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ポルトガル、西の果てまで 福間 恵子(著) - 共和国
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ポルトガル、西の果てまで (ポルトガル ニシ ノ ハテマデ)

文芸
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発行:共和国
四六変形判
縦192mm 横125mm 厚さ18mm
重さ 300g
248ページ
仮フランス装
価格 2,400円+税
ISBN
978-4-907986-83-4   COPY
ISBN 13
9784907986834   COPY
ISBN 10h
4-907986-83-1   COPY
ISBN 10
4907986831   COPY
出版者記号
907986   COPY
Cコード
C0098  
0:一般 0:単行本 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年9月30日
書店発売日
登録日
2021年8月2日
最終更新日
2022年10月12日
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書評掲載情報

2022-01-14 図書新聞  3527号
評者: 野村喜和夫
2022-01-09 北海道新聞
評者: 平田俊子
2021-12-25 信濃毎日新聞
評者: 尹雄大(インタビュアー、ライター)
2021-12-11 図書新聞  3524号
評者: 山本貴光
2021-10-24 南日本新聞
評者: 麓卑弥呼(株式会社しーま編集長)
2021-10-23 東京新聞/中日新聞  朝刊
評者: 平田俊子(詩人)
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紹介

ポルトガルに通うようになって18年、13回の旅、滞在日数およそ220日。どうしてポルトガルなのか――。
城壁の村マルヴォアンで出会った恵さん。ヴィディゲイラで立ち寄ったパンとお菓子の祭り。リスボンの「ニコの食堂」では、タラのオリーブオイル焼きやワインに舌鼓を打つ。タブッキの『レクイエム』を想起しながら、フィルム・アーカイヴで観ることができた数々の映画……。
夫で詩人の映画監督、福間健二作品のプロデューサーとしても知られるエッセイストによる、魅惑のポルトガル紀行。

*日本旅行作家協会が選ぶ第4回「旅の良書」に認定されました(2022年7月)。

目次

   はじめに
 

 Ⅰ  ポルトガルと出会う
 
 国境の村で
 アマランテ
 アレンテージョの春
 

II ポルトガル、西の果てまで
  
 ニコの食堂
 セジンブラ、魚の町
 アソーレス、大西洋の孤島群
   1 テルセイラ島  
   2 サン・ミゲル島 
   3 フローレス島  
ポルトガルを食べる
 

III 映画のポルトガル
 
 トラス・オス・モンテス
 ドウロ川と映画監督オリヴェイラ  
 世界の始まりへの旅
 タブッキのリスボン、映画のリスボン
 フォンタイーニャスを探して
 ポルトガルのフィルムアーカイヴ
 サラヴィーザ、リスボンの闇と光
 ポルトガルで映画監督になる
 「見る、聴く、歩く、待つ」 

   旅の終わりは、次の旅のはじまり──あとがきにかえて

前書きなど

 ポルトガルに通うようになってもう18年がすぎた。その間に13回の旅をして、日数は220日におよぶ。行きはじめて間もないころ「どうしてポルトガルなの?」と友人たちによく尋ねられた。そのうち誰も何も尋ねなくなり、わたしのポルトガル行きは定着した。そうしていま、自分に問うてみる。どうしてポルトガルなのか。

 30歳になるころまで、飛行機のような重い鉄の塊が空を飛ぶことが信じられなくて怖くて、海外旅行にまったく興味がなかった。たまたま面白半分で応募した「カップルで作る」料理コンテストで優勝した。その賞品がパリ、マドリード、ローマをまわるパッケージツアーだった。タダで行けるとなると、恐怖などはどこかに追いやって、覚悟を決めるものである。3日間のマドリードがよかった。乾いた空気と陽ざしが身体にしっくりきた。帰国して10日ほど経ったころに、日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故が起きた。1985年のことである。

 そんな大惨事があったし、わたしの飛行機恐怖が消えたわけでもないのに、翌年からわたしは夫の福間健二とともに毎年のようにスペインを訪ねるようになった。当時は首都マドリードでさえも英語がほとんど通じなかったから、スペイン語を習いはじめた。リュックを背負い、列車より安いバスで小さな町から町を移動しながら、貧乏旅行をした。スペイン語がだいぶできるようになったので、母を連れて二人でアンダルシア地方を訪ねた。グラナダで、バスク地方から旅行に来ていたバスク人の女性二人と親しくなり、手紙を交わすようになった。そのころ「スペインのなかの異国」バスクへの関心が強くなっていたので、バスクの田舎に住むその友人をたよって2か月滞在した。1992年、スペインがEUに加盟して六年後、バルセロナでオリンピックが開催された年だった。通貨がペセタからユーロに切りかわりつつあったころだ。オリンピックとユーロを契機に、少しずつ変わっていくスペインが見え隠れしていた。

〔……〕 

 スペインとポルトガルのはざまでゆれながら、国境越えを3回もするという不器用な旅。それでももう思いは吹っきれていた。旅から戻ると、ポルトガルで食べた料理を納得いくまで作りつづけ、ポルトガル語の辞書を買い、当時東京に一つしかなかったポルトガルのポルトガル語(ブラジルポルトガル語ではない)の語学学校に通いはじめた。そんなわたしを見ながら、夫はこう言った。

「ヨーロッパの西の果てのポルトガルと出会うのは、きっと時間の問題だったんだよ。中心よりも端っこが好きなんだから」

 なるほど、そうだったのか。

 かすめたり、届きそうなところで手を引っ込めたり、遠くで聞こえていたりしたものの焦点がようやく定まり、目の前に現われた。長い年月を経て、やっと出会えたポルトガル。わたしとこの国はこういう運命だったのだと納得する。これがポルトガルとの長いつきあいのはじまりだった。

[本文より] 

著者プロフィール

福間 恵子  (フクマ ケイコ)  (

1953年、岡山県に生まれる。
書籍編集者を経て、1990年頃からエッセイを発表しはじめる。
2007年より、福間健二監督映画のプロデュースおよび配給・宣伝を担当し、その作品に、『岡山の娘』(2008)、『わたしたちの夏』(2011)、『あるいは佐々木ユキ』(2013)、『秋の理由』(2016)、『パラダイス・ロスト』(2020)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。