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さみしがりな恋人たちの履歴と送信
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2025年3月1日
- 書店発売日
- 2025年3月1日
- 登録日
- 2024年12月25日
- 最終更新日
- 2025年3月29日
紹介
どうして、いつまで、どうやって、
僕らは物語(おはなし)を作るのだろう。
いくつもの時代のカルチャーを経巡りながら、
ささやかに失われてばかりの生と語りの歴史をかたる、
言葉に恋する新時代の物語撰集。
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[推薦]
町屋良平(小説家)
この本は言葉への恋愛小説だ。恋は苦しい。まるで人生みたいに? 恋は醜い。まるで人間みたいに? 恋は美しい。まるで世界みたいに? 恋は重い。まるで生死みたいに? 私は言葉より早く死んじゃうのに、どうしてこの小説は言葉を愛せると信じさせてくれるのだろう。
山内マリコ(小説家)
若さという足かせ、時代という苦難、増殖するノイズ……それらを「言葉」で超克しようと格闘した日々の全記録。東日本大震災からコロナ禍までの“極私的な自粛期間”に創作されたすべての作品は、信じるに足る、永遠の宝物だ。
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◉「いぬのせなか座」メンバーのほか、「原稿料」や「契約(書)」について考えるメディア「作家の手帖」共同編集長を務め、『ユリイカ』『早稲田文学』『S-Fマガジン』など各誌で活躍してきた著者による、待望の初作品集。
◉人々は変化するメディア環境のなかで、どのように自分のための物語をつくり、それを支えに生き、あるいは失敗してきたのか。中世の和歌文化から近代の歴史物語、近未来の観光・医療まで……なにより東日本大震災とコロナ禍のあいだにあったはずの「時代の気分」をめぐりながら、世代意識とリテラシーのへだたりをつなぎ直す、小説・詩歌・批評・日記などの形式を用いて編まれた画期的20編。
◉それ自体作品として読める全編自作解題(1.5万字)つき。
◉カバーなし・仮フランス装の洒脱なデザイン。帯を外すと洋書風にもなる、存在感のある装釘です。
目次
まえがき
Ⅰ
漢字が苦手なその子の宿泊と郵便
じゃないけど、似たもの――60年代少女小説
情報社会の大悪党――あるいは弊社の石井GM
こよみのうた
Ⅱ
プリティ・リトル・ベイビーズ
彼と僕の大事な恋人たち
ふたりと、それを分け合うこと
描写の向こうで眠りたい
Ⅲ
荒木さんの退職
空間とその美女のアドバタイズ
ストイコビッチのキックフェイント
清潔でとても明るい場所へ
Ⅳ
識字率と婚姻のボトルネック
オキナワ医療観光公社
つづかない組織はどうすれば歌えるのか
家柄
Ⅴ
うつさないように
世間体とレソロジカ
よものよのもの
ファースト・マカロニペンギン
自作を語る はじめての現代文芸撰集
前書きなど
正直なうそつきでありたいと思っていた。そんなの無理なのにね。この言葉で書かれ、読まれたこと、そのすべてをふり返ってみよう。すぐにわかるよ。僕らは何も覚えていられないし、決して忘れもしない。昔からずっとそうだった。だれもが冷たい部屋にいる。
ごく穏やかにいえば、この本には、冷笑と情動のあいだにある「ずっと大切な忘れもの」が書かれている、といえるかもしれない。そこがついえて、消えて、なくなったあと、いつまでも離れられないひとのための作り話だ。良識を傷つけるドラマであり、小声で歌えるラブソングであり、この島国が過ごした時代の姿でもある。
笠井康平
関連リンク
https://inunosenakaza.com/lonelyloverslongletters
上記内容は本書刊行時のものです。