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翻訳新論 日中の文字とことばの〈近さと遠さ〉を考える 小松靖彦(編著) - 文学通信
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翻訳新論 日中の文字とことばの〈近さと遠さ〉を考える (ホンヤクシンロン ニッチュウノモジトコトバノチカサトトオサヲカンガエル)

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発行:文学通信
A5判
368ページ
上製
価格 7,000 円+税   7,700 円(税込)
ISBN
978-4-86766-076-8   COPY
ISBN 13
9784867660768   COPY
ISBN 10h
4-86766-076-0   COPY
ISBN 10
4867660760   COPY
出版者記号
86766   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2025年5月16日
書店発売日
登録日
2025年5月1日
最終更新日
2025年6月4日
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紹介

日本と中国の翻訳から、新たな翻訳論を拓く──。

Google翻訳、ChatGPT、DeepLなど、機械翻訳が生活の一部となった現代。しかし、「翻訳」とは本当に単なる言語の変換作業にとどまるのでしょうか。

本書は、日中間における翻訳・翻案・アダプテーションの歴史と実践に焦点を当て、文学・宗教研究・言語学・日本語教育といった多様な視点から翻訳という営みを読み解く試みです。

◉本書のポイント:
(1)日本と中国のあいだで行われてきた翻訳・翻案・アダプテーションの事例を日中の研究者総勢14名が精査。
(2)翻訳における「文字」の役割に注目し、日中翻訳特有の問題と可能性を浮かび上がらせる。
(3)これまで西欧語を中心に構築されてきた翻訳理論が見落としてきたものに光をあて、同じ「文字」を共有する日中の文脈から新たな翻訳論の構築を目指します。

翻訳研究に関心をもつ研究者・学生はもちろん、翻訳や多言語社会に関心をもつすべての読者におすすめの一冊です。

◉本書で扱う主要テーマ
【『萬葉集』の中国語訳/黒岩涙香訳『野の花』/鈴木大拙『支那仏教印象記』/菊池寛「昭和の軍神 西住戦車長伝」/『東征伝絵巻』『玄奘三蔵絵』/謝六逸の翻訳と翻案/『新撰万葉集』/黄遵憲と周作人/漢文訓読体/中日漢字単語の翻訳/中国の日本語教育と翻訳】

◉執筆者
【小松靖彦, 田中祐輔, 片山宏行, 陳継東, 丁莉, 陳力衛, 鄒波, 費暁東, 吉田薫, 梁青, 鄒双双, 宋啓超, 李満紅, 西野入篤男】

◉「あとがき」より
【翻訳とは、テクストを異なる言語へ移し替える作業ではなく、その言語が持つ社会文化的文脈を再解釈し、新たな意味を生み出す行為である。そのため、翻訳の研究・実践は文学研究のみならず、歴史学、社会学、言語学、教育学等にも広がるものであり、人工知能(AI)を含む多様な技術・領域と連携しながら発展させるべきものでもある。さらに、国際的な文化交流の視座による役割の志向を欠かすこともできないと言える。本書が提示した理論的枠組みや実践的考察が、新たな翻訳研究の地平を拓く一助となれば幸いである。】

目次

目次

はじめに


◉第1部 漢字文学の翻訳学―『萬葉集』の翻訳をめぐって


第1章 還流する『萬葉集』――謝六逸の中国語訳を通して(小松靖彦)
一 「還流する『萬葉集』」とは/二 〈文学交流〉の視点と翻訳/三 『萬葉集』の中国語訳に関わる問題点/四 謝六逸の萬葉短歌の中国語訳の方法/五 謝六逸訳をとりまく時代状況/六 謝六逸訳を通じて


第2章 謝六逸による万葉長歌の中国語訳の方法(李満紅)
一 はじめに/二 謝六逸はなぜ白話体による翻訳の方法を選択したのか──周作人の影響の可能性を考える/三 謝六逸訳の万葉長歌の表現/四 むすびにかえて


第3章 銭稲孫の『万葉集』翻訳と出版(鄒双双)
一 はじめに/二 『漢訳万葉集選』(一九五九)の成立までの翻訳・出版経緯/三 日中戦争後中国における銭訳『万葉集』の出版/四 万葉歌に対する多彩な翻訳/五 おわりに


◉第2部 土着化と相互理解/誤解の翻訳学―受容の様態


第1章 近代翻訳小説の受容とメディア――黒岩涙香訳『野の花』と中国(鄒波)
一 翻訳の近代/二 包天笑訳『空谷蘭』/三 複数のメディアにおける受容/四 映画の影響/五 地方劇における受容/六 翻訳小説とメディア


