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増補 総力戦体制と「福祉国家」 高岡 裕之(著/文) - 岩波書店
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増補 総力戦体制と「福祉国家」 (ゾウホソウリョクセンタイセイトフクシコッカ) 戦時期日本の「社会改革」構想 (センジキニホンノシャカイカイカクコウソウ)

文庫
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発行:岩波書店
縦148mm 横105mm 厚さ19mm
重さ 246g
452ページ
定価 1,880円+税
ISBN
978-4-00-600479-8   COPY
ISBN 13
9784006004798   COPY
ISBN 10h
4-00-600479-6   COPY
ISBN 10
4006004796   COPY
出版者記号
00   COPY
Cコード
C0121  
0:一般 1:文庫 21:日本歴史
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2024年7月12日
書店発売日
登録日
2024年6月10日
最終更新日
2024年7月10日
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紹介

「福祉国家」日本のルーツは本当に戦時期にあるのだろうか──厚生省設立や国民健康保険制度などの「戦時社会政策」をめぐる政府や地方と軍部とのせめぎ合いに着目し、戦後のあり方とは異なる、戦時期の総力戦体制=「福祉国家」の姿を浮かび上がらせる。戦時人口政策に大きな役割を果たした社会学者・高田保馬を論じた補章を付す。

目次

序 章 戦時期日本の「社会国家」構想
  ファシズム・総力戦・福祉国家
  「天皇制ファシズム」論
  「日本ファシズム」論
  総力戦体制論
  福祉国家論
  福祉国家=総力戦体制源流論
  本書の課題

第一章 厚生省の設立と陸軍の「社会国家」構想
 1 厚生省の設立過程
  「社会保健省」と「衛生省」
  内務省と陸軍の角逐
 2「壮丁体位」低下の実像
  「壮丁体位」低下問題に関する通説的理解
  「壮丁体位」低下の実態
  体格等位の変動の意味するもの
 3 陸軍省医務局長・小泉親彦
  小泉の提唱した軍陣衛生学
  「人的戦力」とは何か
 4 小泉の「壮丁体位」低下論
  「筋骨薄弱者」と結核
  「壮丁体位」低下の社会的要因
 5 「衛生省」構想の特徴
  モデルとしての「全体主義」国家
  衛生主義的「社会国家」
 6 衛生主義的「社会国家」構想の挫折
  「保健社会省」設置の理由
  陸軍の巻き返しと大臣人事
  「衛生省」構想の挫折

第二章 広田―第一次近衛内閣期の「社会政策」と「社会国家」
 1 二・二六事件と「農村社会政策」
  二・二六事件の衝撃と「社会政策」の復活
  「農村社会政策」の浮上
 2 農村医療問題と国民健康保険
  「農村社会政策」と国民健康保険
  医療組合運動の登場
  「医療の社会化」と医療利用組合
  国民健康保険と医療利用組合
  地域医療システムとしての医療利用組合
  産業組合の国保「代行」と農村保健運動構想
  国保代行問題の帰結
 3 農村過剰人口と二つの人口政策論
  「農村過剰人口」という認識
  一九三〇年代の人口動向
  上田貞次郎の商工主義的人口政策論
  那須皓の農本主義的人口政策論
  二・二六事件と農本主義的人口政策論の政策化
  農村社会改革構想としての分村移民事業
  職業行政と商工主義的人口政策論
 4 生産力拡充政策と「社会国家」
  軍備拡大と生産力拡充問題
  近衛内閣における「社会政策」
  「農村社会政策」のゆくえ

第三章 戦時労働政策と「社会国家」
 1 戦時工業化と生産力主義的「社会国家」
  日中戦争と「第二の産業革命」
  戦時下における労働力問題
  「人的資源」配置策としての「戦時社会政策」
  「戦時社会政策」=「社会国家」と日本経済の「再編成」
 2 労務動員計画と戦時労働政策
  生産力拡充計画と労務動員計画
  労務管理調査委員会の労働政策構想
 3 労働者年金保険の成立
  年金保険構想の登場
  労働者年金保険制度の再浮上
  賃金臨時措置令と職場の荒廃
 4 戦時住宅問題と住宅営団
  労務者住宅問題と住宅供給計画
  住宅営団の設立
  西山夘三の戦時住宅政策論
  住宅営団の現実
 5 生産力主義的「社会国家」の歴史的位置

