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「大東亜」を建設する
帝国日本の技術とイデオロギー
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年12月13日
- 書店発売日
- 2019年12月13日
- 登録日
- 2019年10月25日
- 最終更新日
- 2021年10月14日
書評掲載情報
2020-03-07 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 成田龍一(日本女子大学教授) |
2020-02-29 |
朝日新聞
朝刊 評者: 本田由紀(東京大学教授・教育社会学) |
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紹介
エンジニアたちの「大東亜」
戦時下において「技術」に希望を託し、合理的な統治と動員体制を築こうとした革新官僚と技術者たちがいた。帝国日本にとって「技術」とは何だったのか。「大東亜」建設の実相に、新たな視角から迫る力作。
アジア・太平洋戦争期、帝国日本の戦時動員のため「技術」という言葉が広範に使用されていた。それは単に科学技術だけではなく、社会全体の統治にもかかわるイデオロギーであった。狂信的な言説が吹き荒れたと思われる時代は、実は科学的・技術的な言説が力を持った時代でもあったのだ。本書では、革新官僚と技術者たちの動向を中心に、満州と中国における巨大建設プロジェクトを詳細に分析しつつ、戦後までをも貫く「技術」言説を思想史的に描き出す。新たな視角から帝国日本の核心に迫る、急逝した気鋭のアメリカ人研究者の遺作となった画期的研究。
〇訳者・解説陣
三原芳秋(序章)
金山浩司(一・二章)
栢木清吾(三章)
山品晟互(四章)
小野萌海(四章)
井上雅俊(五章)
内川隆文(終章)
辛島理人(終章)
藤原辰史(解説)
目次
序説 帝国日本の技術的想像力
技術超大国としての日本
近代日本における科学技術概念を再考する
技術と日本型ファシズム
日本の技術的想像力
技術と日本帝国主義
本書の射程
第一章 生活を革新する技術
知的側面からみた技術の位置づけ
技術論の淵源
日本における技術論
実践的技術論――技術を社会そして生活に溶け込ませる
理論と政策――近代化と動員のための政治技術
偉大なる東亜の技術的経済
映画の文化技術
結論――戦後の相川の活動と、彼の思想が暗示するもの
第二章 アジア発展のための技術
社会の管理者としての技術者
二○世紀初頭日本における技術者と技術者地位向上政策
ソースタイン・ヴェブレンと日本技術者運動の知的背景
技術者と技術文化の形成
帝国のための技術者――「総合技術」のはじまり
テクノクラシーを目指して――「技術の立場」に基づく計画化
技術を通じて主体を変革する
日中戦争と総合技術の制度化
技術と東亜新秩序への中国の統合
技術者と興亜院の結成
アジア開発と戦時態勢――北部中国における産業五か年計画
結論――帝国主義的ナショナリズムとしての技術
第三章 大陸を建設する
戦時中の満州国と中国における技術
「総合技術」の制度化――南満州における遼河治水計画
「アジアを開発する」――日本人技師たちの中国進出
都市の技術的想像力――「汎アジア」的北京を事例として
ダムと総合的地域計画の進展
結論――総合技術という亡霊
第四章 帝国をダム化する
水力発電と総合技術
日窒帝国と朝鮮工業化の基礎としてのダム
河川を合理化する
ダムを計画し設計する
大自然との相撲――ダム建設と河川管理
「東亜建設」への異論――ダム建設の社会経済的な効果
土地の買収と住民の移動における植民地権力
労働者を動員し規律化する
結論――技術の力を自然化する
第五章 社会機構を設計する
革新官僚の技術的なヴィジョン
創造的エンジニアと経済技術
東アジアの新秩序を設計する
国民生活組織と日本国民の創造的エネルギー
社会機構を「人間らしく」する
汎アジアナショナリズム
「東アジアの経済構築」に向けて
結論――技術、ファシズム、そして権力
終章 戦後日本におけるテクノファシズムおよびテクノ帝国主義
解説 藤原辰史+塚原東吾
参考文献一覧
上記内容は本書刊行時のものです。