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たった一人の読者を生きる 荒井 裕樹(著) - 柏書房
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【利用可否不明】

たった一人の読者を生きる (タッタヒトリノドクシャヲイキル)

文芸
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発行:柏書房
四六判
222ページ
定価 1,800 円+税   1,980 円(税込)
ISBN
978-4-7601-5659-7   COPY
ISBN 13
9784760156597   COPY
ISBN 10h
4-7601-5659-3   COPY
ISBN 10
4760156593   COPY
出版者記号
7601   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2026年4月3日
最終更新日
2026年5月22日
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書評掲載情報

2026-07-25 毎日新聞  朝刊
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紹介

例えば、「世界で自分だけしか読んでいないかもしれない物語」に出会ったとき、「こんなマイナーな作品について書いたり語ったりしても無意味だよな……」と思うか、「自分が書かなければ/語らなければこの作品は存在しなかったことになってしまう」と思うかは、それぞれだと思います。

もし、あなたが後者の側に立つとして、いざ何か書き残そうとしても、そういう些細で、身近で、時に儚い出会いのエピソードは、論文のようなかっちりした形式には馴染まなかったりするものです。だから本書では「エッセイ」、それも「おしゃべり」するような言葉づかいで、少なくない読者がきっと抱いたことがあるであろう「この物語をなかったことにしたくない」というあの感覚に、迫ってみたいと思うのです。

“ここで私が話したいのは、もっと小さくて、些細で、身近で、時には儚いものについてなんです。(中略)世界的なマスターピースよりも、親しい人の打ち明け話のほうが大事になってしまったり、友だちが出したぜんぜん売れない自主制作本のほうにより感動してしまったり、なんてことは、誰にでも、多かれ少なかれ、あると思うんです。/これって、実はすごいことなんじゃないですかね。自分の心だけを打つものがこの世界に瞬間的に誕生しているというか、どうしようもなく自分の心を打つものがどうしようもないくらい自分以外の人に知られてないっていうか、そんな現象が発生しているということなので。/この現象、取り立てて研究なんてされないですけど、けっこう大事なものだと思うんです、人間にとって。/なんというか、人って自分でも気が付かないうちに、たった一人の読者を生きている瞬間があると思うんです。”(「はじめに」)

こちらの感情や心を動員するための言葉や映像が氾濫する社会の潮流に、気づかぬうちに吞み込まれてしまわぬように、自分にとって本当に大切な「物語」について語ること、そのための居場所をつくること。そうやって大切な領域を守ることができてはじめて、私たちはきっと、ほかの誰かが大切にする「物語」のことも大切にできるのではないでしょうか。

“自分にとって本当に大事なものって何なんだろうとか、本当に自分の心を打つものって何なんだろうとか、自分はどういう物事に魂を揺さぶられる人間なんだろうとか、そういう自分の領域を大事にして、誰かに、勝手に、いつの間にか心を動員させられないようにすることはできる。そう思うんですよね。/これから少しだけ、私の「たった一人の読者」体験を聞いてください。(中略)で、もしよかったら、そのあと、あなたの話も聞かせてください。”(「はじめに」)

ロングセラー『まとまらない言葉を生きる』を著した「声の小さな文学者」が新たに綴るのは、これまで語られてこなかった「たった一人の読者を生きる」という経験について。小さな「自分」を守ることで、誰かとつながる12の内緒話。

目次

はじめに――一つの「物語」が居られるところ
「そのむごい人間が自分なんだ」
「川はいつもにごっている」
「日々の谷間に疲れてよりかかるイス」
読めない手紙
「女はすべて美しい」
愛読書にまつわる怖い話
言葉の網目で個を包む
無精卵の哀しみ
素がこぼれる
障害者について考えるのは誰の仕事か
「絶版」にさえなれない
大切な人の大切なものを大切にする
おわりに――欲しいのは語り続けるあきらめの悪さ
あとがき

著者プロフィール

荒井 裕樹  (アライ ユウキ)  (

1980年東京都生まれ。早稲田大学文学学術院教授。作家、文学者。専門は障害者文化論、日本近現代文学。東京大学大学院人文社会系研究科修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員、二松學舎大学教授を経て、2026年4月より現職。
著書に『隔離の文学──ハンセン病療養所の自己表現史』、『障害と文学──「しののめ」から「青い芝の会」へ』、『差別されてる自覚はあるか──横田弘と青い芝の会「行動綱領」』、『生きていく絵――アートが人を〈癒す〉とき』、『障害者差別を問いなおす』、『車椅子の横に立つ人──障害から見つめる「生きにくさ」』、『まとまらない言葉を生きる』、『凜として灯る』、『障害者ってだれのこと?──「わからない」からはじめよう』、『感情の海を泳ぎ、言葉と出会う』、『無意味なんかじゃない自分――ハンセン病作家・北條民雄を読む』など。
2022年、第15回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞受賞。
2025年、第47回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞。

上記内容は本書刊行時のものです。