第四章 戦時人口政策と「社会国家」
 1 日中戦争下における人口政策論の転換
  人口政策論の転換過程
  舘稔の人口増殖論
  人口増殖政策の根拠
 2 民族問題としての人口問題
  人口問題の再定義
  古屋芳雄と民族科学
  日本学術振興会第一一特別委員会
 3 「人口政策確立要綱」と民族―人口主義的「社会国家」
  第二次近衛内閣と「基本国策要綱」
  目標としての人口一億
  人口政策の具体案
 4 戦時人口政策と農業人口問題
  農業人口をめぐる対立
  農業「近代化」と「適正規模農家」論
  民族=人口政策論と農業政策論
  「人口政策確立要綱」と「農業政策要綱」
  戦時「農地改革」構想と「農業新体制」
  農業人口「定有」の論理
  「農業政策要綱」の挫折
 5 戦時人口政策と国土計画
  国土計画への期待
  第四回人口問題全国協議会と国土計画
  人口政策的国土計画論
 6 戦時人口政策の屈折

第五章 「健兵健民」政策と戦時「社会国家」
 1 日中戦争下の医療制度改革論
  医薬制度調査会と「医療制度改善方策」
  医薬制度調査会と産業組合
  日中戦争下の農村保健問題
  「農業新体制」と全国協同組合保健協会
 2 国民厚生団と日本医療団
  小泉の医療制度改革構想
  国民厚生団の構想
  国民厚生団から日本医療団へ
  日本医療団の現実
 3 戦時下の国民皆保険
  小泉親彦と国民健康保険
  国保普及五ヶ年計画と「厚生組合」
  国民健康保険組合普及運動
  戦時「社会国家」の基盤
  戦時国民皆保険の内実
 4 国民体力管理と健民修錬
  国民体力法
  「結核対策要綱」と健民修錬
  総力戦下の「壮丁体位」低下
  体力章検定と基礎体力
  アジア・太平洋戦争下の体力章検定
  大日本体育会と「国民体育」

終 章 戦時「社会国家」の歴史的位置

補 章 高田保馬と戦時人口政策
 1 高田保馬の社会学
  高田における社会学
  「高田社会学」の理論体系①―社会の構造
  「高田社会学」の理論体系②―社会の変動
  「高田社会学」の「普遍性」
 2 高田保馬の人口論
  高田の「貧乏論」
  高田の人口研究と産児制限問題
  フランスの出生主義的人口論
  高田の民族主義的人口論
  「民族=人口主義」というイデオロギー
  高田の農村論
 3 総力戦体制と高田保馬
  日中戦争と高田保馬
  戦時人口政策と高田保馬
  国土計画と高田保馬
 4 おわりに

 注
 あとがき
 岩波現代文庫版あとがき
 索 引

著者プロフィール

高岡 裕之  (タカオカ ヒロユキ)  (著/文

高岡 裕之(たかおか ひろゆき)
Hiroyuki Takaoka
1962年奈良生まれ.大阪市立大学卒業,同大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学.関西学院大学文学部文化歴史学科教授.日本近現代史.編著『資料集 総力戦と文化2』(大月書店,2001年),共編著『幻の東京オリンピックとその時代』(青弓社,2009年),『シリーズ戦後日本社会の歴史全4巻』(岩波書店,2012-13年),『アジア・太平洋戦争辞典』(吉川弘文館,2015年),『「生きること」の問い方』(日本経済評論社,2022年),『「生存」の歴史をつなぐ』(績文堂出版,2023年)ほか.

上記内容は本書刊行時のものです。