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若手先生の若手先生による子どものための教育マネジメント
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年5月30日
- 書店発売日
- 2023年5月30日
- 登録日
- 2023年4月5日
- 最終更新日
- 2023年5月28日
書評掲載情報
2023-12-19 | 月刊教職研修 2024年1月号 |
2023-09-28 | 日本教育新聞 9月28日号 |
2023-06-23 | 全私学新聞 |
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紹介
本書は、実際に学校現場で活躍する著者のふたりが、いま教師の多くを占めている20代の若手先生や教員をめざす学生などに向けて発信するエンパワーメントの書です。
子どもたちの成長を支える教師の仕事の意義ややりがいを、その立場や役割、実際の仕事内容や指導方法および向き合い方、子どもたちや保護者および教員同士の関わり方、そして教師自身の成長やメンタルケアおよびワークライフバランスまで、自らの実体験や先輩教師からの学びなどを交えた52の項目からわかりやすく語りかけています。
[著者紹介]
杉本敬之 横浜市立綱島東小学校副校長
1983年千葉市生まれ。2007年4月より横浜市立小学校にて教職をスタートする。2022年度より現職。2021年にSBI 大学院大学経営管理研究科へ入学し,学校教育と経営学を結びつける活動を行っている。メンタルヘルス・マネジメント検定試験Ⅱ種保有。「子どもも教員もみんなが主体的に!」がモットー。主な著書に『「見方・考え方」を働かせて学ぶ社会科授業モデル3・4年』(分担執筆)明治図書出版,2019年/『「問い」の質を深め問題解決する社会科学習』(分担執筆) 東洋館出版社,2020年/『主任の仕事からICT 活用まで新時代を生き抜くミドル教師の仕事術』(共著),2022年がある。
村松秀憲 横浜国立大学教育学部附属鎌倉小学校教諭
1992年山梨県生まれ。2015年都留文科大学文学部初等教育学科自然環境科学専攻を卒業。同年4月より,横浜市立小学校に赴任し,2020年度より現職。生活科・総合的な学習の時間を研究分野として,各自治体や学校で講師を務める。教師をめざす大学生に向けて教職研修を行っている。子どもの悩みを解決するチャイルドカウンセラー資格を保有。主な著書に『「問い」の質を深め問題解決する社会科学習』(分担執筆) 東洋館出版社,2020年/『主任の仕事からICT 活用まで新時代を生き抜くミドル教師の仕事術』(共著),2022年がある。
目次
第1章 教師として大切にしたいこと
1 若手先生が創るこれからの教育を考える ☆
2 教師として意識したほうがよいこと ☆
3 教師とはどのような存在なのか ☆
4 教師と子どもの関係 ★
5 教師と保護者の関係 ☆
6 同じ職場の教職員との関係 ☆
インタビューⅠ 若手先生がつくるコミュニティ
7 ワーク・ライフ・バランス ☆
8 メンタルヘルス ☆
9 教師の一日 ☆
10 教師のプライベート ☆
インタビューⅡ 若手先生たちのワーク・ライフ・バランス
11 学校教育目標とは ☆
12 研修を上手に活用する ☆
第2章 授業をどのように準備して行うのか
13 授業とは ☆
14 資質・能力とは ★
15 授業準備の仕方 ★
16 授業のルール ★
17 めあてを立てる ★
18 板書はわかりやすく ★
19 発問の仕方 ★
20 学習指導案の書き方 ☆
21 重点研究〈校内研究〉とは ☆
22 専科教員について ☆
第3章 子どもと過ごすよい学校生活
23 子どもへの指示の出し方 ★
24 朝の会・帰りの会の仕方 ★
25 休み時間 ★
26 給食当番・清掃の仕方 ★
27 学級目標 ★
28 学級活動 ★
29 係活動 ★
30 席替え ★
31 学級レク ★
32 校外学習 ★
