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白い拷問 自由のために闘うイラン女性の記録 ナルゲス・モハンマディ(著) - 講談社
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白い拷問 自由のために闘うイラン女性の記録 (シロイゴウモン ジユウノタメニタタカウイランジョセイノキロク)

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発行:講談社
四六判
296ページ
定価 2,200 円+税   2,420 円(税込)
ISBN
978-4-06-535381-3   COPY
ISBN 13
9784065353813   COPY
ISBN 10h
4-06-535381-5   COPY
ISBN 10
4065353815   COPY
出版者記号
06   COPY
Cコード
C0098  
0:一般 0:単行本 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2024年3月6日
最終更新日
2025年4月17日
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書評掲載情報

2024-06-08 日本経済新聞  朝刊
評者: 中西久枝(同志社大学教授)
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紹介

●禁断の書籍を緊急出版!
私はいま、家を去る最後の瞬間にこの文章を書いています。(中略)今回の逮捕は、いまあなたが手にしているこの本――『白い拷問』が原因です。(「はじめに」より)
2023年に獄中でノーベル平和賞を受賞したナルゲス・モハンマディの手記と、ナルゲスによる13人の女性受刑者へのインタビューをまとめた衝撃のノンフィクション。
●推薦の言葉および海外での反響
・安藤優子――全人格を奪う「白い拷問」。その実態をつぶさに告発したナルゲスさんと証言者たち。彼女らが闘っているのは、この地球上の人権を踏みにじられているすべての人々のためだ。
・浜田敬子ーー「人間らしさ」を破壊するには暴力も言葉も必要ない。昼夜もわからない極小の独房で徹底した孤独状態に置かれることが、これほど心身を痛めつけるのかと戦慄する。それでも彼女たちはこの「白い拷問」を必死で生き抜こうとする。その強い意思を持ち続けることだけが、イラン社会の家父長的な体制を変える一歩になると信じて。                   
・ニューヨーク・タイムズ絶賛。世界16か国で緊急出版予定。
●白い拷問とは?
イランのエヴィーン刑務所は、悪臭と恐怖に満ちた悪名高き場所。そこで繰り返されるのは、看守による自白の強要、鞭打ち、性的虐待、家族への脅迫、そして「白い拷問」だ。照明を操作した独房で昼夜の感覚を奪い、睡眠パターンを妨げ、時に目隠しをし、身体的接触をすべて奪うことで、囚人の身体と精神を蝕む非人道的な拷問である。
●突然の逮捕と奪われた日常
「女性にも権利を」「人権を守ろう」「好きなことを言い、好きな服を着たい!」
自由を求めて思いを表すだけで、服装が不適切というだけで、思想犯・政治犯として逮捕されてしまうイラン。ヒジャブ着用が不適切だと拘束されたのち死亡したマフサ・アミニ氏問題を巡り、国連調査委員会は「違法でありイラン政府に責任がある」と発表している。
本書に登場する女性たちも一方的な容疑をかけられ、拘束されている。幼いわが子を道端に置き去りにするかたちで逮捕・投獄された女性までいる。
著者ナルゲス自身、夫は政治亡命し、10代になった双子の子どもたちも父のもとで暮らし、孤独な闘いを強いられている。13回逮捕され、5回の有罪判決を受け、31回の禁固刑と154回の鞭うち刑を言い渡されても、ナルゲスが闘いをあきらめない理由は、女性の権利と暴力や死刑の廃止を求める信念に他ならない。

