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環境正義 K.シュレーダー=フレチェット(著/文) - 勁草書房
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環境正義 (カンキョウセイギ) 平等とデモクラシーの倫理学 (ビョウドウトデモクラシーノリンリガク)

哲学・宗教
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発行:勁草書房
A5判
464ページ
定価 5,500円+税
ISBN
978-4-326-10299-0   COPY
ISBN 13
9784326102990   COPY
ISBN 10h
4-326-10299-3   COPY
ISBN 10
4326102993   COPY
出版者記号
326   COPY
Cコード
C3012  
3:専門 0:単行本 12:倫理(学)
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2022年1月13日
最終更新日
2024年1月24日
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書評掲載情報

2023-03-11 朝日新聞  朝刊
評者: 松尾隆佑(宮崎大学講師・政治理論)
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紹介

環境に関する社会的公平性を問う「環境正義」の基本文献。様々な事例を通じ、環境をめぐる不平等を是正するための理論と実践を示す。

原子力問題やリスクの研究で大きな業績を残しているシュレーダー=フレチェットの主著の一つ。環境正義について、平等、財産権、手続き的正義、インフォームドコンセント、世代間の公平、正当な補償といった概念を事例を通して説明し、環境をめぐる不平等を是正するための理論と実践を示す。環境正義を論じる際の必読文献である。
【原著】Kristin Shrader-Frechette, Environmental Justice: Creating Equality, Reclaiming Democracy(Oxford University Press, 2002)

目次


謝 辞
凡 例

第1章 序 論
 環境保護主義と生命中心主義
 環境保護主義から環境正義へ
 環境不正義を理解する
 本書の概要

第2章 分配の正義、参加の正義、当座の政治的平等の原則
 概要
 〈当座の政治的平等の原則〉と分配の正義
 〈当座の政治的平等の原則〉と参加の正義
 〈当座の政治的平等の原則〉に対する反論
 配慮なき科学の使用がいかに環境不正義を助長しているか
 立地をめぐる連邦統制と地方統制の対立─公平性と効用の釣り合いをとる
 事例研究
 結論

第3章 アパラチア地方の人々、土地へのアクセス、手続き的正義
 概要
 第一の議論の舞台:カリフォルニア州の農家
 環境不正義のもう一つの事例:アパラチア地方の農家
 手続き的正義と結果状態原理
 手続き的正義を根拠として資源の所有権の制限を擁護する議論
 資源取引、自発性、そしてロック的但し書き
 土地の財産権を制限するための提案
 土地利用規制論に対する反論
 資源の所有権を制限することについての第二の擁護論
 第二の擁護論に対する反論
 結論

第4章 アフリカ系アメリカ人、現地不承諾土地利用、自由なインフォームド・コンセント
 コールマン師とサウスサイド
 概要
 事例研究:ルイジアナ州ホーマー
 ルイジアナ州への設置は倫理的に正当なものではなかった
 反論と応答:環境面で公正なエネルギー政策
 反論と応答:当該工場に対する経済的なニーズはない
 追記

第5章 公平性と将来世代に対する義務─ユッカマウンテンの事例
 概要
 平等な待遇を支持する当座の論拠
 功利主義に基づく反論
 将来世代に対する義務
 同意と将来の人々
 将来の人々のための正義に影響を与える実践的・法的な考慮事項
 結論

第6章 先住民の人々とパターナリズムの問題
 植民地主義と先住民に対する搾取:シェルオイル社の事例
 概要
 パターナリズム、同意、参加の正義
 メスカレロ・アパッチ族、パターナリズム、廃棄物処理
 環境正義とメスカレロ族
 地理的な不平等、分配の正義、メスカレロ族
 放射性廃棄物問題の歴史
 放射性廃棄物問題に関連する科学
 結論

第7章 リスクのある労働環境、ダブルスタンダード、正当な補償
 概要
 ダブルスタンダード
 歴史的背景
 補償賃金格差理論
 補償賃金格差への反対論
 事例研究:六〇万人の米国エネルギー省労働者
 結論と代替案

