーヒー抑え”であります。またもへんてこな四角いリングを右往左往してるだけの本になるかもしれませんが、どうかこの山中遭難企画にゆるゆるとお付き合い願えましたらさいわいです。
版元から一言
今までほとんど出てこなかった、戦後のムードコーラス史をめぐる本。それを、あえて「ムードコーラスの末裔」ともいえるタブレット純が、独特の筆致で綴ります。
ちなみにタブレット純はAMラジオにも何本かのレギュラーを持ち、週刊新潮にも連載記事を持つ、「隠れた売れっ子」です。
上記内容は本書刊行時のものです。