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日本人はなぜ、五七五七七の歌を愛してきたのか
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2016年12月
- 書店発売日
- 2016年12月9日
- 登録日
- 2016年11月14日
- 最終更新日
- 2017年8月24日
紹介
『万葉集』から今日まで約一三〇〇年、日本人は三一文字の歌を止めようとしない。この短い表現形式を愛して止まないのはなぜか。
もっともっとみんなで歌について語り合うために、知っておきたいことを「和歌はどう日本を作ってきたのか」「和歌の伝統はどう創られてきたのか」「和歌の広がりをどう見ていくのか」「短歌を詠んで生きるとは」という全4章で案内する。私たちのまだ知り得ないものが、歌にはたくさん隠されてる! 執筆は、浅見和彦/宇津木言行/奥村晃作/佐藤通雅/島内景二/田宮朋子/中村 文/錦 仁/原田信男/平野多恵/松坂 弘/松本郁代/渡部泰明/渡邉裕美子。和歌文学会監修。
【和歌はこの国において、いかなる役割を果たしてきたのか。優美な和歌の陰に、私たちのまだ知り得ないものが隠れているのではないか。飽くなき追究が必要であろう。和歌=優美、という見方に固執して終わるなら、あまりに一面的すぎる。
多くの人々と歌について語り合う広場をつくりたい。古典の和歌はもとより、現代歌人の短歌をもっと読んでみたい。歴史ある共有文化である歌がさらに発展し、未来へ継承されてゆくだろう。】…あとがきより
目次
はじめに―本書を手にする方へ
歌は時代を超えて/構成と内容
第1章●和歌はどう日本を作ってきたのか
[和歌は、神世の昔に始まるという。かたちはそのままに短歌として今に続く。歴史を超えて生き続ける和歌によって、どのような国を作り上げようとしたのか。]
1 後鳥羽院の野心―和歌の帝国▼渡邉裕美子
京都白川の今昔/後鳥羽院の最勝四天王院/最勝四天王院の完成まで/歌と名所絵/最勝四天王院の内部空間/歌の役割/野心の結末
2 歌枕と名所―和歌に包まれた国▼錦 仁
歌枕を見て参れ/歌合と名所/『古今集』の仮名序/和歌に包まれた国/「浮島」は実在するという論理/同じ名所が複数ある/歌枕は共有し分有される/和歌の力
第2章●和歌の伝統はどう創られてきたのか
[平安時代の歌人たちは『古今集』を仰ぐべき古典として詠歌に励んだ。その古典たるゆえんを明らかにし、和歌の流れを明らかにする。平安和歌から中世和歌への歩みが見えてくるように。]
1 君に語る『古今集』―大人の美学▼渡部泰明
『古今集』は大人の歌集/見立てという技法/比喩と見立ての違い/演技としての見立て/「うつせみの世」の歌/詠み手にとっての見立て/無私の心
2 源俊頼から藤原俊成・定家へ▼中村 文
和歌の新しさ/閉塞感の背景/俊頼の試み/古い方法の新しい可能性/俊成の試み/伝統に繋がる
3 西行という巨人―詩魂の系譜▼宇津木言行
和歌の新しい領域/西行独自の語の採集/ことばの多様性をひらく/音韻への関心/西行から芭蕉へ
第3章●和歌の広がりをどう見ていくのか
[和歌はあらゆるところに生きている。日本文化を、奥深くから、ゆたかに築き上げてきたのが和歌である。図像、庭園、占い、景観、飲食をとりあげてみた。和歌の広がりにきっと読者は驚くだろう。]
1 [図像] 和歌をめぐる図像―密教化する秘説の視覚性▼松本郁代
はじめに―秘説による図像化とは/「いなおほせどり」とは何か/「いなおほせとり」とは何者か?/羽のある人物は誰か/密教における図像/おわりに
2 [庭園] 六義園から歌を見る―日本文化の力▼島内景二
空間芸術を目指した和歌/六義園の遊芸門と久護山/武蔵野のど真ん中の大海原/新玉松という和歌の聖地/正しく生きるとは/楽しく生きるとは/人は、なぜ生きるのか/古代から現代まで/日本と中国と天竺/和歌は、異文化と調和する/和歌・短歌の生命力/和歌、そして『源氏物語』の力を信じる
3 [占い] 神が降りる、神と遊ぶ―歌占の世界▼平野多恵
おみくじ/神のお告げ/巫女の神がかり/謡曲「歌占」/神おろしの歌/時代を映す鏡
4 [景観] 歌枕の危機―姨捨山と余呉の海▼浅見和彦
姨捨山/余呉の海
5 [飲食] 飲食は和歌や短歌にどう詠われてきたか▼原田信男
はじめに―飲食の位置/和歌における飲食―古代・中世・近世/近代短歌のなかの食―文学の一角を占めて/現代短歌のなかの食―人間行動の表現として
第4章●短歌を詠んで生きるとは
[現代の歌人は、なぜ短歌を作るのか。何を見つめて、どのように表現するのか。和歌を研究する人は、古典歌人の「心」を見つめ、表現を味わう。それなら現代歌人の「心」は、どうか。垣根を越えて出会えるのではないか。]
1 私の短歌作法▼松坂 弘
体験の一例/「詠む」のか「書く」のか/「説明」「記録」「伝達」/初心を忘れない/歌会への出席の薦め
2 何を選び、何をうたうか▼田宮朋子
何をうたうか/
3 「ただごと歌」を創る▼奥村晃作
蘆庵の「ただごと歌」/私の短歌観
4 私の短歌―震災以後▼佐藤通雅
ことばの壊滅、その後/
あとがきにかえて―優美な和歌の陰に
和歌の歴史/和歌は優美/和歌の政治性/和歌イコール日本/和歌に隠されたもの
執筆者一覧
上記内容は本書刊行時のものです。