33 宿泊を伴う体験学習について ☆
第4章 児童のことをよく知ろう
34 子どもの行動・言動 ★
35 特別支援教育 ★
36 ユニバーサルデザイン ★
37 自閉症スペクトラム障害 ★
38 座ることがむずかしい児童 ★
39 喧嘩が多い児童 ★
40 掃除や当番をしない児童 ★
41 学校以外で子どもたちの支援に関わる人 ☆
第5章 保護者は応援隊―よいつながり方は
42 保護者の願いは ☆
43 学級懇談会 ★
44 個別〈個人〉面談 ★
45 電話対応 ☆
46 授業参観 ★
47 PTA活動 ☆
48 学級通信 ★
第6章 学校はチーム―教師との関わり方
49 学年主任との関わり ☆
50 近い世代の教師との関わりとメンターチーム ☆
51 管理職との関わり ☆
52 養護教諭・学校事務職員・学校用務員・学校栄養職員との関わり ☆
【執筆担当】☆杉本敬之 ★村松秀憲
前書きなど
はじめに
本書を手に取っていただきありがとうございます。
現在,学校現場では教職員間で支え合い,ともに教え合うことが人材的にも時間的にも年々むずかしくなっています。以前は,ミドル世代やベテラン世代の教師からたくさんの経験を教わることができましたが,そうではなくなっています。それはなぜでしょうか。
理由は3点あると考えています。
1点目は,若手教師を教えたり,支えたりするミドル世代やベテラン世代の教員の減少です。同じ学年の教職員の教職経験年数が,すべて10年以内ということが少なくありません。
2点目は,業務の増加です。さまざまな調査の報告,特別な支援を要する子どもへの対応,多岐にわたる研修,新型コロナウイルス感染症対策などがあり,仕事量が大幅に増え続けています。そのようななかで,教職員間で気づいたことを聞いたり,伝え合ったりする時間が減っています。
3点目は,学校教育のめまぐるしい変化です。新型コロナウイルス感染症の蔓延が1つの大きなきっかけでした。日本では,2020年1月に最初の感染者が確認されました。その後,学校では数カ月の休校期間がありました。そして,子どもたち一人ひとりにパソコンやタブレット端末が整備されました。オンライン授業の進展,黙食や配膳の仕方などの給食時のルールの変更,ソーシャルディスタンスの確保など,これまでの学校教育では想定することが困難な事態が生じました。そのようななかで,過去の経験を生かした教育では対応できないことが増えてきた事実があります。現代は不確実な時代(VUCA)といえます。
さらに,教職員の休職者は6000人(2022年)を超え,ここ数年は高止まり状態になっています。そのなかでも20代の教職員の増加が顕著です。また,特別な支援を必要とする児童も年々増加しています。
また,日本政府が提示した「骨太の方針2022」のなかには,探究の抜本強化・個別最適な学びの実現・特別支援教育の充実などが述べられています。さまざまな施策や課題に対して適切に対応して,かつ自分のよさを生かすことができる教師が求められています。
このような環境のなかで,若手先生が身につけていくとよいことは何でしょうか。それは,自身のメンタルを良好に保つ,特別な配慮を必要とする児童の支援を適切に行う,子どもが安心して育つ学級経営を行う,保護者や職場の教職員と良好な関係を築くためのマネジメント方法などがあげられると思います。
そして,何より大切なのは,この本を手にとっていただいたみなさん(教師や教師をめざすみなさん)が,教師という仕事をしながらプライベートも充実させる。そして,人生をよりよいものにしていくことだと思います。
今あげさせていただいたことを達成するために,さまざまな資料や経験などをもとにして本書をまとめています。若手先生がご自身で課題を発見し,その課題解決に向かって行動する。そして課題が解決されていく。その活動の繰り返しが,本書のタイトル「若手先生の若手先生による教育マネジメント」になっています。
