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平成司法改革の研究
理論なき改革はいかに挫折したのか
- 初版年月日
- 2022年9月27日
- 書店発売日
- 2022年9月29日
- 登録日
- 2022年8月10日
- 最終更新日
- 2024年4月9日
書評掲載情報
2022-12-03 |
朝日新聞
朝刊 評者: 犬塚元(法政大学教授・政治思想史) |
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紹介
司法制度改革審議会の最終意見書から20年。法曹人口増、法科大学院、裁判員制度など矢継ぎ早に行われた平成期の司法改革が、いずれもうまく行かなかったのはなぜか。実定法学、基礎法学、政治学等、多彩な分野の研究者やジャーナリスト、実務家が結集。「失敗の原因」を探り、それを踏まえて新たな改革提言を行う。
目次
はじめに……………(須網隆夫)
――本書に至る経緯・本書の狙い・本書の概要
第I部 司法改革とは何か
第1章 司法制度改革の源流を考える……………(豊秀一)
――関係者の取材から
はじめに
1 統治構造改革の一環としての司法制度改革
2 法曹三者の改革の限界が生んだ司法制度改革
3 「呉越同舟」「同床異夢」を超えて
4 「制度を活かすもの、それは人である」
5 統治構造改革としての限界とその意味
第2章 平成の司法改革をもたらしたもの……………(飯考行)
――司法制度改革審議会前後の経過と社会を視野に入れて
はじめに
1 司法制度改革審議会の前史
2 司法制度改革審議会の提言とその後の経過
3 平成の司法改革をもたらしたもの
4 今後の司法改革の課題
おわりに
第II部 司法制度改革の総論的検討
第3章 制度改革の理論とは何か……………(須網隆夫)
――審議会に欠けていた改革の理論
はじめに――理論なき司法制度改革
1 制度改革への基本的アプローチ
2 新制度派経済学の基本的発想
3 新制度派経済学からの示唆
4 事例研究Ⅰ――司法アクセスの場合
5 事例研究Ⅱ――法曹養成の場合
最後に
第4章 司法制度改革と憲法学……………(山元一)
はじめに
A 司法制度改革の理念形成
1 統治構造改革の中の司法制度改革
2 司法制度改革の理念形成
B 「法の支配」の実現とその批判
1 「法の支配」の実現としての司法制度改革
2 「司法制度改革」と戦後市民社会論
3 司法制度改革論批判と憲法学
C 憲法学から見た司法制度改革20年
1 社会の「法化」と国民の「統治主体」化?
2 司法官僚制の変化?
3 違憲審査制 ― 司法消極主義の継続と定着?
まとめにかえて
第5章 比較司法政治から見た平成司法改革と日本の最高裁判所……………(網谷龍介)
――最高裁判所裁判官の選考制度に注目して
はじめに
1 政治的環境の中の司法
2 違憲審査と裁判官任命のポリティクス
3 憲法判断機関の任命方法
4 日本における最高裁人事の議論
5 司法改革における問題の回避
6 グローバルな立憲民主主義へ向けて?
