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考えるという感覚/思考の意味 マルクス・ガブリエル(著/文) - 講談社
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考えるという感覚/思考の意味 (カンガエルトイウカンカク シコウノイミ)

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発行:講談社
四六判
464ページ
定価 2,400円+税
ISBN
978-4-06-535293-9   COPY
ISBN 13
9784065352939   COPY
ISBN 10h
4-06-535293-2   COPY
ISBN 10
4065352932   COPY
出版者記号
06   COPY
Cコード
C0310  
0:一般 3:全集・双書 10:哲学
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2024年10月29日
最終更新日
2025年2月19日
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紹介

「考える」というのは人間だけに可能な営みなのか? そもそも「考える」とは、いったい何をすることなのか?――本書は、そんな根本的な問いに正面から取り組みます。
『考えるという感覚/思考の意味』というタイトルを見て、おや? と思うかたもいらっしゃることでしょう。本書の原題Der Sinn des Denkensには二つの意味がかけられている、と著者マルクス・ガブリエルは明言しています。一つは、「考えること(Denken)」とは、見ること、聞くこと、触ること、味わうことなどとまったく同じように「感覚(Sinn)」である、という意味。例えば、私たちは見ることでしか色には到達できませんし、聞くことでしか音には到達できません。それとまったく同じように、考えることでしか到達できないものがある――それが本書のタイトルに込められたもう一つの意味である「意味(Sinn)」にほかなりません。
 「考える」とは「自然的現実と心理的現実のあいだのインターフェース」だと著者は言います。もっとくだいて言えば、私たちが現実と触れ合う、その接点に生まれるもの、と言い換えてもよいでしょう。その意味で、ガブリエルが「三部作」として構想した三冊のうちの第一作『なぜ世界は存在しないのか』(講談社選書メチエ)で扱われた「世界」と、第二作『「私」は脳ではない』(同)で扱われた「私」との接点に生まれるのが、「考えること」そのものなのです。私たちは、考えることで「かけ離れたいくつもの現実を結びつけ、それによって新たな現実を作り上げる」と著者は言います。つまり、考えるとは「結びつき」を作り、その「結びつき」を認識することです。
「ポストトゥルース」と呼ばれる現実が席捲する一方で、AIによって人間の知的な営みが奪われ、いつかは「考えること」そのものさえ人間には必要なくなるのではないかと考えさせられる今日、もう一度、原点に立ち返って考えること。本書をもって完結する三部作で、著者マルクス・ガブリエルは、人間にしか可能でない未来への希望を語っています。

[本書の内容]
序 論

第1章 考えるということの真実
第2章 考えるという技術
第3章 社会のデジタル化
第4章 なぜ生き物だけが考えるのか
第5章 現実とシミュレーション

本書のおわりに

目次

まえがき

序 論

第1章 考えるということの真実
無限の複雑性/考える? それはいったい何だ/考えることができるのは人間だけではない/宇宙の範囲/アリストテレスの感覚〔Sinn〕/コモンセンスは時に感覚的/「感覚〔Sinn〕」の意味〔Sinn〕、あるいは思い違いの仕方あれこれ/宇宙に亡命し、そこから眺めているのは誰だ/すべての対象が物なのではない/赤い蓋は(現実に)存在するか/思考は神経の興奮ではない/真理以外の何ものでもない/世界はお望みのままに/フレーゲの「思想〔Gedanke〕」/意味と情報、そしてフェイクニュースのナンセンス/私たちの第六感

第2章 考えるという技術
地図と領土/コンピューターは中国語ができるか/写真はクレタ島を覚えていない/一匹のアリが砂の上を這いまわることは、なぜウィンストン・チャーチルと無関係なのか/インターネットという神/文化の中の居心地悪さ/感情的知性と、記号のデジタルジャングルに隠された価値/「機能主義」という名の宗教/思考はタバコの自動販売機ではなく……/……心はビール缶の山ではない/ステップ・バイ・ステップで脳をぺースメーカーに?/技術という理念、あるいは、どうやって家を建てるか/総動員/社会はビデオゲームではない/機能主義のアキレス腱

第3章 社会のデジタル化
論理的でしょ?/集合とのピンポンゲーム/いずれすべてがクラッシュする/そもそもコンピューターにできることはあるのか/ハイデガーのつぶやき/奇跡も多すぎると不安になる/「完全なる用立て可能性」の時代に/『サークル』に捕まった?/ヴィンデンへの寄り道/意識一つ、テイクアウトね/ここでは誰が問題を抱えているのか

第4章 なぜ生き物だけが考えるのか
ヌースコープ/魂とカードボックス/「さあ、来い、古箒!」/照らし出された脳/意識ファースト/内、外、それとも、どこでもないところ?/湿っぽくて絡み合った一個の現実

第5章 現実とシミュレーション
空想はスマホと出会う/避けられない「マトリックス」/追 悼/ホラーとハンガー(ゲーム)/美しき、新しき世界/あなたは目覚めているのか、それとも、夢と独り言の中に囚われているのか/あなたはオランダを知っていますか/物質と無知/現実とは何か/どっちつかずの現実/魚、魚、魚/つかみどころのない現実の変動幅/カエサルの髪とインドのマンホールの蓋とドイツ/フレーゲのエレガントな事実理論/私たちの知の限界を超えて/思考の現実は頭蓋基底のレッスンではない/マッシュルームとシャンパンと思考‐思考との違い/人間は人工知性だ/人間の終焉

本書のおわりに
謝 辞

原注
文献一覧
語彙集
人名・作品名索引

著者プロフィール

マルクス・ガブリエル  (マルクス・ガブリエル)  (著/文

1980年生まれ。哲学者。現在、ボン大学教授。後期シェリング研究をはじめ、古代哲学における懐疑主義からヴィトゲンシュタイン、ハイデガーに至る西洋哲学全般について多くの著作を執筆。「新しい実在論」を提唱して世界的に注目されている。主な著書として、『なぜ世界は存在しないのか』(原著2013年、講談社選書メチエ)、『「私」は脳ではない』(原著2017年、講談社選書メチエ)、本書(原著2018年)で構成される一般書「三部作」がある。

姫田 多佳子  (ヒメダ タカコ)  (翻訳

津田塾大学国際関係学科卒業。5年間のドイツ滞在時にドイツ語を習得。以来30年間、学術論文等の翻訳に従事。訳書に、バスティアン・オーバーマイヤー/フレデリック・オーバーマイヤー『パナマ文書』(KADOKAWA)、マルクス・ガブリエル『「私」は脳ではない』(講談社選書メチエ)、ダニエレ・グラフ/カティア・ザイデ『ドイツ流 絶対に怒らない子育て』(飛鳥新社)。

飯泉 佑介  (イイズミ ユウスケ)  (翻訳

1984年、千葉県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、福岡大学人文学部准教授。専門は、ドイツ観念論・現代実在論。著書に、『ヘーゲル『精神現象学』をどう読むか』(編著、社会評論社)、『ヘーゲルと現代社会』(共著、晃洋書房)ほか。訳書に、マルクス・ガブリエル/スラヴォイ・ジジェク『神話・狂気・哄笑』(共訳、堀之内出版)、『『論理学』客観的論理学』(『ヘーゲル全集』第10巻1)(共訳、知泉書館)、ポール・ボゴシアン『知への恐れ』(共訳、堀之内出版)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。