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改稿新版 日常的な延命~「死にたい」から考える
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2025年4月15日
- 登録日
- 2025年1月6日
- 最終更新日
- 2025年5月14日
紹介
朝、ふと目が覚めて、少ししてから「死にたい」と思った。理由はわからない。わからないけれどなんだか「死にたい」と思う。そのことについて考えてみる (冒頭より)
若手批評家の小川和による単著第1作。2024年発行の初版の表現や記述を見直した改稿新版です。
著者は「『死にたい』とはどのようなものなのか。無論、答えは人それぞれに異なっている。だからこれは、自分で自分の悩みに答えを出すために書いたものである」と語っていますが、共感できないものだけでなく、どこか共感さえできてしまう範囲の「死にたい」にまで思考が巡らされていることが本著の特徴です。
表紙は、2024年VOCA大賞の若手現代美術家・大東忍が本書のために描き下ろし。
序論 承認欲求社会の生きづらさ
第1部 安心欲求論
1章 「死にたい」の宛先
2章 「死にたい」に込められた2つの願望
3章 安心欲求の摘出
4章 制作で流れる
5章 ひきこもり移民というダイブ
6章 個人作家アニメーションと抽象性の現在
補遺 自殺予防のセーフティネット
第2部 バーチャル/アクチュアル主体論
7章 相対性のブラックホール
8章 筋トレと自己準拠的な身体
補遺 『呪術廻戦』、 『ONE PIECE』 の断片的な考察
第3部 幽霊的「死にたい」論
9章 郵便的不安の重なり
10章 2010年代の躁鬱
補遺 Z世代にみる承認と安心の掛け算
第4部 フランツ・カフカ論
11章 だれが 『変身』 するのか
12章 『訴訟』 の謎多きプロセス
日常的な延命
目次
序論 承認欲求社会の生きづらさ
第1部 安心欲求論
1章 「死にたい」の宛先
2章 「死にたい」に込められた2つの願望
3章 安心欲求の摘出
4章 制作で流れる
5章 ひきこもり移民というダイブ
6章 個人作家アニメーションと抽象性の現在
補遺 自殺予防のセーフティネット
第2部 バーチャル/アクチュアル主体論
7章 相対性のブラックホール
8章 筋トレと自己準拠的な身体
補遺 『呪術廻戦』、 『PIECE ONE』 の断片的な考察
第3部 幽霊的「死にたい」論
9章 郵便的不安の重なり
10章 2010年代の躁鬱
補遺 Z世代にみる承認と安心の掛け算
第4部 フランツ・カフカ論
11章 だれが 『変身』 するのか
12章 『訴訟』 の謎多きプロセス
日常的な延命
前書きなど
自分自身も、日常的な延命の最中にいるのだと思った。「死にたい」は状況に見合った行き先を見つけられずに、彷徨い続けた。「死にたい」とはどのようなものなのか。無論、答えは人それぞれに異なっている。だからこれは、自分で自分の悩みに答えを出すために書いた文章である。
「死にたい」はもはや社会性を帯びてしまった言葉だといっても良いだろう。貧困だったり、毒親だったり、そのまわりを囲んだ言葉とセットでひとつの言論環境が作り出されている。だからこそ逆に、「死にたい」の話にはしばしば固有性を求めた文学的な言い回しが選ばれたりもする。だが文学的な言い回しに頼りすぎるからこそ、こぼれ落ちる何かがたくさんあるようにも思える。
自分が考えてきた道がいかなるものであるかを示す。社会性を帯びた「死にたい」という言葉とともに、固有の音を鳴らす。読者の方々はどのように生きているのか、どのように感じているのか。その意見を知ることができたらと思い、この一冊の本を記した。
本書は、「死にたい」を抱えている人に向けても書かれている。ぼんやりとした社会の構造や主体についての落とし所のようなものが見つかったとき、心は少しラクになるかもしれない。過去の作家たちの言葉に耳を傾けることができれば、彼らは頼りの友にもなるだろう。どの部分であってもよいが、この本があなたにとっても何かを思わせるものであれたらと願う。
版元から一言
若手批評家・小川和による待望の初単著です。
佐々木敦氏推薦。
「まったく新しいタイプの「自己救済の書」の誕生だ」(帯文より)。
「死にたい」という感情を起点に、徹底的に思索を巡らせ、その先にある「生きること」を描き出します。
SNS、筋トレ、引きこもり移民、カフカ論、そして呪術廻戦まで、多岐にわたるテーマを縦横無尽に論じた意欲作。
本書は、2024年発行の初版の表現や記述を見直した改稿新版です。
若い世代を中心に、新たな時代の思想を問い直す一冊として、多くの方に手に取っていただければ幸いです。
上記内容は本書刊行時のものです。