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出版者情報
黒い蜻蛉
小説 小泉八雲
- 初版年月日
- 2024年8月30日
- 書店発売日
- 2024年8月27日
- 登録日
- 2024年3月1日
- 最終更新日
- 2025年5月27日
書評掲載情報
2024-11-03 | 産經新聞 朝刊 |
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紹介
『怪談』『知られぬ日本の面影』『日本――一つの試論』。日本人も気づいていなかった日本文化の魅力・価値に気づき、世界に広めた人物、小泉八雲。自身の生い立ちに由来するコンプレックス、葛藤にもがいていた「ラフカディオ・ハーン」は、諸国遍歴のすえに日本へ渡り、日本人の生き方や文化、そして妻となる女性、小泉セツに出会う。日本人「小泉八雲」となった彼の人生は、ヤゴが羽化してトンボとなって飛び立つがごとく変わっていく――。アイルランド出身の著者が描く、空想と史実が織りなす魂の伝記小説。
本書は、アイルランド出身の脚本家、ジーン・パスリー氏が 2021 年に刊行した長編小説、“Black Dragonfly”の日本語翻訳版。
主人公は「雪女」「耳なし芳一」「ろくろ首」など、日本に古くから伝わる民話・伝承を再話した『怪談』を出版し、日本の文化を世界に紹介した人物、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。物語はハーンの幼少期からはじまり、アイルランド人とギリシャ人の血をひく彼は、その出自や外見、幼いころに両親と生き別れた経験などから、つねに劣等感と孤独感を抱えていた。世界各地を経巡ったハーンが新たな居場所を求めて渡ったのが、明治期の日本だった。仏教や神道、精霊信仰、先祖崇拝といった日本の精神文化に触れるハーン。松江への旅、英語教師として学生たちと過ごす日々、元士族の娘・小泉セツとの結婚、息子一雄の誕生、日本への帰化と改名――。〈日本〉との出会いによって、その人生と人生観は大きく変わっていく。
小泉八雲の生涯を描いた唯一の邦訳小説である本書は、史実と仮構を織り交ぜることで、一人の人間としての小泉八雲を浮き彫りにする。母への思慕や過去の後悔、自己存在への葛藤を抱えながらも、人生の歩みを進めていくハーンの人生が、「〈自分〉を引き受けて生きていくとはどういうことか」を、わたしたちに投げかける。
翻訳は、『さかさ町』『イワンの馬鹿』『キプリング童話集』など、児童文学の翻訳をおもに手掛ける小宮由氏が担い、50 余年のハーンの生涯に寄り添って訳出。小泉八雲没後 120 年、『怪談』出版 120 年の節目である 2024 年、『黒い蜻蛉――小説 小泉八雲――』として発刊する。
目次
日本の読者のみなさんへ
プロローグ ----一八五四年 ダブリン・アイルランド
1 極東の国へ ----一八八九年 ニューヨーク・アメリカ
2 アビシニア号にて ----一八九〇年 太平洋上
3 日本上陸 ----一八九〇年 横浜
4 出雲の国 ----一八九〇年 松江
5 結婚 ----一八九〇年 松江
6 耳なし芳一 ----一八九一年 松江
7 山陰の旅 ----一八九一年 松江
8 浦島太郎 ----一八九一年 松江
9 さようなら! ----一八九一年 松江
10 弟ジェームズ ----一八九一年 熊本
11 九州の学生たちと ----一八九二年 熊本
12 八雲立つ ----一八九三年 熊本
13 再会と別れ ----一八九四年 熊本
14 揺らぐ心 ----一八九四年 熊本
15 鯉のぼりと柔術 ----一八九五年 神戸
16 帰化 ----一八九五年 神戸
17 神様の里 ----一八九七年 東京
18 噴火 ----一九〇二年 東京
19 解雇通知 ----一九〇二年 東京
20 富士山へ ----一九〇三年 東京
21 黒い蜻蛉 ----一九〇四年 東京
著者あとがき
訳者あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。