目次

●ナルゲス・モハンマディからノーベル委員会への手紙
●ナルゲス・モハンマディの歩みと主張
●ナルゲスとイランの女性の状況について――理解を深めるための序文

●獄中手記――ナルゲス・モハンマディ

●12のインタビューと13人の証言
・ニガラ・アフシャルザデ
「1度や2度でなく、繰り返し私たちの性行為の詳細を説明させられました。尋問はこの過程が特に厳しかったです」
・アテナ・ダエミ
「独房は缶詰のようなものです。中から開けることは絶対に不可能で、重圧、孤立、不安がその缶をつぶさんばかりに叩きつけてくるのです」
・ザラ・ザクタチ
「一度、歯が折れてしまい、刑務所の医務室で診てもらいたかったが、彼らは全く聞き入れ
ようとしなかった。歯茎が化膿して悪化しても、医務室に連れて行ってくれなかった」
・ナザニン・ザカリ=ラトクリフ
「彼らはとにかく、夫はスパイであり、私は諜報機関で働いていると言わせようと何日も頑張りましたが、私は負けませんでした」
・マフバシュ・シャリアリ
「独房には明かりが足りません。移動の自由が足りません。果物と野菜が足りませんし、食べ物が全くないということさえあるのです」
・ヘンガメ・シャヒディ
「昼も夜も白い電球がずっと点いていて、目が痛くなり、睡眠も阻害される。これもまた拷問だ。下品な言葉を投げつけられ、性的に侮辱されたとき、ひたすら我慢したが、本当に許せなかった」
・レハネ・タバタバイ
「独房内にトイレがない209棟では用を足すのが大変だった。夜間は電気をつけてはいけないので、真っ暗な中を歩かなければならない」
・シマ・キアニ
「これまでの活動を後悔している、今後は諜報治安省に協力する、と書くように命令されたの。拒否すると、奴らは居丈高に脅してきたわ。友人、家族も逮捕するぞ、と」
・ファティメ・モハンマディ
「シャワーやトイレに行きたいという訴えさえ、嫌がらせの末にやっと聞き入れられるという状態だったので、すべての神経をすり減らしていました」
・セディエー・モラディ
「初めてのときから、拷問ではいつもベッドに縛りつけられた。両手足を引っ張られ、ベッドに固定されるので、ものすごく痛かった。それから電気の流れているケーブルで足の裏を打たれる。体じゅうが痙攣した。叫んだ。死んでしまうと思った」
・ナジラ・ヌリとショコウフェ・ヤドラヒ
「私たちは放水砲を浴びたので、服はびしょ濡れで血みどろ。その格好のまま放っておかれたの。他の人は頭の深い傷から出血したままの状態で独房に入れられていたわ」
・マルジエ・アミリ
「刑務所では、尋問官は単なる尋問官ではありません。彼らは家父長的な秩序を体現した存在で、彼らの思い通りになることを拒んだ女性から声を奪います」

●おわりに――インタビューを受けた女性たちのその後

著者プロフィール

ナルゲス・モハンマディ  (ナルゲス モハンマディ)  (

2023年ノーベル平和賞受賞。イラン・イスラム共和国の人権活動家、市民運動家。フェミニスト運動の主導者であると同時に、ジェンダーやセクシュアリティ、人種、宗教、階級に基づくすべての差別に強く反対。死刑廃止運動の中心的人物でもある。国家平和評議会副代表、人権擁護者センター(DHRC)の副代表およびスポークスパーソンを務める。
1972年4月 21日、イラン・ザンジャン州生まれ。カズビーン・イマーム・ホメイニ国際大学で物理学を専攻。学生時代は人権と社会正義を求める学生運動に身を投じる。卒業後、イラン・エンジニアリング・インスペクション・カンパニーで検査技師として働くかたわら、改革派の出版物や新聞にジェンダー平等や民主主義をテーマに寄稿。合計13回逮捕され、5回の有罪判決を受け、合計 31年の禁固刑と合計154回の鞭打ち刑を言い渡されている。2023年のノーベル平和賞受賞は異例の獄中での受賞となった。現在も獄中にありながらSNSでの発信やメディアへの寄稿を精力的に行っている。男女の双子の母親でもある。


星 薫子  (ホシ ニホコ)  (

早稲田大学第一文学部卒。通信社勤務、雑誌編集、コピーライティングを経て、翻訳家に。訳書に『三階ーーあの日テルアビブのアパートで起きたこと』、ジュリー・アンドリュース著の回想録『HomeーーA Memoir of My Early Years』(ともに五月書房新社)がある。夫と息子、ペットの金魚とともに東京都在住。

上記内容は本書刊行時のものです。