第6章 平成司法制度改革の起源……………(ディミトリ・ヴァンオーヴェルベーク)
――刑事司法制度への国民参加に焦点を当てて
はじめに
1 戦後司法が抜本的改革されなかった理由
2 「日本人の法意識」と政策イメージ
3 平成司法制度改革への道
4 サブシステムからマクロ政治的アジェンダへ(1997-99 年)
5 抜本的司法制度改革の時期 ――1999-2001 年の政策転換
6 司法制度審議会と国民参加
おわりに
第III部 改革は何を達成し、何を実現しなかったか
第7章 弁護士の収入減と裁判所事件数の低迷について……………(馬場健一)
――見落とされている観点から
1 弁護士の収入減と裁判所事件数の低迷
2 弁護士収入の減少の実態とその評価について
3 民事・行政訴訟における弁護士代理率について
4 弁護士増は司法利用を活性化してきたのか
――比較法的見地も交えて
5 暫定的結論
第8章 原発事故賠償に見る民事司法制度……………(大坂恵里)
はじめに
1 意見書公表後の民事司法改革
2 福島原発事故賠償において民事司法制度は十分に機能しているか
おわりに
第9章 司法制度改革と行政訴訟……………(興津征雄)
はじめに
1 実効的権利救済と行政訴訟
2 抗告訴訟の原告適格と「オープンスペース」
おわりに
第10章 司法制度改革の司法権論と違憲審査制の国民的基盤……………(岩切大地)
はじめに
1 意見書における違憲審査制の位置づけと憲法判例との関係
2 法の支配と国民的基盤
3 意見書の別の含意
むすびにかえて
第11章 「人的基盤」としての法曹人口……………(米田憲市)
――ゆがんだ「法の支配」への道
はじめに
1 制度内視野での「人的基盤の充実」施策
2 審議会意見書が目指した「人的基盤の充実」と法曹人口
3 審議会意見書の目論見と達成状況
4 司法試験合格者数の方針転換とその後の展開
5 法曹人口の増加の成果と合格者数削減による影響
6 司法制度改革後の法曹の地域分布や職域の状況
7 法曹増員に向けた課題と展望
第12章 「 理論」も「実務」も置き忘れた法曹養成……………(米田憲市)
――臨床法学教育を鍵とする再生を目指して
はじめに
1 法科大学院制度以前の法曹養成
2 「法科大学院を中核とする法曹養成制度」の創設
3 実現された法曹養成の「プロセス」
4 法科大学院と司法試験受験対策
5 設立後のバッシング、合格者数の削減、志願者の減少
6 「推進会議意見」等による受験対策志向の容認・強化
7 活力ある法曹養成を取り戻すために
第13章 「法の支配」と司法への国民参加……………(四宮啓)
はじめに
1 なぜ審議会は国民参加を調査審議項目にしたのか
2 裁判員制度は司法の国民的基盤を確立させたか
3 国民的基盤をより確かなものにするために
おわりに――国民的基盤を確立するために
第14章 かくして裁判員制度は始まった……………(平山真理)
――しかし、欠けていたのは何か? 被告人の視点、被害者の視点、そしてジェンダーの視点
はじめに――本章の目的
A 被告人と裁判員制度――誰のための市民参加制度か
1 被告人による選択制
2 評決方法について
3 令和司法改革に向けた「被告人の選択制」と「評決方法」の再考
B 裁判員制度と被害者
1 被害者は裁判員制度をどう見ているか――被害者の選択制?
2 被害者参加制度と裁判員制度のダブル適用をどう論じるか
C ジェンダーと裁判員制度 315
1 裁判員/陪審員のジェンダーは選べるか
2 裁判員とジェンダーバランス
3 裁判員のジェンダーと性犯罪裁判員裁判
まとめに代えて
第IV部 令和の司法制度改革のために
第15章 「人」に頼るより「制度」の改革……………(泉徳治)
1 訴訟法を改正し条約違反を上告理由に加える
2 被疑者取調べ中の弁護人立会権を法律で明記する
3 民事審判委員会を新設する
4 司法試験予備試験を廃止する
5 個人通報制度を導入し国内人権機関を設置する
6 裁判官任命諮問審議会を設置する
第16章 提言「令和司法改革のために」……………(令和司法改革研究会)
A 改革の理念
B 法・司法制度への期待をどう育てるか
C 人々の期待に応える司法制度
1 司法アクセスの改善
2 民事訴訟制度の改革
3 行政訴訟制度の改革
4 刑事訴訟制度の改革
D 司法制度を支える法曹の在り方
1 法曹人口
2 弁護士制度の改革
3 裁判官制度の改革
4 法曹養成制度の改革
E 国民的基盤の確立――国民の司法参加のために
1 裁判員制度の改革
2 検察審査会制度の改革
F ジェンダーの視点からの制度改革
1 総論
2 裁判員・検察審査会の構成
3 法曹のジェンダー・バイアス
G 世界に開かれた司法を作るために
1 グローバル社会における裁判所――裁判官対話への参加
2 国際人権と司法の連結
3 世界に開かれた法曹養成教育
4 他国の法学学位の承認
H 司法改革の推進体制
あとがき……………(須網隆夫)
上記内容は本書刊行時のものです。