しかし,本書は書かれている内容すべてを一度に行っていただくことを目的とはしてません。一読いただき,ご自身のなかでとくに取り入れていきたい/取り入れるとよい/または取り入れられる部分から実行していくとよいと思います。そうすることで,働き方や生き方によい変化が生まれると考えています。
読んでいただいたすべてのみなさんが,よりよい教師生活を送っていただくことを願っております。
おわりに
ここまで読んでいただき本当にありがとうございます。
教師人生はさまざまです。大卒からずっと同じ自治体で教師をする,数年経験したあと自分の育った地元に帰って教師をする,一般企業で勤めたあとで教師になる,教師をやめて別の教育系の仕事をするなどがあります。最近は,教師を一度辞めてからもう一度教師になる人もいます。さらに,結婚や自分の子どもが生まれるなどのライフイベントによって働き方が変わってきます。
また,学級担任から学年主任になる,教諭から指導教諭や主幹教諭になる,主幹教諭から学校管理職になるなどの変化によって,仕事の内容が変わってきます。
教師と一口にいってもさまざまな変化があるということです。ただし,そのなかでもずっと自分自身に変わらず残り続けることがあると思います。それは,たくさんの子どもと出会い,教える,活動をする経験です。筆者ふたりは,今まで多くの子どもの学級担任をしてきましたが,それぞれ子どもたちとの数多くのエピソードが記憶に残っています。そして,その経験が今の自分の価値観や行動につながっているのだと思います。また,数多くの先生たちと出会うことができます。そのすべてが,自分自身の成長として返ってくるのだと思います。
筆者の勤める学校で,運動会が終わった直後に教職員が感想を伝え合う機会がありました。そこで素敵な話を聞けましたのでお伝えします。
ある教師が子どもだったときの話です。運動会で自身が演技をしているときに,朝礼台に立っている先生が見えたそうです。運動会の演技(ダンス,組体操などがあります。最近は,高学年はソーラン節が多いです)のとき,安全確認のため朝礼台に教師が立ちます。その朝礼台に立っている先生が,演技を見て涙を流していたそうです。その姿を見て,自分も教師になったとき,その朝礼台から子どもたちが演技する姿を見たいと考えたそうです。この日,実際にその経験ができて本当によかったと語ってくれました。朝礼台の上で安全確認をするのは,その演技について指導の中心を担う教師が多いです。子どもたちの練習を始める前からの様子をよく知っています。そして,成長する過程もよく理解しています。ある子どもがどうしてもできなかったダンスがいつからかできるようになっていること,いつも全力でダンスをしている子など,さまざまな気づきが得られます。きっとその教師は,子ども時代に見た先生の涙の意味を,深く実感できたのではないかと思います。
その教師が話をしてくれたことをとても感謝しています。その経験がきっと成長につながっているはずです。教師は,子どもや先生たちと一緒に数多くのすばらしい経験をすることができます。だからこそ,大変なこともあると思いますが,楽しく前向きに取り組んでもらえたらとても嬉しいです。そして,一緒に日本の教育をよりよいものにしていけたらと思います。
最後になりましたが,執筆にあたってたくさんのアドバイスをしていただいた三橋国雄校長先生,インタビューを快く引き受けてくださった武田ありさ先生・辻下拓土先生・三輪夏々子先生,執筆の機会を通して数々の気づきを与えてくださった方々,そして,このような機会をつくってくださった人言洞二村和樹氏に厚く感謝を申し上げます。
2023年4月 杉本敬之 村松秀憲
版元から一言
いま学校現場でがんばる若手先生すべてがすぐに活用できる必携書‼
コロナ禍を経た新たな環境へチャレンジする気鋭の教員である著者が、学校現場で日々奮闘する若手先生たちをエンパワーメントしています。子どもたちの成長を支える教師たちが身近に感じるさまざまな課題や疑問、悩みなどを具体的に取り上げ、6つの章に分けた52のテーマでわかりやすく解説しアドバイスしています。学び続ける教師に向けた多くの示唆と助言を与え、これらをヒントに今日からでも活用できる好著です。
上記内容は本書刊行時のものです。