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属性叙述と総称性
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年2月28日
- 書店発売日
- 2022年3月23日
- 登録日
- 2022年3月1日
- 最終更新日
- 2022年3月9日
紹介
叙述の型はどのように決定されるのか
複雑に絡み合うさまざまな決定要因――述語の意味、主語をマークする助詞(ガ/ハ)、時間的限定性、語用論的知識など――は、どのような形で結び付き、いずれの要因が叙述の型を決定づけるのか。テンスの総称性という観点から体系化し、そのメカニズムを明らかにする。
2021年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)交付図書
目次
第1章 序論
1.本書の目的
2.研究の背景
2.1 日本語の属性叙述文研究
2.2 総称文研究
3.本書のアプローチ
4.本書の構成
第2章 事象と属性の対立に関わる諸要因
1.はじめに
2.日本語の属性叙述文研究
2.1 益岡(1987,2000,2004,2007,2008,2012,2018,2021)
2.2 影山(2009,2012)
2.3 三原(2020)
3.総称文研究
3.1 述語の意味的性質(SLP/ILP)と主語の解釈
3.2 統語構造と意味解釈の写像関係
3.3 テンスに着目した総称文の分類
4.テンスの総称性から見る叙述の型の決定プロセス
5.本章のまとめ
第3章 主語と総称性
1.はじめに
2.先行研究
2.1 主語の解釈と情報構造:Cohen and Erteschik-Shir(2002)
2.2 問題の所在
3.述語の意味的性質と主語名詞句の解釈および情報構造の関係
3.1 現象の整理
3.2 述語の意味的性質と主語の情報構造:Heycock(1993,2008)
3.3 統語構造による統一的説明
3.4 TP指定部の主語
4.テンスの総称性と主語の解釈
4.1 テンスの総称性と4要因の体系化
4.2 数量詞遊離と存在解釈
4.3 テンスの総称性と定解釈の主語
5.本章のまとめ
第4章 目的語と総称性
1.はじめに
2.先行研究と問題の所在:目的語の総称性
3.単文における目的語の解釈
3.1 ES心理述語における対格目的語と主格目的語の対立
3.2 評価系述語と所有系述語の主格目的語の対立
3.3 先行研究:主格目的語の統語的位置
3.4 写像仮説に基づく説明
3.5 まとめ
4.複文における目的語の解釈
4.1 現象の観察
4.2 難易文における主格目的語と対格目的語の対立
4.3 難易文と可能文の主格目的語の対立
4.4 写像仮説に基づく説明
4.5 まとめ
5.本章のまとめ
第5章 非状態動詞におけるアスペクトと総称性
1.はじめに
2.先行研究と問題の所在
2.1 叙述の型を決定する要因と語彙的・文法的アスペクト
2.2 本章での問題提起
3.[経験]を表すテイル形と存在テンス
3.1 先行研究
3.1.1 [経験]を表すテイル形のアスペクト的意味
3.1.2 [経験]を表すテイル形とSLP/ILP
3.2 SLPとしての[経験]を表すテイル形
3.2.1 [経験]を表すテイル形とテンスとの相関
3.2.2 [経験]を表すテイル形と主語の解釈
3.3 [経験]を表すテイル形と属性叙述
3.4 [経験]を表すテイル形まとめ
4.[反復]を表すテイル形と存在テンス
4.1 先行研究
4.2 「習性属性」におけるル形とテイル形の対立
4.2.1 [反復]の体系的位置づけ
4.2.2 主語の解釈
4.3 「習性属性」を表すル形とテイル形の意味解釈メカニズム
4.3.1 説明の枠組み:個体量化とイベント量化
4.3.2 ル形の個体量化分析とテイル形のイベント量化分析
4.3.3 意味解釈と統語構造の写像関係
4.4 [反復]を表すテイル形まとめ
5.テイル形の形成する属性叙述とテンスの総称性
5.1 存在テンスと結びついたテイル形と属性叙述
5.2 テイル形が総称テンスと結びつく場合
6.本章のまとめ
第6章 状態動詞におけるアスペクトと総称性
1.はじめに
2.先行研究と問題の所在:アスペクト対立と状態性
3.感覚を表すオノマトペ動詞におけるル形とテイル形の対立
3.1 オノマトペの意味と述語形式
3.2 「味覚・嗅覚・聴覚を表す名詞」+「ガスル/ヲシテイル」:澤田(2012)
3.3 感覚を表すオノマトペ動詞のル形とテイル形の違い:SLPとILP
3.4 感覚を表すオノマトペ動詞のル形とテイル形の違い:項構造
3.5 感覚を表すオノマトペ動詞におけるアスペクト対立
4.アスペクトとテンスの総称性
4.1 感覚を表すオノマトペ動詞とテンスの総称性
4.2 語彙的/文法的アスペクト
5.本章のまとめ
第7章 結論
1.各章の議論のまとめ
2.本書の意義と展望
参考文献
初出一覧
あとがき
索引
前書きなど
「総称文研究の知見は、本書の主張する構成的なアプローチの核となるものであるが、これらの研究においても、情報構造や述語のアスペクトが叙述にどのように関わっているか、また不定名詞句のみならず定名詞句も扱える包括的な視点はどこにあるのかといった問題は、十分に議論されていなかった。本書では、日本語の助詞と広範な意味領域を担うアスペクト形式に着目して、具体的な現象からそのふるまいを明らかにし、テンスの総称性という観点から体系化を行うことによって、より包括的な枠組みを示すことができた。」(「第7章 結論」より)
上記内容は本書刊行時のものです。