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アメリカ日系社会の音楽文化 早稲田 みな子(著) - 共和国
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アメリカ日系社会の音楽文化 (アメリカニッケイシャカイノオンガクブンカ) 越境者たちの百年史 (エッキョウシャタチノヒャクネンシ)

歴史・地理
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発行:共和国
菊変形判
縦188mm 横150mm 厚さ38mm
重さ 700g
556ページ
上製
価格 7,800円+税
ISBN
978-4-907986-71-1   COPY
ISBN 13
9784907986711   COPY
ISBN 10h
4-907986-71-8   COPY
ISBN 10
4907986718   COPY
出版者記号
907986   COPY
Cコード
C0073  
0:一般 0:単行本 73:音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年3月20日
書店発売日
登録日
2022年2月27日
最終更新日
2023年6月10日
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受賞情報

第40回 田邉尚雄賞(2023年)

書評掲載情報

2023-10-17 音楽学  69巻1号(2023年)
評者: 齋藤桂
2023-07-07 移民研究年報  第29号(2023年)
評者: 小澤智子(武蔵野美術大学)
2022-09-10 図書新聞  3559号
評者: 和泉真澄(同志社大学教授)
2022-07-15 レコード・コレクターズ  2022年8月号
評者: 青木深
2022-06-24 週刊読書人  6月24日号
評者: 小沼純一
2022-03-25 ディスカバー・ニッケイ  
評者: 川井龍介
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紹介

在米の日系移民たちが織りなす、
知られざる音楽/芸能史。

戦前から戦後にかけて、移民としてアメリカ合衆国にわたった「日系人」たちは、そこでどのようなコミュニティを形成し、新たに自分たちの音楽や舞踊を生み出したのか。日本の伝統文化とアメリカ社会の根源を掘り返す浩瀚な研究成果。
女性たちの活躍、強制収容所での芸能、家元制度、日本舞踊や打楽器の受容から日本語の喪失まで、南カリフォルニアを中心に文献資料をくまなく踏査し、貴重な聞き取り調査を駆使した類書のない文化史です。

目次

序章  日系社会の音楽研究に向けて

日系人の文化
アメリカ日系音楽へのアプローチ
研究方法
世代区分とその概念
本書の構成
 
---
第1部  日系音楽文化史
---

第1章  移民から太平洋戦争まで──日本文化の移植とアメリカ文化の受容

移住から定住へ
戦前アメリカ日系社会と音楽・芸能の概要
芸能における一世パイオニアたち
男性中心の一世社会における女性エンターテイナー
日本の音楽家・芸能人の渡米――文化使節・師匠としての役割
二世の日本舞踊家・箏曲家の台頭
日系人のエスニック・イベントとしての演芸会
同化の手段としての西洋音楽文化
ライブに変わる娯楽、マスメディア
世代をつなぐ音頭ブーム

第2章  強制収容所の音楽・芸能──葛藤と平和への希望の中で

第二次世界大戦と日系人強制収容
収容所の音楽・芸能の概要
収容所新聞
真珠湾攻撃から強制収容まで
収容所における音楽・芸能の状況
日本音楽・芸能の活性化
音頭(盆踊り)の巨大イベント化
黄金時代を迎えた演芸会
収容所の歌
抵抗の手段としての日本文化―─トゥーリーレイクの国粋主義者たち
収容所の外における日本文化―─ハワイとの比較
西洋音楽文化の奨励と繁栄
収容所の閉鎖
 
第3章  太平洋戦争後──新移民、新世代とともに変わる文化

戦後日系社会の新しい動き
戦後アメリカ日系社会と音楽・芸能の概要
日系コミュニティの再生
音楽・芸能活動の復興
二世ウィークの復興──日本文化のショーケースとしての祭り
日系人を取り巻く社会状況の好転と芸能の活性化
日本の復興に伴う日本人音楽家・芸能人の訪米
日本音楽・芸能の師匠としての新一世
新世代における日本伝統芸能
太鼓―─三世の表現手段から民族を越えた表現形式へ
一世、二世の高齢化に伴う音楽文化の衰退
日本語コミュニティの「歌う文化」
西洋音楽の発展──民族の境界を越えて
収容所を題材とした創作活動
二世ウィークの展開──新一世のアメリカ日系社会への融合の試み
 
