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文学は地球を想像する
エコクリティシズムの挑戦
- 初版年月日
- 2023年9月20日
- 書店発売日
- 2023年9月22日
- 登録日
- 2023年8月11日
- 最終更新日
- 2024年4月4日
書評掲載情報
2023-11-11 |
毎日新聞
朝刊 評者: 中村桂子(JT生命誌研究館名誉館長) |
2023-11-11 | 日本経済新聞 朝刊 |
2023-10-28 |
朝日新聞
朝刊 評者: 杉田俊介(批評家) |
2023-10-01 | 産經新聞 朝刊 |
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紹介
環境問題を考える手がかりは文学にある。ソロー、石牟礼道子、梨木香歩、アレクシエーヴィチ、カズオ・イシグロらの作品に、環境をめぐる文学研究=エコクリティシズムの手法で分け入ろう。人間に宿る野性、都市と絡みあう自然、惑星を隅々まで学習するAI──地球と向き合う想像力を掘り起こし、未来を切り開く実践の書。
目次
まえがき
想像力の危機は環境の危機
物語の力
本書の構成
序章 エコクリティシズムの波動
環境危機と文学研究
エコクリティシズム宣言
「環境批評」や「文学と環境」という別称
実態と言説のあいだ
1章 近代化、わきたつ野性――綴り直される感覚
1 ネイチャーライティングと散歩者の夢想――ヘンリー・D・ソロー『森の生活』
自然を知るということ
私という社会
歩くという実践哲学
野性を映す過剰の文学
野性にこそ世界は保たれる
ネイチャーライティングとは
2 山の身になって考える――アルド・レオポルド『野生のうたが聞こえる』
科学と美の融合
美が心の目をひらく
自然保護から土地倫理へ
凶暴な緑色の炎
〈生存の文化〉と〈進歩の文化〉
2章 森を出て環境を知る――〈自然らしさ〉という神話
1 自然は逃避先なのか――生の網の目、搾取の網
自然志向に関する誤謬
環境正義エコクリティシズム
ポストコロニアル的転回
アフリカの国立公園が意味するもの
アメリカの国立公園が意味するもの
2 都市のなかの自然――『兎の眼』と『オレンジ回帰線』
ハエと少年
きれいは汚い、汚いはきれい
空き地と基地
北回帰線が動くとき
境界をかき回す
ホームとしてのフリーウェイ
危惧される〈経験の絶滅〉
技術圏の自然
3章 危機が叫ばれる時代に――つくられた共生、生きられた共生
1 「自然との調和」を再考する
「自然との調和 」はエコロジカルなのか
生物多様性国家戦略にみる〈共生〉のレトリック
プラスチック・ワードのなめらかさ
連なるいのち、あるいは、生きものを殺して食べる罪の自覚
2 切れないいのち――石牟礼道子『苦海浄土』
「水俣病わかめといえど春の味覚 」の過剰さ
海とともにある人
ビオスに還元されないいのち
絡まりあいの多声性
水俣という場所、マルチスピーシーズの里山・里海
3 暮らしのなかの脱成長――梨木香歩『雪と珊瑚と』
真似したくなる節度ある豊かさ
経済成長社会に幻視される別の道
「チーム ・自分」の共同体
手から生まれる快楽と連帯
4章 人新世を考えるために――〈人間以上〉を描く作家たち
1 核の時代の祈り――スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチと小林エリカ
メタ言語としての科学技術
放射能発見からたかだか一二〇年
廃棄と封じ込めの思考
誰にとっても未知の場所
見えない光への感応
官能の境界侵犯性
2 人工親友がいる日常――カズオ・イシグロ『クララとお日さま』
画面の向こうには何があるのか
AIの記憶にみる他=多のふるまい
機械から仲間へ
技術圏のトリックスター
ロボットに人間らしさが感じられるとき
3 惑星規模の思考へ――多和田葉子とリチャード・パワーズ
人間による、人知を超えた、ありふれた危機
地球に同調する子どもたち
まるい地球の曲線に沿って考える
いつまでも地球のお客さん気分でいちゃいけない
活動的な静寂、あるいは人間の擬樹化
技術圏で森の身になって考える
終章
想像力の再調整
危機とともに生きるために
あとがき
引用参照文献
上記内容は本書刊行時のものです。