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到来する女たち 石牟礼道子・中村きい子・森崎和江の思想文学 渡邊英理(著) - 書肆侃侃房
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到来する女たち 石牟礼道子・中村きい子・森崎和江の思想文学 (トウライスルオンナタチイシムレミチコナカムラキイコモリサキカズエノシソウブンガク)

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発行:書肆侃侃房
四六判
400ページ
並製
価格 2,400 円+税   2,640 円(税込)
ISBN
978-4-86385-678-3   COPY
ISBN 13
9784863856783   COPY
ISBN 10h
4-86385-678-4   COPY
ISBN 10
4863856784   COPY
出版者記号
86385   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2025年6月11日
最終更新日
2025年6月25日
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紹介

不揃いなままで「わたし」が「わたしたち」になる──。

雑誌『サークル村』に集った三人が聞書きなどの手法で切り拓いた新たな地平を、「思想文学」の視点で読み解く。



「『サークル村』を通して、彼女たちが手に入れたのは、儚い「わたし」(たち)の小さな「声」を顕すための言葉であったにちがいない。この新しい集団の言葉は、異質なものと接触し遭遇することで自らを鍛え、異質な他者とともに葛藤を抱えながらも不透明な現実を生きようとする言葉でなければならなかった。支配や権力、垂直的な位階制や序列的な差別から自由で、不揃いなままで水平的に「わたし」は「わたしたち」になる。 三人の女たちは、そのような「わたし」と「わたしたち」を創造/想像し、「わたし」と「わたしたち」とを表現しうる言葉を発明しようとしたのではなかったか」(渡邊英理)

・石牟礼道子(1927-2018)【熊本】……熊本県天草生まれ。詩人、作家。生後すぐに水俣へ。著書に『苦海浄土』『椿の海の記』『西南役伝説』ほか。

・中村きい子(1928-1996)【鹿児島】……鹿児島生まれ。小説家、作家。母をモデルにした小説『女と刀』は大きな話題を呼び、木下恵介監督によりドラマ化もされた。

・森崎和江(1927-2022)【福岡】……朝鮮大邱生まれ。詩人、作家。17歳で単身九州へ渡り、58年筑豊炭鉱近郊の中間に転居、谷川雁らと『サークル村』創刊。著書に『まっくら』『慶州は母の呼び声』『非所有の所有』など。

目次

はじめに

1 集団・聞書き・女たち
2  「思想文学」として読む
3 三人の横顔
4 本書の構成と概要

第1章 はじまりとしての『サークル村』

1 戦後文化運動と『サークル村』   
2 『サークル村』の「女性表現」  
3 九州の「南」  
4 「南」の女たち  
5 「南九州」の集団と文化  
6 「戦争小説」/「戦後文学」  
7 エロスと女たち  
8 〈非所有の(非)所有〉  

第2章 母の肖像/群像──中村きい子『女と刀』

1 娘による母の伝記  
2 「南九州」の宗教と「差別」  
3 下級武士の娘  
4 不適切な擬態  
5 意に沿わぬ結婚  
6 抜かれぬ刀、女の争闘  
7 〈借り物〉からはじめる  
8 あらがねの肌と性愛(エロス)

第3章 連なり越えゆく世界を感受する──石牟礼道子『椿の海の記』

1 あわいを漂う言葉  
2 交通と(被)開発の時空  
3 分解と再生産、「生類世界」とコモンズ  
4 家父長制とケアの実践  
5 ケアする人びと  
6 「女」という階級  

第4章 不透明な他者と女同志の絆──森崎和江『遙かなる祭』
 
1 小フィクション説という言葉の機構  
2 放浪という運動性  
3 日本の二重構造  
4 批判としてのフィクション  
5 階級/性/「民族」
6 異郷の神々と女たちの「交流」  
7 海と女の思想圏

第5章 交差する言葉、流動する女たち   

1 「失対人夫」、「都市雑業層」  
2 階級と性、あるいは労働と愛  
3 「流民/型労働者」と被差別民  
4 「流民」の女たち  
5 到来する女/言葉



あとがき

著者プロフィール

渡邊英理  (ワタナベエリ)  (

熊本県生まれ、鹿児島県(霧島市・鹿児島市)育ち。大阪大学大学院人文学研究科教授。日本語 文学、批評/批評理論、思想文学論。東京大学大学院総合文化研究科単位取得後満期退学。博士 (学術、東京大学、二〇一二年)。 主要著書に、単著『中上健次論』(インスクリプト、二〇二二年七月、第一四回表象文化論学会 賞)、共編著『クリティカルワード 文学理論』(三原芳秋・鵜戸聡との編著、フィルムアート社、 二〇二〇年)、共著『〈戦後文学〉の現在形』(紅野謙介・内藤千珠子・成田龍一編、平凡社、二 〇二〇年)、共著『文学理論の名著50』(大橋洋一・三原芳秋編著、平凡社、二〇二五年)、共著 『二十一世紀の荒地へ』(酒井直樹・坪井秀人との鼎談収録、以文社、二〇二五年)など。 論文に、「戦争と女たち― 鈴木忠志の演劇における「現代世界」と「戦後日本」」『思想』二〇 二四年八月号(岩波書店、二〇二四年七月)、「復讐と砂漠― 安部公房『砂の女』と〈戦後文 学〉」『現代思想』一一月臨時増刊号(青土社、二〇二四年一〇月)、「未完の晩年様式、未決の 「アジア的想像力」」『群像』二〇二四年七月号(講談社、二〇二四年六月)など。文芸批評では、共同通信・文芸時評「いま、文学の場所へ」(二〇二三年四月~)、「女たちの群像」 『群像』(講談社、二〇二五年五月号~)、「おごじょの本棚」『西日本新聞』(二〇二五年六月~)、 「新人小説月評」『文學界』(文藝春秋、二〇二三年八月号~二〇二四年七月号)などを連載。森崎和江 『能登早春紀行』「解説・旅する言葉、海と女の思想圏」(中公文庫、二〇二五年)、温又柔 『魯肉飯のさえずり』「解説」(中公文庫、二〇二三年)など、文庫解説も手がけている。

上記内容は本書刊行時のものです。