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9条の挑戦
非軍事中立戦略のリアリズム
- 書店発売日
- 2018年11月17日
- 登録日
- 2018年9月28日
- 最終更新日
- 2018年10月18日
目次
第1章 憲法9条の防衛戦略 (伊藤 真)
1 はじめに
2 軍隊を持つのか持たないのか――安全保障政策を検証する
(1)「国民の生命や財産を守るためには、軍隊が必要だ」
(2)「近隣諸国の軍事力増強に現実的に対応するためには軍隊が必要だ」
近隣諸国との武力衝突の歴史 / 中国による侵略の脅威 / 北朝鮮による侵略の脅威
(3)「攻められないように軍隊を持つべきだ」
(4)「独立した主権国家である以上、自分の国を自分で守る軍隊は必要だ」
(5)「専守防衛に徹する条件で軍隊を持つべきだ」
自衛の名の下の侵略 / 個別的自衛権の危うさ / 文民統制 / 軍隊を持つことによる国民生活への影響
(6)非軍事中立戦略という安全保障政策
軍隊は何を守るのか / 軍事力によらない安全保障 / 攻められたらどうする? / 日本の叡智
3 自衛隊は合憲か違憲か――憲法9条の解釈論を整理する
(1)戦争違法化の歴史
第二次世界大戦まで / 国連憲章の武力不行使原則 / 武力不行使原則の例外
(2)日本国憲法9条1項の解釈
「戦争の放棄」の消極目的と積極目的 / 放棄される「戦争」の拡張 / 侵略戦争の放棄
(3)日本国憲法9条2項の解釈
「前項の目的を達するため」とは / 戦力とは / 自衛権 / 交戦権の否認 / 2項の先駆性
(4)自衛隊の合憲性
自衛隊違憲論 / 政府の立場 / 憲法学説における最近の合憲論 / 自衛隊の合憲性に関する判例
4 非軍事中立戦略から見た自衛隊憲法明記の弊害
(1)自衛隊違憲論の立憲的意味
(2)軍事力の拡大
(3)国防国家への傾斜
(4)国防目的による人権制約へ
(5)自衛隊の憲法明記を議論する際に注意すること
第2章 憲法学は何を主張してきたか (神原 元)
1 はじめに
2 小林直樹教授の「憲法九条の政策論」(1975年)
「憲法九条の政策論」が書かれた頃の状況 / 「国防」の目的とは何か / 現代防衛論批判 / 日米安保体制批判 / 自主防衛論の虚妄 / 非軍事による国防 / まとめ
3 深瀬忠一教授らの「総合的平和保障基本法試案」(1987年)
「総合的平和保障基本法試案」提案の背景 / 基本法という手法 / 自衛隊をどうするか / 軍縮プログラムと国連中心の平和維持機能強化、そして世界連邦構想へ / まとめ
4 水島朝穂教授の「自衛隊の平和憲法的解編構想」(1997年)
ポスト冷戦期の平和構想 / 冷戦後の自衛隊の「存在理由」 / 自衛隊解編構想の概要 / 安保条約はどうするか / まとめと「解編」公表後の世界情勢
5 非軍事中立戦略は現代に通用するか
冷戦構造崩壊後の状況 / 核戦争の脅威は終わっていない / 安保条約は有効か / 自主防衛論は適用可能か / 自衛隊は「改編」すべきか、それとも「解編」すべきか / 基本法方式の有効性 / 国連との関係をどうすべきか / まとめ
6 本章のまとめと結論
第3章 日米同盟と「専守防衛」のひずみ (布施 祐仁)
1 安全保障の「リアリズム」と「理想」
軍事力で防衛するのが「不向き」な国 / 本格的な侵略の可能性は低い / 「軍備撤廃」の理想は放棄してはならない
2 憲法9条の「原点」
3 ゆがめられた「専守防衛」
米軍防衛に踏み出した「シーレーン防衛」 / 米世界戦略に組み込まれる自衛隊 / 日本を再軍備させたアメリカの意図
4 米軍依存と「見捨てられる恐怖」
「専守防衛」はアメリカの打撃力とセット / アメリカが打撃力を行使する保証はない / 「見捨てられる恐怖」か「巻き込まれる恐怖」か
5 周辺国の「脅威」にどう向き合うか
自衛隊も「矛」を持つ? / 中国の海洋進出に対抗する「列島線防衛」 / 「中国海軍封じ込め」は日本防衛に必要か
6 日本の安全保障政策はどうあるべきか
アメリカ依存から脱し、真の「専守防衛」に / 北東アジアの集団安保体制と非核兵器地帯を
7 自衛隊員に対する責任
第4章 等身大の安全保障論 (伊藤 真・神原 元・布施祐仁)
1 9条をさかのぼる
両親は戦争体験世代 / 西ドイツでの生活と愛国心 / 冷戦終結 / 湾岸戦争以後 / 宮田光雄著『きみたちと現代』と非武装中立 / 軍隊は自己増殖するもの / すでにある自衛隊 / 1995年、広島と沖縄 / 防衛政策をどこまで戻すのか
2 安全保障とは何なのか
膨らみつづける防衛費 / 希少資源の分配が政治の本質 / 納税者の自覚 / 貧困と排外主義 / 象徴化した安全保障 / 安全保障イコール軍事ではない
3 9条改憲で何が変わるのか
まちがいなく変わる自衛隊 / 「必要な自衛の措置」は無限大 / 徴兵制の可能性 / 自衛隊員のPTSDを内包する社会 / 民主主義を非民主的なもので守るのか? / 等身大の安全保障
上記内容は本書刊行時のものです。