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出版者情報
ヨーロッパの地理哲学
- 書店発売日
- 2025年1月16日
- 登録日
- 2024年11月21日
- 最終更新日
- 2025年4月17日
書評掲載情報
2025-03-01 |
毎日新聞
朝刊 評者: 本村凌二(東京大学名誉教授・西洋史) |
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紹介
ヨーロッパは、没落していくことをみずから欲せざるをえない。
そして没落していく者としてのみ、到来する者となるだろう――。
アガンベン、エーコ、ネグリ、エスポジト……イタリアの思想家が世界を席巻するなか、その隆盛を牽引してきた最も重要な哲学者でありながら、日本ではいまだその全容を知られていない、マッシモ・カッチャーリ(1944年生)。クザーヌスやブルーノなどの異端的な思想を愛し、ニーチェに基づく「否定の思考」を信条とする著者が耳を傾けてきた「希望に抗する希望の声」とは、いかなる声なのか。一筋縄ではいかない知性に裏打ちされたヨーロッパ論にして共同体論。
本書は、ヨーロッパがいかにして自らを「ヨーロッパ」として同定するに至ったかを、古典古代のテクストに準拠しつつ、中世から近代、そしてさらにはシモーヌ・ヴェイユやカール・シュミットなど現代において提出されてきたさまざまなヨーロッパ像と突き合わせながら丹念に読み解いていく。
エピローグにおいて、カッチャーリは「ヨーロッパの唯一の未来」を示唆する。冷戦終結後、ヨーロッパの統合と拡大が一気に進むなか、EU誕生の翌年にあたる1994年に本書は刊行された。その後、国際情勢は大きく変動し、いまやヨーロッパはロシアの脅威にさらされる一方で、中国をはじめとする新たな国家の台頭をうけ、各国でこれまでになく右派勢力が拡大し、EUも大きく揺らいでいる。40年の時を経た今、本書の対となる書物『アルキペラゴス(多島海)』とあわせてカッチャーリが示したヨーロッパ像、そしてヨーロッパの未来は、分かりやすくはないからこそ、そこに開かれる可能性を示唆している。イタリアが、そしてヨーロッパが誇る知性が描きだすヨーロッパとは――。
【本書の内容】
第1章 ヨーロッパの地理哲学
第2章 戦争と海
第3章 英雄たち
第4章 歓迎されざる客
第5章 不在の祖国
目次
第1章 ヨーロッパの地理哲学
第2章 戦争と海
第3章 英雄たち
第4章 歓迎されざる客
第5章 不在の祖国
上記内容は本書刊行時のものです。