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第2部 日系音楽文化の考察
---

第4章  エスニック・マイノリティとしての日系人の音楽

マジョリティからマイノリティへの転換
音楽の役割の変化
演奏の場の拡大
祖国の文化に対する新しい視点
適者生存
文化的誇張・マンネリ化
文化形式と文化的内容の関係の変化
新旧移民の文化的対立
新旧移民の文化協力
エスニック・マイノリティであることのインパクト

第5章  南カリフォルニアの日本音楽・芸能における家元制度

家元制度の越境
家元制度とは
南カリフォルニアの家元制度の歴史的背景
家元制度の変容とその影響
南カリフォルニアと日本の橋渡しとしての家元制度
芸能伝承制度の変容のインパクト

第6章  南カリフォルニアの日本伝統音楽における音楽と言語

日系社会における日本語の喪失
日系社会における日本伝統音楽の衰退
声を主体とする音楽ジャンルの衰退
ジャンル内における歌の衰退
音と歌詞の関係性の希薄化
日本伝統音楽に付随する行儀作法の変化
言語と移民文化の適応性
移民の音楽伝承と言語

第7章  日系人の音楽における文化融合

文化融合の多様性
日本と西洋の文化の融合
日本の地方文化の融合
日系人の文化と日本またはアメリカの他民族の文化との融合
音楽表現における文化融合の多様性
 

終章  日系音楽文化百年史の俯瞰

アメリカの日系音楽文化に影響を与えたもの
日系人にとっての音楽の意味と機能
日系人にとっての日本文化とアメリカ文化
研究をふりかえって

       註
       参考文献
       あとがき

  附録1 先行研究・資料紹介
  附録2 南カリフォルニアの日本音楽・芸能関係者プロフィール
  附録3 南カリフォルニアの音楽・芸能年表
  
  事項索引
  人名索引

前書きなど

「アメリカ日系社会の音楽文化は、日本の音楽文化ともアメリカの主流音楽文化とも異なるものだ。その生成と変遷の歴史は、日本人移民とその子孫たちが、彼らを取り巻く状況に対し、音楽を通じていかに関わり行動を起こしてきたかという歴史的運動に他ならない。アメリカ合衆国の日系人の歴史はすでに一世紀以上に及ぶが、いまだにアメリカの標準的な歴史教科書も日本の歴史書も、彼らの歴史についてはほとんど触れることがない。音楽文化となれば、なおさらだ。本書は、これまで語られてこなかったこの領域を、歴史資料と現地調査によって明らかにしようとする試みである。アメリカ日系社会の音楽文化は、人と文化が世界的な規模で移動し、接触・交流を経験した20世紀の文化変動の一部である。その変遷の中には、マクロな視点からは見えてこない人々の日々の営みの中の取捨選択、葛藤、希望などが織りこまれている。
 歴史的にみても、移民は各国の経済的、文化的発展に大きく寄与してきたが、その一方、常に社会的、文化的摩擦を引き起こす懸念材料として意識されてきた存在でもある。経済格差や宗教摩擦が深刻化するなか、移民は世界問題となっているが、その議論の的となっているのはもっぱら先進国の側からみた雇用や治安の問題である。アメリカ日系人の音楽文化史は、移民とその子孫たちの立場から移住と定住の経験を明らかにし、これまでの移民史に欠けていたパーソナルかつミクロな視点を提供する。日本人移民とその子孫たちが克服してきた人種差別、社会的、文化的摩擦の歴史を、音楽活動という、一見非政治的な営みを通して眺めることで、はじめて移民を一つの塊としてでなく、意思を持ち、取捨選択し、行動する個々の顔を持つ人々の集合体として、より人間的に理解することができる。進んで言えば、こうした移民自身の経験や視点に対する理解こそが、これからの移民問題や多文化共生を考えるうえでも重要なのではないだろうか」
――序章より

著者プロフィール

早稲田 みな子  (ワセダ ミナコ)  (

1966年、東京都に生まれ、神奈川県に育つ。
カリフォルニア大学サンタバーバラ校大学院民族音楽学博士課程修了(Ph.D.)。現在は、国立音楽大学教授。専攻は、音楽民族学、アメリカ日系音楽文化。
共著に、『日系文化を編み直す――歴史・文芸・接触』(2017年)、『民謡からみた世界音楽――うたの地脈を探る』(2012年、以上ミネルヴァ書房)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。