第2章 中国仏教へのまなざし――鈴木大拙の二種の『支那仏教印象記』(陳継東)
一 序論/二 撰述の背景と動機/三 二つの印象記/四 鈴木大拙の中国仏教印象/五 結語


第3章 日中戦争と菊池寛――「昭和の軍神 西住戦車長伝」を中心として(片山宏行) 
一 日中戦争当初の菊池寛/二 ペン部隊/三 「昭和の軍神 西住戦車長伝」執筆/四 執筆の実際/五 「逸話」の力/六 文藝銃後運動へ/七 自由主義


◉第3部 相互補完の翻訳学―中国高僧の伝記絵巻・『新撰万葉集』


第1章 絵巻と翻訳――古代日本の絵巻に見る「漢・和・絵」の往還と創造力(丁莉)
一 絵巻の翻訳学/二 詞書と翻訳/三 絵画と翻訳/四 結びに


第2章 日本古典研究者としての謝六逸から考える「翻訳・翻案」研究の方向性(西野入篤男)
一 はじめに/二 日中文学交流の新たなステージ──媒介としての謝六逸/三 日本古典の研究者として/四 谷崎潤一郎とのエピソード/五 日本文学の認識──「日本古典文學に就て」/六 謝六逸の日本古代(平安時代・文学)に対する理解と日本の研究書/七 三浦圭三から藤岡作太郎へ/八 謝六逸が〈切り落としたもの〉──日本人の漢詩という領域/九 近年の傾向/一〇 『新撰万葉集』とは/一一 和歌から漢詩へ──『新撰万葉集』の複雑さ/一二 和歌とその漢訳詩に対する従来の見解/一三 和歌の趣向を漢詩の趣向へ/一四 和歌のレトリックの移行/一五 まとめにかえて


第3章 『新撰万葉集』の和歌漢訳―詩と歌の交流(梁青)
一 はじめに/二 『新撰万葉集』の漢詩の「和習」/三 和歌と漢詩との内容的な不一致/四 九世紀末における和漢交渉/五 後世への影響


◉第4部 会話・文体の翻訳学―筆談と漢文訓読の行方


第1章 筆談からことばの世界へ──黄遵憲の「風物詩」と周作人の「文字的趣味」の邂逅(吉田薫)
一 はじめに──周作人の随筆「煮薬漫抄」より/二 大河内輝声の愛好と執着──「筆談」交遊の枠組み/三 『紅楼夢』と「八里半」──筆談から巷へ/四 「趣味」と「情」/五 おわりに


第2章 文体の翻訳学─―漢文訓読体について(陳力衛)
一 はじめに/二 漢文体から漢文訓読体への展開/三 欧文脈の展開と翻訳/四 普通文から言文一致への収斂/五 反転としての『和文漢読法』/六 おわりに


◉第5部 漢字・漢語をめぐる翻訳学


第1章 中日漢字単語の翻訳過程(費暁東・宋啓超)
一 本章の狙い/二 心理尺度による中日漢字の異同/三 漢字単語翻訳の心的過程/
四 コロケーション翻訳の心的過程/五 日本語文通訳時の心的過程/六 終わりに


第2章 中国における日本語教育と翻訳──日本の文学作品と「訳す」人材の育成(田中祐輔)
一 はじめに/二 黎明期・揺籃期(一九四九~一九六九)における展開/三 復興期・確立期(一九七〇~一九八九)における展開/四 成長期・成熟期(一九九〇~二〇一〇)における展開/五 転換期(二〇一一~)/六 おわりに


おわりに
執筆者プロフィール

著者プロフィール

小松靖彦  (コマツヤスヒコ)  (編著

青山学院大学文学部日本文学科教授。専門は日本文学(特に『萬葉集』および萬葉学史)、書物学、文学交流。主な著書に『萬葉学史の研究』(おうふう、二〇〇八年〈二刷〉)、『万葉集 隠された歴史のメッセージ』(角川選書、角川学芸出版、二〇一〇年)、『万葉集と日本人 読み継がれる千二百年の歴史』(角川選書、KADOKAWA、二〇一四年、第三回古代歴史文化賞優秀作品)、『戦争下の文学者たち 『萬葉集』と生きた歌人・詩人・小説家』(花鳥社、二〇二一年)など。

田中祐輔  (タナカユウスケ)  (編著

筑波大学人文社会系教授。専門は日本語教育学・国語教育学・日本語学。主な著書に『これからの国語科教育はどうあるべきか』(東洋館出版社、二〇二四年)、『日本語で考えたくなる科学の問い』(凡人社、二〇二二年)、『現代中国の日本語教育史』(国書刊行会、二〇一五年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。