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和泉選書198 『常陸国風土記』の表現と方法
地名と歌謡
- 初版年月日
- 2023年3月20日
- 書店発売日
- 2023年3月30日
- 登録日
- 2023年3月14日
- 最終更新日
- 2023年3月23日
紹介
◇従来の解釈にとらわれず、読解と訓詁を通して本文校訂を再検証
今から約1300年前の奈良時代に成立した日本最古の地誌とされる風土記は、土地の性質や産物、説話や歌謡など、魅力に満ちながらも、今なお難解な表現や顧みられなかった本文など、検討の余地を残している。
本書では、風土記において歌謡はいかなる意味をもつのか、述作の意図と方法の解析に基づいて考える。
目次
凡例
序章 風土記のなかの歌
第一節 風土記歌謡への視点
第二節 本書の構成
第一部 風土記の表現世界―神なるものの風景―
第一章 神なるものの成立―『常陸国風土記』輔時臥之山条
一 はじめに
二 風土記と中国の私撰地誌
三 地名と伝承との有縁性
四 神なるものの把握
五 神の子との別れ
六 戦(おのの)くものの顕現
七 伝承の生成―伝承の外部―
第二章 神の事跡と起源―『常陸国風土記』高来里条―
一 はじめに
二 土地の整い―「荒梗」の意味―
三 聖なる矢―「器仗」と訓注「伊川乃」―
四 神の事跡と土地の占有―普都大神―
五 建郡記事と起源
六 伝承の記載
第二部 伝承と歌謡―遙かなる記憶と今の記載―
第一章 地の文と歌謡―『常陸国風土記』笠間村条―
一 はじめに
二 「石城」と「石屋」の語彙的差異
三 景観と「小泊瀬山」への連想
四 官道と葦穂山
五 不合理な結合―祀られた「山賊油置売命」―
六 伝承の転変と錯雑―地の文と歌謡の関係―
第二章 歌謡と俗諺―『常陸国風土記』筑波岳条―
一 はじめに
二 神の侮蔑―「詈」の意味―
三 神の四言詩―「諱」の意味―
四 聖なる空間―「巍」と「徳」―
五 神の事跡と起源譚の生成
六 宴席での閨怨歌
七 俗諺と伝承
第三章 歌謡と遙かなる記憶―『常陸国風土記』童子女松原条―
一 はじめに
二 うたわれる場の性格―「嬥歌」の意味―
三 「愛惜」の歌―「はも」の用法―
四 地の文と歌謡との関係性
五 記憶の断片―「カミノヲトコ・カミノヲトメ」の意味―
六 土地と歌謡との紐帯
第四章 景観と歌謡―『常陸国風土記』高浜条―
一 はじめに
二 海浜の景観―「潮」と「夕」の語彙選択―
三 海浜の口笛―「嘯」の主体―
四 土地の歌謡
補論 近代国家における風土記の「発見」―明治期国定教科書 尋常小学読本「モチノマト」―
一 はじめに
二 『尋常小学読本』「モチノマト」
三 「国民的童話・伝説」の採用
四 『尋常小学読本』「モチノマト」指導の方法
あとがき
索 引
上記内容は本書刊行時のものです。