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メディオーム
ポストヒューマンのメディア論
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年12月10日
- 書店発売日
- 2021年12月15日
- 登録日
- 2021年11月17日
- 最終更新日
- 2021年12月15日
書評掲載情報
2023-02-01 |
環境思想・教育研究
15号 評者: 熊坂元大(熊本大学教員) |
2022-05-28 |
図書新聞
3545号 評者: 増田展大(美学・芸術学) |
2022-02-13 |
四国新聞
評者: 小川仁志(山口大教授) |
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紹介
われわれは既に「ポストヒューマン」の時代を生きている。にもかかわらず、なぜこれほどまでに現代社会に適応できず、存在することの不安に苦しんでいるのだろうか。この問いを考えることにこそ、技術に依存した楽観主義者の夢想でなく、また反技術主義への逃避でもない、「これからの人間」を語る可能性が残されているのだ――。
気鋭の研究者が現代思想やアートを論じつつ、「他者」と「技術」を媒介として「ポストヒューマン」な人間像を探求する《存在論的メディア論》。
目次
はじめに アメリカツガとポストヒューマン
第一章 閉じていく世界
他者
欲望の二重らせん
全体性とメディア
貫通
プンクトゥム
イコンと肖像画
世界のデジタル化
環境化するメディア技術
計数的な自然と存在の地図化
デジタルスティグマジー
第二章 世俗的な神
メタプログラム的世界観
テクノロジー無謬説とテクノデモクラシー
仮想化批判の仮想性
身体の喪失と残忍さ
記憶と記録
個人認証
3Dプリンタから世俗的な神へ
人新世
誰が人新世を見届けるのか
ポストヒューマンの人文学
第三章 別様の未来
除去可能性ノイズ
存在論的ノイズ
デジタル化される生命観
マイクロバイオームから他者原理へ
脳死者と人間の条件
語り出す石
信頼
メディオーム
バイオアート、木、そして全体性
memento mori
おわりに それで、きみは神になりたいのか?
注
あとがき
前書きなど
《「ポストヒューマン」と聞くと、あなたは何を想像するだろうか。サイボーグ技術や遺伝子改変により強化された超人か、あるいはデジタル化した精神を広大なネット空間にアップロードした不滅の存在か。けれどもそんなSF的な存在を思い浮かべるまでもなく、私たちは既にポストヒューマンなのだ。そう聞くとあなたはきっと思うだろう。私たちがポストヒューマンであるのなら、なぜ世界はいまだに混乱と対立に満ちているのか、なぜ私たちは自らの生に対して不安を抱え続けているのか、と。
気候変動や生物多様性の喪失、パンデミック、移民排斥に公然となされるヘイトスピーチ、世界中に張り巡らされた監視網、AIによる管理、資本の論理に支配された残酷なグローバル経済。このような現実を前にして、私たちはあいかわらず無力な人間のままでいるように感じる。だから人文学を古くて役に立たないものとして捨て、技術に救いを求めるのも、仕方がないことなのかもしれない。けれども、本当は順序が逆なのだ。かつて人間がポストヒューマンへと踏み出したその足跡にこそ、いま私たちが直面しているさまざまな問題の根源が刻印されているのである。
本書では、人間はいつから、なぜポストヒューマンになっていったのか、そしてそれがどのような問題を引き起こすのかについて、「他者」と「メディア」を中心に探求したものだ。ポストヒューマンであることは、誰もが神となってユートピアに生きることを意味しない。そこには相変わらず、まさにいま私たちが感じているように苦痛や恐怖がある。それでも、そこにこそ、技術的楽観主義者の夢想でも反技術主義者の逃避でもない「これからの人間」の生を語る可能性が、人文学の再生の可能性が、残されている。すべてがデータ化していくこの時代においてなお、私たちは無数のあらゆる他者に対する責任のなかで生きていくことができるはずだ。本書を通してその希望を共有できればと願っている。》
――「あとがき」より
上記内容は本書刊行時のものです。