第8章 途上国、保護の平等性、道徳的英雄主義の限界
 概要
 社会の進歩論法
 血まみれのパン論法
 同意論法とそれに対する道徳的応答
 経済の現実論法とそれに対する道徳的応答
 環境正義に対する市民の責任
 結論

第9章 行動を起こすこと─環境不正義に対する公衆の責任
 概要
 環境正義の擁護者になること
 偏った社会条件
 環境正義の擁護活動を支持する帰結主義的論拠
 環境正義の擁護活動を支持する義務論的論拠
 環境正義の擁護活動が制限される場合
 具体的なステップ:非政府組織と協働する
 結論

監訳者あとがき
原 注
訳 注
地名索引
人名索引
事項索引
訳者一覧


【訳者一覧】
山本剛史(やまもと たかし) 序文・謝辞
 慶應義塾大学教職課程センター他非常勤講師.
熊坂元大(くまさか もとひろ) 第1章
 徳島大学大学院社会産業理工学研究部准教授.
宮﨑文彦(みやざき ふみひこ) 第2章
 千葉大学大学院社会科学研究院特任研究員,同専門法務研究科・法政経学部・普遍教育センター非常勤講師ほか.
田中さをり(たなか さをり) 第3章
 千葉大学大学院工学研究院特任研究員.他,編集・文筆業を営む.
竹中真也(たけなか しんや) 第4章
 中央大学兼任講師.
齋藤宜之(さいとう よしゆき) 第5章
 中央大学文学部兼任講師,日本大学大学院総合社会情報研究科非常勤講師.
青田麻未(あおた まみ) 第6章
 日本学術振興会特別研究員PD(成城大学).
猪口智広(いのくち ともひろ) 第7章
 東京大学大学院学際情報学府博士課程在学中.
佐藤麻貴(さとう まき) 第8章
 東京大学教養学部東アジア藝文書院(EAA)特任准教授.
寺本剛(てらもと つよし) 第9章
 中央大学理工学部准教授.

著者プロフィール

K.シュレーダー=フレチェット  (クリスティンシュレーダーフレチェット)  (著/文

クリスティン・シュレーダー=フレチェット(Kristin Shrader-Frechett) ノートルダム大学生物科学部および哲学部教授。長年にわたり科学技術(とりわけ原子力)のリスク評価について科学哲学と倫理学の観点から研究している。環境倫理学においては「世代間の公平性」や「環境正義」の研究で知られる。邦訳に『環境の倫理』上・下(晃洋書房,1993年),『環境リスクと合理的意思決定』(昭和堂,2007年)。2023年(第30回)コスモス国際賞を受賞。

奥田 太郎  (オクダ タロウ)  (監修

奥田 太郎(おくだ たろう) 京都大学大学院文学研究科博士後期課程指導認定退学。博士(文学)。現在,南山大学社会倫理研究所教授。主著に,『倫理学という構え:応用倫理学原論』(ナカニシヤ出版,2012年),『失われたドーナツの穴を求めて』(共編著,さいはて社,2017年),『責任と法意識の人間科学』(共編著,勁草書房,2018年)ほか。

寺本 剛  (テラモト ツヨシ)  (監修

寺本 剛(てらもと つよし)
中央大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(哲学)。現在、中央大学理工学部教授。主著に、『環境倫理学(3STEPシリーズ)』(吉永明弘共編、昭和堂、2020年)、『未来の環境倫理学』(吉永明弘・福永真弓編著、第3章「放射性廃棄物と世代間倫理」、勁草書房、2018年)、訳書にK.シュレーダー=フレチェット『環境正義:平等とデモクラシーの倫理学』(奥田太郎・寺本剛・吉永明弘監訳、勁草書房、2022年)がある。

吉永 明弘  (ヨシナガ アキヒロ)  (監修

吉永 明弘(よしなが あきひろ) 千葉大学大学院社会文化科学研究科修了。博士(学術)。現在,法政大学人間環境学部教授。主著に,『環境倫理学(3STEP シリーズ)』(寺本剛共編,昭和堂,2020年),『未来の環境倫理学』(福永真弓共編,勁草書房,2018年),『都市の環境倫理』(勁草書房,2014年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。