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香港人の自由はいかにして奪われたか、それをどう取り戻すか
- 初版年月日
- 2023年4月25日
- 書店発売日
- 2023年4月25日
- 登録日
- 2023年3月12日
- 最終更新日
- 2024年1月24日
書評掲載情報
2023-06-11 | 産經新聞 朝刊 |
2023-06-03 | 日本経済新聞 朝刊 |
2023-05-27 |
朝日新聞
朝刊 評者: 福嶋亮大(立教大学准教授・批評家) |
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紹介
【本文より抜粋】
この本によって、ここ数年で僕の愛する香港に何が起きたのか伝えたい。これは僕にとって、中国共産党が忘却させようとしているものを記憶するための闘いである。同時にこの本の中で、自由が至るところで脅かされていることを示し、手遅れになる前に自分たちの自由を守るにはどうすればよいのかということについても書き記しておきたい。(p.15)
香港は、世界で最も厳しく抑圧されている都市ではないかもしれないが、豊かで自由で開かれた活気ある社会が、いかにして蝕まれるのかを示す先例として特に重要である。香港は自由世界にとって、炭鉱のカナリアなのだ。(p.236)
驚異的な経済成長の軌跡に伴って、中国の傲慢さが増していくのを僕たちは目撃した。より善い中国を望み、積極的に関与すればもっと融和的な体制になると期待していた人たちは、それが間違いであったことを受け入れる必要がある。中国が超国家主義的な全体主義国家になりつつあるということ、もしかすると既にそうなっているということを、僕たちは認めなくてはいけない。(p.217)
同じ理想を共有する民主主義諸国が協調しなければ、中国は、その国家規模をもって個々の国に狙いを定め、自国の衛星軌道に乗せることができる。……僕たちには、同盟国や友人たちと肩を並べて立ち、友人への攻撃は僕たち全員への攻撃だと見なす道徳的責任がある。強硬的かつ、明確な対象を持った集団行動をためらってはいけない。(p.223)
僕たちはいよいよ過去から脱却し、人権を理由とする介入を、侵略行為や帝国主義としてではなく、被害者を守るための道徳的行動として捉えるべきなのだ。(p.219)
その場所がどこであろうとも、抑圧に立ち向かうことは、究極的には、人間の尊厳のための同じ闘いの一部分である。(p.217)
自由と民主主義の原則を信じるということは、真実の側に立つと決断することだ。(p.159)
香港のように、その願いが打ち砕かれたとしてもなお、自由になりたいという想いは僕らの中で力強く燃え続ける──それが消えないのは、自由こそが、人間性の中心であるからだ。(p.13)
僕がいま拘束されていないのは、亡命中であるからに過ぎない。僕がいない間に、監獄の壁は故郷の香港をぐるりと囲むまでに大きくなってしまった。表面的には普通の生活が続いているように見えるかもしれないが、ただ自己の良心に従って生きようとするだけで、あらゆる人に脅威がのしかかる。それでも、共に立ち上がる仲間たちがいる限り、約束された自由と権利を求めて同じスローガンを叫べる限り、たとえ彼らがいま世界のどこにいようとも、僕は立ち上がり叫ぶ。自由を求めて声を上げることは正しいことであり、それは僕らの権利なのだ。(p.13)
目次
序文
第一章 自由と避難、そして希望
- 移民の都市
- 中国による侵食はなぜ問題か
- 避難の地から迫害の地へ
第二章 蝕まれる自由
- 香港の物語
- 自由の失われる感覚
- 初めての六四追悼集会
- 異議を唱える自由
- 報道する自由
- 自由のない生活
- 自由を守るために
第三章 抵抗運動と市民社会
- アクティビズムの始まり
- 授業ボイコット
- 独裁者の敵
- 死に至る沈黙
- 市民社会の懐柔
- 政治的予言が現実となるとき
第四章 法を利用した支配
- 立法会議員への出馬
- 宣誓問題
- 香港の根本的矛盾
- 公民広場を取り戻す
- 誰がために法はある
- 法の背後に目を向ける
第五章 偽情報と分断
- 別れ道
- 引き裂かれる社会
- 国家主導の中傷キャンペーン
- 真実は誰のもの?
- 中国の特色ある真実
- 価値観への裏切り
第六章 変化の力を信じて
- すべてが順調なのはそうでなくなるまで
- 壊れやすい民主主義
- 経済的威圧を超える
- グローバル権威主義に立ち向かう
- 良心とアクティビズム、そして水になれ
- 活動家であるということ
- 行動しなければ意味がない
訳者あとがき
原注
上記内容は本書刊行時のものです。