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魂の論理的生命
心理学の厳密な概念に向けて
- 書店発売日
- 2018年6月20日
- 登録日
- 2018年5月5日
- 最終更新日
- 2018年5月29日
紹介
「魂の論理」としての心理学は、止揚された科学/宗教/医学として、現代における生のリアリティーに、自らの論理的形式の変革によって応じていかなければならないが、いまだ感覚・知覚、イメージという体験のレベルにとどまり、真に概念的で論理的なレベルへの移行を成し遂げていない。それを可能とする「心理学の厳密な概念」とは何か? ユング派を代表する論客が心理学の現状を徹底的に批判しながら展開する革新的な心理学論。
目次
◎目次
序文
第1章 「立ち入り禁止!」:心理学への入口と心理学の語らいのスタイル
a)心理学の語らいにおける「誰が」
b)心理学の語らいにおける「どのように」
c)心理学の語らいにおける「何が」
第2章 なぜユングなのか?
a)魂の〈概念〉
b)思索者
c)内包的思考vs.明示的思考
d)一つの思想体系に対する略号としての「ユング」という名称
e)内包的思考の利点
第3章 ユング:〈概念〉に根差すこと
a)猫でない猫
b)燃えさかる液状の溶岩から結晶化した石へ
c)止揚された科学、止揚された宗教、止揚された医学
d)「全体」に向き合うこと
e)時代の問い、大いなる謎、精神の重荷
第4章 ユング派:概念への免疫性と失われた遺産
a)今日の伝統的なユング派における一般的な状況についての議論
b)心理学の概念なき概念化
1.観察と観念の種々雑多な集合体
2.中和
3.人の立場のもつ「奇異さ」
4.完全性についての折衷主義的ファンタジー
第5章 元型的心理学、あるいは…:イマジナルなアプローチへの批判
a)「云々の意識をもっている人間存在」という考え
b)真に心理学的な神話解釈のための四つの前提
1.神話解釈は「寓意的」であるという前提
2.補説:飼い慣らされた荒野と先在性
3.神話解釈は「同語反復的」であるという前提
4.補説:心理学とは、われわれが魂の生命に対して与える名称なのか、「人々の心理」に対して与える名称なのか?
5.神話やファンタジー・イメージは「自己充足的」であるという前提
6.神話のイメージがもつ「主観的」意味と「客観的(元型的)」意味との間には違いがあるという前提
c)解離
d)空虚な二重写し
e)自我心理学としてのイマジナルな心理学
f)補説:錬金術のイマジネーションに反する作業(opus contra imaginationem)
1.否定され反省されたイメージ
2.錬金術師:心理学的現実の主観性と論理的次元に対する気づき
3.最終結果に対する強迫的欲動
4.物質の化学
5.投影された論理的形式としての物質の探求
6.心理学主義:錬金術に関するユングの退行的解釈
7.錬金術の神秘の神秘化
g)イマジナルなものに固有の二重性
h)「似ていること」:連続性という誤った感覚
1.神話、神々、あるいは…:抽象的な諸形式
2.われわれの苦悩、あるいは…:心理学のアンティーク
3.「似たもの」の関係、あるいは…:「マッチングという単純な行為」
i)「中間地帯」、あるいは…:間に合わせと隠蔽
j)心理学を止揚することと心理学を見直すこと
第6章 アクタイオンとアルテミス:概念の絵画的表象と神話の(魂の論理としての)心理学的解釈
第一の決定 狩人、あるいは…:〈他者〉への志向性
第二の決定 原初の森、あるいは…:〈他者性〉に自らを曝すこと
第四の決定 裸のアルテミスの顕現、あるいは…:〈他者〉の最も内奥にある真理の啓示
第三の決定 殺害と顕現の同一性、あるいは…:〈他者〉を理解すること
第五の決定 変容、あるいは…:〈他者〉との同一性を理解すること(=〈他者〉によってすでに理解されていること)
第六の決定 解体、あるいは…:〈自己〉(狩人)と〈他者〉(獲物)の〈他者性〉それ自体(狩人という〈概念〉/心理学)への溶解
第7章 結びの問い
文献
人名索引
事項索引
訳者あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。